C反応性蛋白質(CRP)の上昇は、関節リウマチRA)患者においてはむしろ血管内皮機能の改善と関係しているのかもしれない−−。過去の横断的研究の考察において、RA患者にはこれまでの常識を超えた血管内皮機能支配機序が存在するとの可能性を指摘した英国Guy’s & St Thomas’ NHS Foundation TrustのStephen P. Oakley氏らは、同氏らが実施したDIVERT試験のpost-hoc解析を行った結果、その指摘の正当性を支持する結果が得られたことを報告した。

 炎症マーカーであるCRPは、心血管リスクと強い相関を示すsurrogate markerであることが知られている。炎症は、種々のサイトカインやフリーラジカル産生を介して血管傷害的に働くことから、CRPの上昇と血管内皮機能の改善は相反する事項と考えるのが一般的な理解であろう。しかし、RA患者のCRP値と血流依存性血管拡張反応(FMD:血管内皮機能の指標)を測定すると、CRP低値の患者は健康成人に比して有意なFMD低下を呈していたが、CRP高値の患者では有意なFMD低下は認められなかったという。

 そこで同氏らは、この検討の結果を裏付け、RA患者の血管機能とCRPの関連を解明するとともに、インフリキシマブによる治療がこれらの因子にどのような影響を及ぼすかを明らかにすべく、インフリキシマブとプラセボの比較試験であるDIVERT試験に参加したRA患者26例(インフリキシマブ群17例、プラセボ群9例)のデータから、治療前後のCRP値とDAS28スコア、ならびに既知の心血管危険因子(インスリン抵抗性指数(HOMA)、血清脂質値、アディポネクチン値、心拍数、血圧)を抽出し、FMD値との相関を調べるpost-hoc解析を行った。

 治療後56週時までのDAS28スコアは、治療前に比して有意な低下を示していたが(P<0.001)、心血管危険因子については治療前後で変化は認められなかった。一方、FMDは増加を示したが、その増加は有意ではなかった(P=0.367)。

 多変量解析の結果、FMDとの間に相関を持つ独立した因子として見出された因子は、インフリキシマブによる治療期間とCRP値という2つの因子であった。驚くべきことに、後者とFMDとの間の相関は、「負」ではなく「正」の相関であった(β=0.03、P=0.006)。インフリキシマブによる治療は、CRPの減少をもたらし、同時にFMDの増加(=改善)が進行していたが、各時点での両者の値の間にはやはり「正」の相関が認められた。

 以上より、RA患者においては、CRP高値は内皮機能の低下ではなく維持または改善と関連していることが強く示唆された。しかし、インフリキシマブによる治療は、CRPを低下させながら、内皮機能も改善していた。今回の知見は、炎症と血管障害の間の複雑な関係の一端を示すものといえよう。