従来、重症の心不全患者ペースメーカー(心臓再同期療法CRTデバイス)は使用されてきたが、無症状あるいは軽症の患者にも、CRTの埋め込みと薬物療法との併用で左室リモデリングを回復させる効果があることが確認された。多施設で行われた臨床試験REVERSEの成果で、ストックホルムのカロリンスカ大学病院のCecilia Linde氏(写真)らが4月1日、第57回米国心臓学会で発表した。

  REVERSE(Resynchronization reverses Remodeling in Systolic left ventricular dysfunction study)は多施設無作為二重盲検対照試験で、無症状および軽症の心不全患者に対して、CRTと最適薬物療法の併用(CRT-ON)が、最適薬物療法のみ(CRT-OFF)より、病状の進行管理に優れているかを比較するために行われた。

 1次エンドポイントは、心不全の様々な症状(死亡、入院、悪化、NYHA Classの変化など)で、CRT-ON群とCRT-OFF群間で、悪化した患者の割合を比較した。2次エンドポイントは、LVESVi(左室収縮期終期容積指数)とした。

 患者の選定基準は、NYHA Class II またはI(既往症あり)、QRS-duration120ms以上、LVEF(左室駆出分画率)40%以下、LVEDD(左室拡張終期径)55mm以上で最適薬物療法を行っている者とした。642人の患者に埋め込みを試み、621人の患者で成功した(97%)。このうち610人(NYHA II 82%、NYHA I 18%、平均年齢62.5±11.0歳、LVEF 26.7±7.0%)を73施設において無作為に2群に分け(CRT-OFF;191人、CRT-ON;419人)、598人について12カ月のフォローアップを行った (死亡12人、2%)。

 試験の結果、併用療法(CRT-ON群)の有効性が証明された。心不全の症状の悪化に関しては、2群間で大きな差は見られなかった(CRT-ON 54%、CRT-OFF 40%の改善)が、「改善した」「変化なし」「悪化した」を総合的に評価すると、CRT-ON群が優っていた。CRT-ON群の患者では、リモデリングの回復(LVESVi :CRT-OFF D=−1.3、CRT-ON D=−18.4、p<0.0001、n=487)が認められ、心不全での入院リスクを減少させた(ハザード比0.47、p=0.03)。生活の質や6分間の歩行距離に、大きな改善はみられなかった。

 このことからCRTは、軽症の心不全患者においてLVリモデリングを回復させるだけでなく、罹病にも影響を与えることが明らかになった。心不全での入院は死亡の指標であるので、より長期に観察するとCRTは軽症患者の死亡率を下げる可能性がある。Linde氏は、「最適薬物療法を行っていても、病状の進行を抑えるためにCRT使用を考慮すべき」と指摘した。

 Linde氏らは、無症状あるいは軽症の患者でCRTと薬物療法との併用が左室リモデリングを回復させると結論し、今後の拡大研究が本試験の成果の重要性を決定し、併用療法に長期の効果が他にも見い出されるだろうともコメントした。