受動喫煙は、タバコ以外の煙の受動吸入と比較すると、大動脈波反射を増加させ、内皮依存微小血管機能を損傷することが分かった。タバコの煙、タバコ以外の煙、通常の空気を吸入したときの末梢血管機能を比較した試験で明らかになったもので、ベルギーのUniversite Libre de BruxellesのM.Leeman氏(写真)らが3月30日、第57回米国心臓学会で報告した。

 試験は以下の仮説の検証のため行われた。(1)受動喫煙はタバコ以外の煙の吸入よりも大動脈波反射に特異的に有害効果をもたらす、(2)有害効果は血漿中のニコチン濃度と関係する、(3)有害効果は受動喫煙停止後も持続する、(4)受動喫煙は皮膚血流においてNO依存機能を変化させる。

 試験方法は、11人の健康な非喫煙者の男性に参加してもらい、タバコの煙(受動喫煙;ETS)、タバコ以外の煙、通常の空気のそれぞれに1時間暴露したときの血管の影響を調べた。試験デザインは、無作為盲検交差試験とした。大動脈波反射増加指数(Alx)、脈波遷移時間(Tr)は非侵襲的に評価した。局部加熱に対するNO依存皮膚微小血管充血はレーザードップラー血流計で測定した。

 試験の結果、空気中の粒子密度は受動喫煙、タバコ以外の煙のどちらのセッション中とも違いはなかった。通常の空気と比較しても、受動喫煙、タバコ以外の煙とも中枢、あるいは末梢の血圧に影響しなかった。

 Alxは受動喫煙でセッション中(p=0.01)、セッション後(p<0.01)ともに増加したが、タバコ以外の煙セッションでは通常の空気と比べても変化がなかった。

 血清中のニコチン濃度が最大に増加したとき、Alxが最も顕著に上昇した(n=10、r=+0.84、p<0.01)。Trは受動喫煙のセッション中(p=0.02)、セッション後(p<0.01)とも減少したが、タバコ以外の煙セッションでは通常の空気と比べても変化がなかった。なお、受動喫煙では、加熱に反応する皮膚血流の遅延上昇が減少した(p=0.03)が、この現象は他のセッションでは起こらなかった。

 これらの結果からLeeman氏らは、「受動喫煙は、タバコ以外の煙の受動吸入と比較すると、大動脈波反射を増加させ、内皮依存微小血管機能を損傷する」と結論した。大動脈波反射の増加は、血漿中のニコチン濃度の上昇と関連があるが、これらの有害効果は受動喫煙停止後も持続することも明らかになった。受動喫煙の血液動態の変化は、煙そのものに対する感覚刺激、ストレスによるものではなく、主にニコチンの毒性機構が働いた結果であると解釈できる。