「アダリムマブを関節リウマチ患者に投与して同時期にワクチンを接種しても悪影響はない」と報告するSarasota関節炎センターのJ.Kaine氏

 抗腫瘍壊死因子(TNF)抗体製剤アダリムマブ関節リウマチRA)患者に投与しても、同時期に接種した肺炎球菌ワクチンインフルエンザワクチンによる防御抗体産生に悪影響はないことが分かった。米国Sarasota関節炎センターのJ.Kaine氏らが、コンカレント・アブストラクト・セッションで発表した。

 RA患者は免疫異常やステロイド薬などの長期使用のため、感染に対する抵抗力が低下しており、これらのワクチンが頻用される。アダリムマブなどの生物学的製剤は、それ自体が感染抵抗力の低下を招く恐れがある一方で、ワクチンに対する免疫応答にも影響を及ぼす可能性がある。しかし、今回の報告で、アダリムマブとこれらのワクチンを併用しても問題がないことが裏付けられた。

 試験は、RA患者226例を二重盲検下でアダリムマブ群またはプラセボ群に割り付け、いずれかを2週毎に計3回(第1日、15日、29日)投与し、その合間の第8日に肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種する形で実施。ワクチン接種日と4週後の第36日にワクチン抗原に対する抗体価を評価した。

 肺炎球菌については、5種類の抗原(9V/14/18C/19F/23F)のうち3種以上の抗体価が1.6μg/mL以上であれば防御抗体陽性、4週後に2倍以上になった場合をワクチン接種に対する「応答あり」と判定。同様にインフルエンザについては3種類の抗原(H1N1/H3N2/Hong Kong)のうち2種以上の抗体価が1:40以上であれば防御抗体陽性、4倍以上になった場合を「応答あり」と判定した。

 その結果、ワクチン接種前の防御抗体陽性例および陰性例における「ワクチン応答あり」の比率は、肺炎球菌ワクチンについてはアダリムマブ群でそれぞれ28%、50%、プラセボ群で27%、50%と差が見られず、インフルエンザワクチンについてもアダリムマブ群でそれぞれ98%、98%、プラセボ群で100%、87%と差がなかった。

 ワクチン接種4週後の防御抗体陽性率も、肺炎球菌:アダリムマブ群86%、プラセボ群82%、インフルエンザ:アダリムマブ群98%、プラセボ群94%と同様だった。また、アダリムマブとワクチンの同時投与による重大な副作用は認められなかった。

 以上の成績から、Kaine氏は「アダリムマブはRA患者におけるワクチンの効果に影響を与えず、大半の患者で防御能力のある抗体価が得られた。この併用投与の効果と安全性が確かめられた」と結論した。