冠動脈大動脈バイパス移植術CABG)を受けた2型糖尿病患者に対する、インスリン抵抗性改善薬であるロシグリタゾンの投与が安全で有効であることが示唆された。VICTORY試験の1年時点の成果で、カナダLaval大のOlivier F. Bertrand氏(写真)らが4月1日、第57回米国心臓学会で発表した。

 VICTORY試験は、多施設無作為化二重盲検試験で、CABGを受けて1〜10年後の2型糖尿病を対象に行われた。HbA1Cが9%以下と安定している糖尿病患者で、カナダ循環器学会狭心症基準がI〜II、左室駆出分画35%以上などを登録基準としている。ロシグリタゾン投与群(4mgでスタートし2カ月から8mg)と対照群の間で、効果と安全性が検討された。

 2003年6月〜2006年6月までに、カナダとスペインの8施設で、193人の患者が登録された。1次エンドポイントはプラーク体積の変化(ベースラインと12カ月後)で、血管内超音波法(IVUS)に基づいて測定した。2次エンドポイントは、CTによる腹部の脂肪組織の評価、二重エネルギーX線吸収法(DEXA)による 身体組成の評価、バイオインピーダンス法による体内総水分量の評価など。

 ロシグリタゾン投与群(98人)とプラセボ群(95人)で比較したところ、1次エンドポイントであるプラーク体積では、投与群は+10mm3(2.8%増)、対照群は+3mm3(0.9%増)だった。ただし、両者に有意差はなかった。

 2次エンドポイントでは、体内総水分量など有意差がないものもあったが、体重や体脂肪などで、投与群の有効性が確認された。たとえば、12カ月後の体重は投与群がプラセボ群より3kg低く(p=0.02)、また体脂肪も投与群で低かった(p=0.001)。

 安全面では、投与群は入院イベント10例(10%)、PCI施行6例(6%)、脳卒中1例(1%)だった。対照群では、それぞれ11例(12%)、7例(7%)、1例(1%)だった。両群で死亡例はなく、対照群で一過性脳卒中発作2例、心筋梗塞1例があったが、投与群ではゼロだった。

 これらの結果からBertrand氏らは、小規模試験という限界はあるものの、CABG後の2型糖尿病患者に対するロシグリタゾンによる治療は安全で有効であることが示唆されると結論した。