PCIが施行できない病院に入院したハイリスクSTEMI患者をどうすべきなのか−−。この問いに対する一つの答えが示された。血栓溶解・抗血栓療法後、迅速にPCI可能病院に搬送し、6時間以内の早期PCIを実施する方法が、これまで標準とされてきた方法より安全でかつ有効であることが分かった。大規模臨床試験TRANSFER-AMIによって明らかになったもので、カナダHeart Research CentreのWarren J. Cantor氏(写真)が3月30日、第57回米国心臓学会で発表した。
 
 TRANSFER-AMIでは、発症後12時間以内のハイリスクSTEMI患者を対象に、血栓溶解・抗血栓療法を実施後、できるだけ早くPCI施設へ搬送し、6時間以内に早期PCIを実施する方法と、これまで標準治療とされてきた方法を比較検討した。標準治療とは、血栓溶解・抗血栓療法を実施してから60〜90分後に胸痛とST上昇を評価し、血行再建が不調の場合は直ちにPCI可能病院に搬送し緊急PCIを実施するもの。血行再建に成功した場合でも、PCI可能病院に搬送し、必要に応じPCIを実施する。

 2007年12月31日現在、1060人の患者が登録され、1030人が解析対象となった。このうち522人が早期PCI群、508人が標準治療群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、30日後の死亡、心筋梗塞の再発、心不全、ショック、重症虚血の再発など。解析の結果、標準治療群(n=496)は、こうした複合エンドポイントの発生率が16.6%だったのに対し、早期PCI群(n=508)では10.6%と有意に低かった(オッズ比0.537、95%信頼区間0.368-0.783、p=0.0013)。

 今回の結果からCantor氏は、6時間以内の早期PCIを実施する方法の安全性と有効性が証明されたと結論した。さらに、早期PCI法を標準にしていくためには、医療機関のネットワーク整備が欠かせないと強調した。