関節リウマチ(RA)患者に対する治療のトレンドは、早期から積極的な治療を開始することである。しかし、抗腫瘍壊死因子(TNF)α薬について、どのような患者にいつ投与開始すべきかを明確に示したエビデンスは乏しい。そこで米国テキサス大のLopez-Olivo氏らは、抗TNFα療法に関する6つの無作為化臨床試験(RCT)を文献的に考察、最適な投与対象と投与タイミングを明らかにしようとした試みについて報告した。

 複数の電子データベースを用いて検索を行い、インフリキシマブ(IFX)あるいはエタネルセプト(ETN)による治療効果を最低1年間追跡した6つのRCTと、早期RA患者と長期罹病RA患者の間でETNの効果を比較した1つの観察研究について解析した。同氏らは、これらのデータを統合して、(1)罹病期間(2年未満 vs 2年以上)、(2)メトトレキサート(MTX)の治療歴の有無(あり vs なし)、について解析を行った。治療効果は、ACR基準による50%改善(ACR50)およびX線画像上の関節破壊とで評価した。

 IFXとETNを直接比較した文献はなかったが、MTXと併用した際の両薬剤のベネフィットには明らかな差があることが示された。罹病期間2年以上の患者において、IFX+MTXはACR50達成率で見た相対的ベネフィットに優れており(相対比4.1 vs MTX単独、95%CI:2.0-8.6)、同じ罹病期間2年以上の患者に対するETN+MTXの相対的ベネフィット(相対比1.6 vs MTX単独、95%CI:1.4-1.9)を上回った。

 MTXの治療歴の有無でみると、MTX単独に比較したIFX+MTXの相対的ベネフィットは、MTX治療歴のない患者で相対比1.5(vs MTX単独、95%CI:1.3-1.8)であったが、治療歴のある患者では相対比は4.3(vs MTX単独、95%CI:2.1-8.6)であり、後者でより著明であった。また、MTX治療歴のある患者におけるETN+MTXの相対比は1.6(vs MTX単独、95%CI:1.4-1.9)で、間接的な比較ではあるが、IFX+MTXの方がETN+MTXよりも有意に優れていた。

 一方、ETN単独とMTX単独の比較では、罹病期間の長さやMTX治療歴の有無にかかわらず、疾患活動性の軽減や関節破壊の進行抑制において両者に有意な差はなく、ETN単独投与のMTXに対するメリットは認められなかった。

 以上より、抗TNFα薬の使用は、罹病期間が長期にわたるRA患者やMTXが奏効しない患者においてベネフィットが大きいこと、これらの患者におけるベネフィットはIFX+MTXのほうがETN+MTXより著明であることが示された。同氏らの検討では、罹病期間が長くMTX治療歴のある患者では、IFX+MTXによりX線画像上の関節破壊抑制も良好になる傾向が見られたという。「投与対象やタイミングによってこうした差が生まれるという事実は、薬剤費を考慮する以前に考慮すべき重要な問題かもしれない」とLopez-Olivo氏は述べている。