「リウマチ医は、リウマチ性疾患の管理だけでなく、循環器疾患の危険因子の是正にも力を」と訴えるPittsburgh大のD.Edmundowicz氏

 リウマチ医は、自分が診ている患者が心血管疾患の超ハイリスク群であることを認識し、リウマチ性疾患の管理だけでなく、循環器疾患の危険因子の是正に向けた取り組みにも力を入れる必要がある――米国Pittsburgh大のD.Edmundowicz氏は、セッション「Medical Aspects of Rheumatic Disease」の講演でこう指摘した。

 膠原病やリウマチ性疾患の患者は、心血管疾患のリスクが高いことが知られている。例えば、昨年の同学会で発表された大規模ケースコントロール研究では、関節リウマチ患者における心血管疾患の発症リスクはコントロール群の約2倍に上ることが示されている(関連記事)。

 中でもEdmundowicz氏が強調したのが、心筋梗塞に代表されるアテローム硬化性心疾患のリスクの高さだ。特に全身性エリテマトーデス(SLE)と心筋梗塞の関係については最近知見が集積しつつある。SLE女性患者における心筋梗塞の発生率を、一般住民を対象としたフラミンガムスタディの成績と比較したManziらの1997年の報告では、25〜34歳の発生率は3.66%に対して0.00、35〜44歳では8.39%に対して0.16%(オッズ比52.43)と、特に若齢女性でのリスクが驚くほど高いことが判明している。動脈硬化の指標である頸動脈プラークや冠動脈石灰化についても最近、同様の結果が得られている。

 アテローム硬化は様々な病的プロセスが積み重なった結果として起こるが、血管内皮へのマクロファージの集積や、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF)-αといった炎症性サイトカインの分泌が重要な役割を果たすことから、特に最近では炎症反応としての側面が注目されている。

 Edmundowicz氏はこの点を特に重視し、「アテローム硬化の危険因子は加齢、高脂血症、高血圧、糖尿病、遺伝的素因、肥満など様々だ。しかし、膠原病やリウマチ性疾患の患者では、これらに加えて、全身の炎症性が高く、炎症性サイトカインや自己抗体の血中濃度が高いといった特徴がある。このような特有の危険因子の存在が、循環器疾患の発症リスクをさらに悪化させているのではないか」との見解を示した。

 このため、リウマチ医には、他科の医師以上に患者の心血管疾患リスクを軽減するための努力が求められるというのが、Edmundowicz氏の主張だ。

 循環器疾患の予防のためにリウマチ医が行うべき取り組みとして同氏が挙げたのは、まず禁煙、血圧管理、高脂血症治療、運動、体重管理、血糖管理といった一般的なリスク軽減対策だ。それに加えて、リウマチ科の患者ではさらに免疫系の是正、抗血小板薬の投与、インフルエンザワクチン接種も考えるべきという。

 具体的には、患者には毎回の受診時に喫煙状況を尋ね、喫煙者には禁煙を勧めるほか、カウンセリングやニコチンガムの使用も考える。血圧管理は高血圧合同委員会の指針(JNC VII)を参考に行う(140/90mmHgを目標とし、高リスク例では130/80mmHg未満を推奨)。高脂血症については、スタチン系薬剤を活用してLDL-Cを100mg/dL未満、高リスク例では70mg/dL未満に保つ。また、歩行をはじめとする定期的な運動は、関節症状の改善や筋力維持の観点からも勧められる。

 このような対策には一見目新しいところはないが、Edmundowicz氏によれば、リウマチ医による取り組みは決して十分でない。「一歩ずつでも取り組みを始めてはどうだろうか」と同氏は最後にアドバイスして講演を締めくくった。