関節リウマチRA)患者はしばしば合併症を有しており、その存在が薬物治療に伴う有害事象(ADRs)の発生に影響を与える可能性が指摘されている。田辺製薬の矢野敏朗氏らは、ポスターセッションにおいて、わが国で実施されたインフリキシマブの市販後全例調査のデータから、重篤なADRs発生率に対する合併症の影響を検討した結果を報告。

 同調査の登録患者約7000例のうち、予定された6カ月間の追跡期間を完了した5000例の中、呼吸器疾患や糖尿病、腎疾患の合併者では、重篤な感染症または呼吸器疾患の発生がより高率に認められたが、その他の多くの合併症は重篤なADRs発生率に影響を及ぼさず、またいずれの合併症を有する患者もインフリキシマブの高い有効性には影響が見られなかったことを報告した。

 本調査は、標準的なスケジュールによるインフリキシマブ投与(3mg/kgを0、2、6週後に投与し、以後8週毎に投与を継続)+メトトレキサート(MTX)による単一アームの前向きオープンラベル調査である。すべての患者は、少なくとも月1回のペースで安全性と有効性の評価を受け、6カ月間の追跡がなされた。

5000例の患者中、1つ以上の合併症を有していた患者は1919例(38.4%)であった。主な合併症は、高血圧10.2%、糖尿病9.4%、骨粗鬆症6.5%、呼吸器疾患4.7%、肝疾患3.1%、高脂血症2.9%、消化性潰瘍2.4%、腎疾患1.2%などであった。

 これらのうち、呼吸器疾患、糖尿病、腎疾患の3疾患については、合併症のある患者において有意に高率に重篤なADRsの発生が認められた(呼吸器疾患合併者:13.2% vs 非合併者:5.8%、P<0.001、糖尿病合併者:9.2% vs 非合併者:5.8%、P=0.006、腎疾患合併者:13.6% vs 非合併者:6.1%、P=0.027)。

 有意差が認められた重篤なADRsは、糖尿病合併者と腎疾患合併者では重篤感染症(それぞれ7.1% vs 3.7%、P=0.001、11.9% vs 3.9%、P=0.009)、呼吸器疾患合併者では重篤感染症(10.2% vs 3.7%、P<0.001)と重篤呼吸器疾患(2.6% vs 0.7%、P=0.010)であった。

 一方、有効性評価においては、いずれの合併症もインフリキシマブの効果に影響を及ぼすことはなかった。矢野氏は、「インフリキシマブは合併症の有無にかかわりなく高い有効性が期待できる」と結論した。