生理不順には、生理が早く来る場合(頻発月経)や、遅く来る場合(稀発月経)、無月経などがあります。そういう場合、どのような漢方処方を使うのでしょうか。

■症例2


「生理周期が短く、20日そこそこで来てしまいます。経血量が多くて疲れやすく、貧血気味です」

 生理の間隔が短く、生理が終わってしばらくしたら、すぐ次の生理が来ます。経血は鮮血ではなく淡紅色です。生理痛はさほど重くありませんが、量が多いので疲れます。舌は白っぽい色をしています。

 この人の証は「気虚(ききょ)」です。生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質です。気の機能の一つに、血など人体に必要なものが体外に漏れ出ないようにコントロールする働き(固摂作用)がありますが、気虚になるとこの力が弱まり、出血しやすくなります(気不統血)。このため生理周期が早まります。過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、この証になります。もともと虚弱体質の場合もあります。食欲不振、息切れしやすいなどの症状がみられることもあります。

 この体質の場合は、気を補う漢方薬で生理不順を治療します。代表的な処方は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。服用を始めて少しずつ、生理周期、経血の量、色が改善され、8カ月目から生理が28日周期で安定して来るようになりました。疲れにくくもなりました。

 頭がぼーっとする、眠りが浅いなど血虚の症候もみられる場合は帰脾湯(きひとう)を使います。

 気虚以外に、「血熱(けつねつ)」証で頻発月経になる場合もあります。血熱は、熱邪が血に侵入した証です。熱邪の影響で出血が促され、生理が早く起こります。精神的なストレスや、味が濃く脂肪分が多い食生活によって熱邪の勢いが盛んになって生じる「実熱」と、長期の体調不良などによって陰血が消耗し、相対的に熱の勢いが強くなる「虚熱」とがあります。実熱の場合は温清飲(うんせいいん)などで血熱を冷まし、虚熱の場合は三物黄芩湯(さんもつおうごうんとう)などで陰血を補い、生理を安定させます。