A がん情報を入手できる主なサイト
1.公的機関
2.製薬会社と関連するサイト
3.その他
4.海外
B インターネットがん情報の問題点
C 医療情報の評価方法
D インターネットの情報の未来
文献

1.公的機関

1)がん対策情報センター がん情報サービス

http://ganjoho.jp/public/index.html

発信元:国立がん研究センターがん対策情報センター

一般、医療関係者によって各項目が分類されている。各種がんは網羅的に解説がされている。初歩的な内容が中心で、情報の信頼性は高い。コンテンツは日々増えているが、各トップページでは更新日毎に雑然と並べられていて探しにくい。統計などの一次情報は充実している。

2)Minds(マインズ)医療情報サービス

http://minds.jcqhc.or.jp/n/

発信元:厚生労働省委託事業;EBM(根拠に基づく医療)普及推進事業

一般、医療関係者によって分類されている。がんだけでなく、各種ガイドライン、コクラン・レビューなどが収集されている。レイアウトは少しずつ見やすくなってきている。ガイドラインは必ずしも新しくない。

3)がん情報サイト

http://cancerinfo.tri-kobe.org/

発信元:先端医療振興財団 臨床研究情報センター

米国National Cancer Institute(NCI)のPhysician Data Query(R)(PDQ(R))の日本語版、全米を代表とする21のがんセンターで結成されたガイドライン策定組織National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインの日本語版(2013年5月は大腸がん・泌尿器がん・肺がん・婦人科がん・膵臓がん・原発不明がん)を見ることができる。アメリカの資料の翻訳であるために、日本の実情とは相違のあるところや、情報が最新版でないところもあるが、きわめて有用な情報源である。

4)がん診療ガイドライン

http://www.jsco-cpg.jp/top.html

発信元:日本癌治療学会

2013年5月時点で16がん腫と2つの支持療法のガイドラインを見ることができる。各部位の専門学会が提供するホームページへのリンクがはられているものもある。

5)CANCER e-LEARNING

http://www.cael.jp/

発信元:日本癌治療学会(厚生労働省委託事業)

利用するには登録が必要。多岐にわたる内容の講義をネット上で閲覧することができる。若い医師、研修医、がん専門医、医学生を対象にしており内容は充実している。著作権などの問題でスライドをプリントアウトできないので復習がしづらい。

6)ICR web

http://www.icrweb.jp/icr/

発信元:厚生労働省研究班

利用するには登録が必要。がん情報というよりは、臨床研究に関する教育サイト。医師、臨床研究コーディネーター、データマネジャー、倫理審査委員会委員、倫理審査委員会事務局スタッフ、企業の方など臨床研究に携わるすべての人を対象としている。ビデオ講義と資料が中心で、資料はダウンロード可能。

7)各学会

発信元:各学会

学会によってはガイドラインを広く公開しているところがある。検索エンジンで調べる際には、「がん腫」「学会」と「ガイドライン」をキーワードとすると見つけやすい。

2.製薬会社と関連するサイト

各製薬会社は、それぞれの製品にかかわるがん種のサイトとかかわっていることがある。治療の項目では多少のバイアスがあることもあるが、疾患の説明などは患者向けにわかりやすくされていることが多い。以下には製薬会社のサイトとは独立した名称で閲覧できるサイトを記す。

1)がん一般

SurvivorSHIP:http://survivorship.jp/

2)乳がん

乳がん診療情報サイト:http://nyugan.info

乳がん.jp:http://www.nyugan.jp/

3)肺がん

エルねっと:http://www.lnet.info/

4)前立腺がん

What’s 前立腺がん:http://www.zenritsusen.jp/

5)子宮頸がん

allwomen.jp:http://allwomen.jp/index.html

6)大腸がん

アービタックス総合情報サイト

http://www.erbitux.jp/ja/index.html?firstLogin=true

7)移植医療

グリーンリボン:http://www.green-ribbon.jp/

3.その他

がん情報を発信しているサイトは数多い。下記にはアクセス数が多いもの、有用なものを列挙したが、一部にはバイアスのある情報も含まれていることもある。次項の情報の見分け方などを参考にして評価いただきたい。

1)NPO

(1)JPOP-VOICE がんと向き合う:http://jpop-voice.jp/cancer/index.html

がん患者の生の声を収録している。

(2)DIPEx Japan:http://www.dipex-j.org/

英国オックスフォード大学で作られているDatabase of Individual Patient Experiences(DIPEx)をモデルとした、日本版の「健康と病いの語り」のデータベース。

(3)CancerChannel:http://www.cancerchannel.jp/

CancerNet Japanが開催した講義、講演会を中心としたがん医療情報を掲載している。

(4)海外癌医療情報リファレンス:http://www.cancerit.jp/

海外のがん関連情報をボランティアにて翻訳している。米国National Cancer Institute(NCI)、米国Food and Drug Administration(FDA)の記事を中心に、動画も収載されている。NCIが発行するCancer Bulletin(キャンサーブレティン)は2006年より全号掲載(2013年1月にNCIが発行中止)。

(5)日本乳がん情報ネットワーク:http://www.jccnb.net/

NCCNの乳がんや補助療法に関連するガイドラインの訳が掲載されている。

(6)乳がん情報ネット:http://www.csp.or.jp/network/

臨床研究支援事業の一環として乳がん一般について記載されている。

2)メディア

(1)乳がん百科:http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/cancernavi/breast/

(2)アピタル乳がん夜間学校

http://www.cancernet.jp/apitalschool/breastcancer/index.html

(3)癌Experts:http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/search/cancer/

4.海外

有益な情報を発している海外のサイトは無数にある。学会、公的機関などがガイドラインを積極的に開示している。以下にはがん全般を扱っている代表的なサイトをあげる。

1)アメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)

http://www.asco.org/

2)ヨーロッパ臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology: ESMO)

http://www.esmo.org/

3)Multinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)

http://www.mascc.org/

支持療法に特化した学会。

4)コクラン(Cochrane Collaboration)

http://www.cochrane.org/

エビデンスに基づく総説などを掲載する国際的ネットワーク。

5)Database of Reviews of Effects(DARE)

http://www.crd.york.ac.uk/crdweb/

コクランほど包括的ではないが、項目は多い。

6)Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)

http://www.guideline.gov/

アメリカのガイドライン集。

7)NHS Evidence

https://www.evidence.nhs.uk/

イギリスのガイドライン集。

8)Ontario Medical Association(OMA)

https://www.oma.org/

カナダのガイドライン集。

9)その他の有料サイト

Clinical Evidence、PIER、UpToDate、DynaMed、EBM Guidelines、Merck Manual、ACP Journal Club、InfoPOEMs、Bandolier

インターネットの進歩によって情報量は飛躍的に増えた。エビデンスに基づく医療は、医療情報がPubMed、MEDLINEなどに格納、一般公開されているからこそ発展してきた。この恩恵を被っているのはもちろん医療従事者だけではない。患者も医療情報の収集にインターネットを積極的に利用している[1]。

だれもが簡単に情報を発することができるようになると、その信用性が問題になる。1990年代からこの問題は指摘されている。一時はインターネットから医療情報を入手するのは、「消火栓から出てくる水を飲むようなもの」とまったく信用ができないと論評されていた[2]。

インターネットで情報を収集する際には、Googleに代表されるような検索エンジンを利用することが一般的である。アメリカではGoogleで「cancer」について検索すると、ガイドラインや病院からの治療情報などが上位にランキングされるようになってきた。しかしながら、日本ではエビデンスに則らない医療を推奨する広告が数多く掲載されるのみならず、ランキングでも上位にくる。さらに、ブログなどによる闘病記などが目立つこともアメリカとは異なっている[3]。

日本の掲載情報の問題は、医療情報の枠を超えた社会的な問題である。しかしそのような情報が患者の目に入りやすいこと、エビデンスに基づく医療との差異がネットでの情報収集だけではわからないことを医療従事者は十分に留意すべきである。

医療情報の信頼性はどのように評価すればよいのであろうか。

1997年には「アメリカ医師会雑誌」にインターネットのサイトを見るときに留意することとして4点が掲載されている[4](表1)。医学的な評価については掲載されておらず、倫理的な評価にとどまっているものの、その簡便性からその後もしばしば利用されている。

評価ツールは数多く発表されており、それらは行動規範、品質保証、利用案内、フィルター、第三者機関による認証などに分類することができる[6]。しかしそのなかで利用されているものはわずかであり、また評価方法の再現性、客観性が検討されているものも少ない[7]。現在、最も普及しているものは国際連合に公認された非営利・非政府組織Health on the Net(HON)による評価方法であろう。多くの言語にその規範が訳されており、日本語版はhttp://www.hon.ch/HONcode/Pro/Japanese/からアクセスすることができる。HONが提唱する8つの規範を遵守していることを条件に、サイトからの申請に基づいて掲載が許可される(1年ごとに更新が必要)。クリックすると申請日、更新日などを確認することができる。海外のサイトではこのコード(図1)が記されているものも多いので、そのような目で見てみると興味深い。日本にも同じような機関があるが、参加医療機関が少なくあまり参考にならない。

情報インフラの整備にともない、インターネットの情報は文字、音声、映像と進化してきている。いままでは一方向性であった情報も、ブログやtwitter、facebookといったソーシャルメディアの進歩によって双方的になってきている。がん医療においても、これらの新しいメディアを使った情報の共有が進んでいる[8, 9]。さらに、いままでの医療情報が医療従事者から発信されているものばかりであったが、患者からの情報も広く収集して、集合知としていく動きもみられる[10]。インターネットが医療者と患者の情報の非対称を補完するものになることが期待される。

インターネットには情報が収集されているものの、その利用方法は各自に委ねられる。以前は、ディレクトリ型と称され、各サイトをそれぞれの特徴毎に階層化し整理することが多かった。たとえば、肺がんのガイドラインであれば、家庭・医療>医療>がん>臓器>肺といった階層に収納されていた。1996年に設立されたGoogleはまったく別の方法で情報を整理した。Google独自のシステムで世界中のサイトを巡回して情報を収集し索引をつくる。利用者がGoogleを利用して検索をすると、Googleはその索引から、利用者が求めていると思われる情報を順次表示する。この方法がいま最も多く利用されている検索エンジンの土台となっている。しかし、医療情報においてはこの方法ではまだ信頼性の確保、利便性において不十分である。

将来は患者が、「胸の違和感」、「動いた時」、「長続きしない」といったキーワードを入力すると「狭心症」といった診断ができるようになるかもしれない。情報はただ収集するだけではなく、そこから仮説、結論を導き、最終的に知識とする必要がある。いまはまだ、仮説、結論にはヒトの作業が不可欠であり、インターネット自体に「知識」があると考えるのはサイエンスフィクションに出てきそうな話であるが、ヒトがその新しい知識に基づいて医療を展開する日も近いかもしれない[11]。

1. Hesse BW, et al. Surveys of physicians and electronic health information. N Engl J Med 2010; 362(9): 859-60. [PubMed]

2. McLellan F. “Like hunger, like thirst”: patients, journals, and the internet. Lancet 1998; 352 Suppl 2: SII39-43. [PubMed]

3. Goto Y, et al. Differences in the quality of information on the internet about lung cancer between the United States and Japan. J Thorac Oncol 2009; 4(7): 829-33. [PubMed]

4. Silberg WM, et al. Assessing, controlling, and assuring the quality of medical information on the Internet: Caveant lector et viewor--Let the reader and viewer beware. JAMA 1997; 277(15): 1244-5. [PubMed]

5. Jadad AR, Gagliardi A. Rating health information on the Internet: navigating to knowledge or to Babel? JAMA 1998; 279(8): 611-4. [PubMed]

6. Wilson P. How to find the good and avoid the bad or ugly: a short guide to tools for rating quality of health information on the internet. BMJ 2002; 324(7337): 598-602. [PubMed]

7. Bernstam EV, et al. Instruments to assess the quality of health information on the World Wide Web: what can our patients actually use? Int J Med Inform 2005; 74(1): 13-9. [PubMed]

8. Meier A, et al. How cancer survivors provide support on cancer-related Internet mailing lists. J Med Internet Res 2007; 9(2): e12. [PubMed]

9. Bender JL, et al. Seeking support on facebook: a content analysis of breast cancer groups. J Med Internet Res 2011; 13(1): e16. [PubMed]

10. Dave deBronkart: Meet e-Patient Dave [Internet]. ted.com. [cited 2011 Dec. 28]. Available from: http://www.ted.com/talks/lang/en/dave_debronkart_meet_e_patient_dave.html

11. Martin M. Semantic Web may be cancer information’s next step forward. J Natl Cancer Inst 2011; 103(16): 1215-8. [PubMed]