新しいデバイスである連続的大動脈流増強(CAFA)システムの有効性が、急性非代償性心不全の入院患者で確認された。多施設の臨床試験MOMENTUMの成果で、米カリフォルニア大サンディエゴ校のBarry Greenberg氏(写真)らが4月1日、第57回米国心臓学会で発表した。

 悪化した心不全の入院患者に対する効果的な治療法はほとんどなく、薬物治療で十分に効果が得られない患者に対して治療法は限られている。その一方、動物モデルおよび患者において、連続的大動脈流増強法が心機能と血行動態を改善し、施療停止後も24時間効果が持続することが明らかにされている。
 
 MOMENTUM(The Multi-center Trial of the Orqis Medical Cancion System for the Enhanced Treatment of HF Unreponsive to Medical Therapy)は、無作為割付臨床試験で、従来の薬物療法で十分効果の得られない心不全の入院患者に対して、CAFA・薬物併用療法における血行動態および臨床効果と薬物療法のみの効果を比較した。

 対象患者は持続性心不全、肺毛細血管楔入圧(PCWP)の上昇、心係数低下があり、腎機能が低下しているか静脈処置や血管拡張処置をしても利尿薬を必要とする症例とした。CAFAは体外磁気遠心ポンプを用いて経皮的動脈−動脈サーキット(速度1.5L/分まで)で最長96時間行った。

 1次エンドポイントは複合で、72時間から96時間でのPCWPの低下、退院後数日間生存、35日以上機器サポートなしなどであった。2次エンドポイントはCI、N-terminal Pro-BNP(NT-pBNP)、血清クレアチニン、体重、および健康に関する生活の質(14日と35日)の変化、および35日と65日での心不全悪化による入院イベントと死亡などであった。

 2004年9月22日から2007年8月9日まで35施設で168人の患者(デバイス群109人、コントロール群59人)が参加した。患者はいずれも非常に重症(平均±標準偏差:ベースラインPCWP;29.0±6.6mmHg、CI;2.1±0.6 L/分/m<sp>2、NT-pBNP;8220±8893 pg/mL)であった。93.4%の患者で技術的に処置が成功し(24時間のポンプ運転)、処置期間の中間値は94.3時間だった。

 試験の結果、PCWPは有意差には達しなかったがデバイス群で低かった(p=0.074)。また、心係数は有意にデバイス群で回復していた(p<0.0001)。ただ複合ポイントの総合評価は、対照群に対するオッズ比は1.45と有効性は確認されなかった。一方、2次エンドポイントは、カプラン・マイヤー曲線でみたイベントフリー生存率(65日間)は、デバイス群のハザード比は0.87で、デバイス群が有効であった。死亡率は対照群とほとんど変わらなかったが、心不全入院イベントはデバイス群の方で少なかった。

 安全面では、重症出血(デバイス群16.5%、対照群5.1%、p<0.05)、非重症出血(デバイス群26.6%、対照群8.5%、p<0.005)とデバイス群で出血が有意に多かった。しかし他の有害事象では対照群と同様だった。そこで、出血のあったデバイス群と出血のなかったデバイス群に分けて解析したところ、出血のないデバイス群では治療成績が良好であることが分かった。
 
 これらの結果から演者らは、急性非代償性心不全の入院患者で連続的大動脈流増強(CAFA)システムは有効であると結論、出血の克服が今後の課題であると指摘した。