「リツキシマブ中止から間を置かずに抗TNFα療法を開始した場合にも感染症の増加は見られなかった」と報告するスタンフォード大のM. Genovese氏

 CD20陽性B細胞を選択的かつ持続的に抑制するリツキシマブ(RTX)は、活動期の関節リウマチRA)に対する有用な治療戦略であるが、投与中止後も6カ月以上はB細胞に対する影響が持続するため、RTX無効例などにおいて抗腫瘍壊死因子(TNF)α療法へ切り替えを行う場合、感染のリスクが高まるのではないかと指摘されていた。しかしながら、RTXの臨床治験後の患者を追跡した米国スタンフォード大のM. Genovese氏らは、RTX中止から間を置かずに抗TNFα療法を開始した場合にも感染症の増加は見られなかったことを報告した。

 本検討の対象は、RTXを試験薬とする複数の無作為化あるいはオープンラベル試験に参加した1039例の活動性RA患者のうち、無効あるいは有害事象のためにRTX投与中止・脱落となり、その後大きく間を置かずして1回以上の抗TNFα療法を受けた78例である。抗TNFα療法の内訳は、インフリキシマブ23例、エタネルセプト23例、アダリムマブ25例であった。また、他の7例は2剤以上の抗TNFα薬による治療が行われていた。

 これらの患者の末梢血B細胞数は、抗TNFα療法開始時には正常下限値以下に低下していた。Genovese氏らは、これが正常範囲内もしくはRTX治療前のレベルに戻るまで、あるいはRTX中止から48週以上経過するまで、定期的に末梢B細胞数のモニターを続けた。同時に、その期間中の有害事象の発生を記録し、抗TNFα療法開始前後でその発症頻度に差があるか否かを検討した。

 その結果、抗TNFα療法開始後の有害事象の発生は、78例中14例(18%)、延べ22件であった。主な有害事象は、RAの再燃3例、胸膜痛1例(2件)、深部静脈血栓1例、感染4例(皮膚感染症2例、細菌性関節炎1例、無菌性髄膜炎1例)などであった。

 重篤な感染症は4件認められたが、その頻度(7.62/100人・年)は過去に報告された新規抗TNFα療法に伴う重篤な感染症の発生頻度(6.39/100人・年)と同等であった。また、抗TNFα療法開始前の値(5.23/100人・年)と比較しても、有意な差は認められなかった。これら4件のうち2件は抗TNFα療法開始後6カ月以降の発症であった。また、2件は末梢血のB細胞数が10cells/μL未満に低下した症例で生じていた。

 以上より、RTXによる治療脱落直後に抗TNFα療法を開始した患者においても、重篤な感染症のリスクは増加しないことが示唆された。しかし、本検討は78例という少数例を対象とした短期間の追跡であることから、「今後さらに例数を増やし、より長期の追跡により今回の結果の正当性を確かめる必要があるだろう」とGenovese氏は述べた。