関節リウマチ(RA)患者において、加齢は薬物療法に伴う有害事象(ADRs)のリスクを増加させる要素の一つとなる。田辺製薬の矢野敏朗氏らは、インフリキシマブ市販後全例調査のデータから65歳以上の患者の安全性および有効性に関するデータを抽出し、より若い患者層のデータと比較した結果、高齢患者におけるADRs発生率は若年層と同様であり、有効性にも差は認められなかったことをポスターセッションにて報告した。

 今回の報告は、既報のインフリキシマブ市販後全例調査の一環である。患者は標準的なスケジュールによるインフリキシマブ投与(3mg/kgを0、2、6週後に投与し、以後8週毎に投与を継続)+メトトレキサート(MTX)による治療の下、6カ月間にわたり安全性と有効性の評価を受けた。

 調査症例5000例(登録患者約7000例のうち、既に追跡期間を終了した症例)のうち、65歳以上の高齢者は1190例(23.8%)であった。高齢者群では65歳未満の若年者群に比べ、男性の比率が若干高率であったほか、病期が進行、身体機能障害が高度、罹病期間が長期、合併症併存率が高率、MTX用量が少ない、血清クレアチニン値が高値という違いが見られた。

 ADRs発生率は、高齢者群29.2%、若年者群27.6%であり、有意な差は認められなかった。しかし、重篤なADRsの発生率は、若年者群の5.0%に対し高齢者群では9.8%と、後者で有意に高率であった(P<0.001)。有意差が認められた重篤なADRsの種類は、重篤感染症と重篤呼吸器疾患であった(それぞれP<0.001、P=0.008)。主な重篤感染症は、細菌性肺炎、PCP(ニューモシスティス肺炎の疑い)、結核、また主な重篤呼吸器疾患は間質性肺炎であり、その頻度は3.2%、0.8%、0.8%、0.9%と低率であったが、若年者群より高率であった(それぞれP<0.001、P=0.024、P<0.001、P=0.004)。

 一方、有効性については、6週、14週、22週のいずれの評価時点においても高齢者群と若年者群の間に有意な差は認められず、両群とも常に90%以上の有効率を維持していた。これらの結果から、高齢者では若年者より重篤感染症と重篤呼吸器疾患が高率に認められたが、全ADRsの発生率に差はなく、有効性においても差は見られないことが明らかになった。矢野氏は、「インフリキシマブは、高齢者でも若年者と同様の高い有効性と忍容性が得られる」と結論した。