がん診療を取り巻く分野は、常に進歩しており、毎日のように新しいニュースが入ってくる。抗がん剤の分野も、分子標的薬が導入されるようになり、治療成績も飛躍的に進歩した。これまで細胞障害性の薬剤で歯が立たなかった悪性黒色腫や腎臓がん、甲状腺がんにも有用な分子標的薬も導入されるようになった。

 このようにまさに日進月歩で進歩しているがん診療(オンコロジー)の分野に対しては、従来の紙ベースでの教科書・レビューではもはや新しい情報についていけなくなってきている。現在、医療情報源として、最も有力なものは、WEB ベースの情報である。インターネット環境も近年急速に進歩してきており、学会の最新情報なども、学会に出席しなくても、バーチャルミーティングを利用することにより、手に入れることができるようになった。医学雑誌を紙ベースで読むよりも、インターネット上で文献を読むことが多くなった。ただし、WEB 上の医療情報は膨大であり、情報の質としては、怪しげなものから、有力なものまで、玉石混淆である。我々は、このような情報の洪水の中から、良いものを吟味して、取捨選択する能力が要求される。

 『がん診療UP TO DATE』は、日進月歩のオンコロジーの情報にキャッチアップするために、WEB ベースの情報提供を目的として作られた新しいタイプのレビュー総説である。執筆者は、新進気鋭の若手オンコロジストに執筆していただいた。今後、WEB の特徴をいかして、新しいエビデンスをタイムリーにアップデートしていきたい。また、WEB 上での情報交換の場として、診療Q&A サイトとの連携も予定している。

 『がん診療UP TO DATE』のもう一つの特徴は、臓器別がんの各論のみでなく、オンコロジストにとって必須の知識である、副作用マネジメント、腫瘍随伴症候群、緩和医療などの内容を充実させたことである。とくに、緩和医療の項は、緩和医療を目指す医療者だけでなく、がん診療をするすべての医療者に知っておいていただきたい内容である。患者の価値観・QOL(生活の質)を大切にすることは、がん診療の最も大切な目的の一つであるからである。

 『がん診療UP TO DATE』は、これから腫瘍内科医を目指そうとする若手医師に大いに活用していただきたい。また、それ以外にも、がん診療に携わるすべての医師、看護師・薬剤師などのコメディカルの方々にも積極的に活用していただきたいと思う。内容に関しては、随時、質問・要望・コメントなどをいただきたい。

 最後に、この企画を最初から最後まで情熱を持ち、根気よくサポートしてくださったシーニュの藤本浩喜様、小田嶋永様に深く感謝します。

2013年8月

がん患者さんのあらゆる問題に対して、ともに悩み、ともに闘っていく、
患者さんの良きパートナーとなることを目指して
日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科
勝俣範之