急性虚血性脳卒中後の患者を対象に、スタチン投与により脳内出血(ICH)リスクが増大するか検証したところ、スタチンの用量にかかわらず関連は認められなかった。この結果は、Arch Neurol誌オンライン版に9月12日、掲載された。

 現行のガイドラインでは、虚血性脳血管イベント後の患者の大半にスタチン投与が推奨されている。しかし、このガイドラインの論拠となっている大規模試験2件(SPARCL試験Heart Protection StudyHPS)の事後解析が最近行われ、スタチンによりICHリスクが増大する可能性が示唆された。

 これを受けカナダの研究者は、スタチン療法とICHの関連を調査するため、急性虚血性脳卒中の既往がある患者を対象として、大規模集団ベースの後ろ向きコホート研究を行った。

 対象者は、66歳以上のカナダ・オンタリオ州居住者で、1994年7月1日から2008年3月31日までに虚血性脳卒中の初回診断を受けてオンタリオ州のいずれかの病院に入院した者とした。

 指標日(退院から120日目)の前に死亡した者、入院の前年にスタチンを服用していた者を除外し、最終的なコホートは1万7872例(スタチン服用群8936例、対照群8936例)となった。多段階アルゴリズムを用いて、スタチン服用者と非服用者に対してpropensityベースのマッチングを行い、コホートを均質化した。対象者のマッチングは良好で、平均年齢は78歳、54%が女性だった。

 主要評価項目は、ICHの初回診断による入院または救急科受診までの時間とした。追跡期間は、指標日からICH発症、死亡、2010年3月31日までのいずれかが最初に発生するまでとした。

 本試験対象者には虚血性脳卒中の既往(100%)以外に、高血圧(80%)、糖尿病(26%)、慢性腎臓病(26%)、認知症(21%)などのICHリスク因子が多く見られた。また多くの対象者に、ICHとの関連が考えられる経口抗凝固薬(23%)、抗血小板薬(55%)、NSAIDs(29%)、SSRI(18%)などが投与されていた。

 追跡期間は、合計6万4273人・年(中央値:4.2年、四分位範囲:2.4-5.0年)となった。追跡期間中、ICHエピソードは合計213件発生した。発生率はスタチン服用群の方が、対照群よりもやや低かった(1000人・年当たりのエピソード2.94件 vs. 3.71件)。

 スタチンへの曝露のハザード比(HR)は0.87(95%信頼区間[CI]:0.65-1.17)で、スタチンとICHの間には関連がないことが示された。