急性ST上昇型心筋梗塞STEMI)でプライマリPCIを予定している患者に対して、血小板糖蛋白IIb/IIIa受容体拮抗薬であるチロフィバンの前投与を行う治療法が、有益であることが分かった。臨床試験On-TIME 2で明らかになったもので、ドイツのKerckhoff Heart CenterのChristian Hamm氏(写真)らが4月1日、第57回米国心臓学会で発表した。

 On-TIME 2は、多施設無作為化二重盲検試験で、高用量ボーラスのチロフィバンと経口抗血小板薬のクロピドグレル(600mg)を組み合わせた治療法の評価を目的に実施された。2006年6月から2007年11月までに984人の患者登録があった。

 試験では、STEMIの診断がされた段階で全例に、線維素溶解剤とヘパリン、さらにクロピドグレル(600mg)による治療を行った。その後PCIセンターへ搬送する前に、高用量ボーラスのチロフィバン(25μg/kg、0.15μg/kg/分)を投与する群とプラセボ群に割り付けた。1次エンドポイントはPCI実施後1時間時点のST値の変化、2次エンドポイントは30日の観察期間における死亡、心筋梗塞再発、標的血管再血行再建(TVR)あるいは血栓離脱など。

 解析の結果、1次エンドポイントは、チロフィバン群(491例)のST間部偏位が3.3±4.3mmだったのに対し、プラセボ群(493例)では4.8±6.3mmで、有意にチロフィバン群で短かった(p=0.002)。3mm以上のST間部偏位を示した症例は、プラセボ群で44.3%だったが、チロフィバン群では36.6%と有意に減少していた(p=0.026)。なお、正常ECGの割合もチロフィバン群37.3%、対照群30.2%で有意だった(p=0.031)。

 2次エンドポイントでは、死亡(プラセボ群477例中19例、チロフィバン群473例中11例)、心筋梗塞再発(同、14例、13例)、脳卒中(7例、1例)などとなり両群で有意差はなかった。ただし、血栓離脱はプラセボ群で140例(28.5%)に認めたが、チロフィバン群では97例(19.9%)にとどまっていた(p=0.002)。複合ポイントとして総合的にみると、2次エンドポイントでは、チロフィバン群が有意に低いという結果だった(p=0.013)。

 安全面では、プラセボ群とチロフィバン群で有意差が出ず、STEMI患者への高用量チロフィバン前投与の安全性も確認された。