A 疫学・診断
1.疫学・予後
2.診断
3.病期分類(ステージング)(UICC 第7 版、2009)
B 治療
1.小細胞肺がんに対する初回治療
2.再発・再燃小細胞肺がん
3.高齢者・performance status 不良小細胞肺がん
4.非小細胞肺がんに対する初回治療
5.非小細胞肺がんの二次治療
6.早期緩和ケア
文献

1.疫学・予後

1)死亡数

わが国における2011年の肺がん死亡者数は男性5万782人、女性1万9511人、合計7万293人であった。これは総死亡の約6%、悪性新生物死亡の約20%にあたり、部位別がん死亡数の第1位である。50年前と比較すると、肺がん死亡者数は13.5倍になった。年齢調整死亡率で1985年と比較しても2.8倍となっている[1, 2]。

胸部単純X線を用いた肺がんの年次検診は、米国での大規模ランダム化比較試験[3]で肺がん死亡率を低下させないことが報告された。しかし、低線量CTを用いた年次検診は、米国での大規模ランダム化比較試験[4]の結果、55-74歳の30 pack-years(注)以上の高リスク群では、胸部X線に比較し、20%の死亡率低下が認められた。

[注]pack-years:1日の喫煙箱数(1箱=20本)×喫煙年数。

2)リスク因子

喫煙および受動喫煙が明確なリスク因子である。肺がんの発生と死亡率は過去(20-30年前)の喫煙率と強く相関している。わが国でも喫煙率の低下に伴い、肺がんの年齢調整死亡率は1995年をピークに減少傾向にある。

3)予後

表1に非小細胞肺がん外科切除例の病理病期別5年生存割合を示す。切除不能III期非小細胞肺がん患者の放射線治療単独での予後は1年生存割合50%、2年生存割合は15%程度であった。緩和ケア単独のIV期非小細胞肺がん患者の予後は生存期間中央値5-7か月、1年生存割合は10%程度である。小細胞肺がんの無治療での生存期間中央値は、進展型で2-3か月、限局型で3-4か月とされている。

2.診断

1)症状と身体所見

肺がんに伴う症状には、胸部の病巣によるものとして咳、血痰、胸痛、呼吸困難、喘鳴、上大静脈症候群、反回神経麻痺による嗄声などがある。さらに進展すると、上腕神経叢への浸潤による上肢の神経痛、頸部交感神経節への浸潤によるホルネル(Horner)症候群などの症状をきたすことがある。また、脳、骨転移などの遠隔転移に伴う症状、腫瘍随伴症候群として現れる症状もある。

肺がん患者は様々な合併症を有することが多く、またperformance statusは治療選択に強く影響するため、丁寧な問診が重要である。視診ではチアノーゼ、浮腫、栄養状態、脱水等を観察する。鎖骨上窩リンパ節、頸部リンパ節の注意深い触診を行う。鎖骨上窩・頸部リンパ節転移から病理学的確定診断が得られ、気管支鏡などの患者への負担が大きい検査が不要となる場合がある。気道狭窄の有無、合併した他の呼吸器疾患の評価のため、丁寧な聴診を行う。

2)画像診断

胸部X線撮影、胸部CTが肺がん診断において重要である。’抃訐瓩梁腓さと占拠部位、境界・辺縁の性状、4存の肺構造との関係、し訐疇睇瑤寮状、シ訐瓩亮囲肺の所見、βけCTによる縦隔リンパ節の評価、およびР甬逎侫ルムとの検討による腫瘍倍加時間の推定等を行う。遠隔転移部位は骨、肺、脳、肝臓、副腎などが多い。進行がん患者に対しては、骨シンチグラフィまたはPET、脳造影MRIまたはCT、腹部CTまたはエコーを用いたステージングを行う。

3)確定診断法

確定診断には喀痰細胞診、胸水細胞診、転移リンパ節生検、気管支鏡検査、経皮肺針生検、胸腔鏡検査、開胸肺生検などの方法がある。がんの確定診断、組織型の確定および必要に応じて遺伝子検査を行う。

非扁平上皮非小細胞肺がんにおいては、上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor: EGFR)遺伝子変異がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)の効果予測因子であり、一般診療でも必須の検査である。また、肺腺癌の5-7%にEML4(echinoderm microtubule-associated protein-like 4)-ALK(anaplastic lymphoma kinase)遺伝子転座が認められ、陽性患者ではクリゾチニブが治療選択肢となる。

4)病理組織分類

肺がんの大部分は組織学的に、〜4癲↓扁平上皮癌、B膾挧Υ癲↓ぞ細胞癌の4大組織型に分類される。大きくは小細胞肺がん(small cell lung cancer: SCLC)と非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer: NSCLC)とに分類されるが、非小細胞肺がんにおいても組織型により治療効果や有害事象の頻度が異なる薬剤が実地臨床で使用されるようになったこと、上述したEGFR遺伝子変異やALK染色体転座の出現頻度が組織型によって異なることから、より厳密に組織型を特定する必要性が高まっている。WHO分類は2004年に最新版が刊行された[7]。腺癌に関しては、2011年にInternational Association for the Study of Lung Cancer(IASLC/American Thoracic Society(ATS/European Respiratory Society(ERS)が共同で分類を改訂している[8]。

3.病期分類(ステージング)(UICC第7版、2009)

UICCが作成するTNM分類の他に、小細胞肺がんでは、病巣が一側胸郭に限局し、転移があっても同側肺門、縦隔、鎖骨上窩リンパ節にとどまる場合を限局型(limited disease: LD)とし、それを超えて広がった状態を進展型(extensive disease: ED)と定義してTNM分類とともに用いることが多い。現行のTNM分類は2010年から運用が開始された。第7版の前版からの大きな変更点は以下のとおりである。

・T1を、2 cm以下のT1aと2 cmより大きいT1bに分ける。
・T2のなかで、5 cm以下がT2a、5 cmより大きく7 cm以下がT2b、7 cmを超えるものをT3とする。
・PM1がT4からT3へと再分類される。
・同側他肺葉転移PM2がM1からT4へと再分類される。
・M1を二分して、対側肺葉転移(PM2)、悪性胸水・心囊水がM1a、遠隔転移はM2aとする。

1)TNM分類

(*クリックすると拡大表示します)

2)病期分類

1.小細胞肺がんに対する初回治療

1)手術療法

Stage Iの小細胞肺がんに対しては、エビデンスの高い比較試験は存在しないが、外科的切除に化学療法を追加し比較的良好な成績(5年生存割合40-70%)が報告されている。治療法の選択肢のひとつとされている。

2)限局型(limited disease: LD)小細胞肺がん

シスプラチン+エトポシド併用療法(PE)と、同時併用胸部放射線療法(1日2回照射の加速過分割照射)が標準治療である。

PE療法 ✚✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

etoposide 100 mg/m2 静注 day1,2,3

3-4週毎 4サイクル

胸部放射線療法 ✚✚✚

1.5 Gy/fr 1日2回(6時間以上あけて照射) 計45 Gy

限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)を対象としたメタアナリシスで、化学療法単独に対して化学療法に放射線療法を加えることで生存が改善することが示された[9]。また、化学放射線療法は逐次併用と比べ同時併用でより生存が良好であること[10]、通常照射より加速過分割照射により生存が改善すること[11]が示されてきた。放射線療法と同時にfull doseでの併用が可能なことから、PE療法が標準化学療法となっている。JCOGは、1サイクルのPE療法と同時併用放射線加速過分割照射後に、3サイクルのPE療法を継続する標準治療に対し、3サイクルのイリノテカン+シスプラチン(IP)継続を比較する第III相試験を行ったが、標準治療に対する優越性を示すことはできなかった(JCOG0202)。

3)進展型(extensive disease: ED)小細胞肺がん

IP療法 ✚✚✚

cisplatin 60 mg/m2 静注 day1

irinotecan 60 mg/m2 静注 day1,8,15

4週毎 4サイクル

PE療法 ✚✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

etoposide 100 mg/m2 静注 day1,2,3

3週毎 4サイクル

進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)154例を対象に、IP療法と標準治療であったPE療法を比較した第III相試験(JCOG9511)が行われ、IP療法は全生存が有意に優れることが報告された(生存期間中央値12.8か月 vs. 9.4か月、p=0.002)[12]。米国を中心に行われた2つの大規模な追試ではIP療法とPE療法との間に有意な生存期間の差は認められなかった[13, 14]。わが国ではIP療法は標準治療として確立している。JCOGはIP療法とシスプラチン+アムルビシン(PA)療法とのランダム化試験を行ったが、IP療法の全生存期間が優れており、PA療法の非劣性は証明されなかった[15]。

2.再発・再燃小細胞肺がん

初回治療が奏効し、再発までの期間が長い場合(sensitive relapse: 通常最終化学療法から再発まで3か月以上とすることが多い)、初回化学療法と同じレジメンで腫瘍の縮小が得られる可能性が高いことが指摘されている。

・amrubicin 35-40 mg/m2 静注 day1,2,3 3週毎 ✚✚✚

・nogitecan 1.0 mg/m2 静注 day1-5 3週毎 ✚✚✚

・irinotecan 60-100 mg/m2 静注 day1,8,15 4週毎 ✚✚

・sensitive relapseでは、初回レジメンを繰り返すことも選択肢のひとつである ✚✚

再発小細胞肺がんに対して、ノギテカン(トポテカン)とシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン併用療法が比較され、全生存期間は同等であったが、ノギテカン群でQOLが優れる傾向であった[16]。また、経口ノギテカンと静注ノギテカンを比較した第III相試験では両群間の全生存期間、QOLに有意差を認めなかった[17]。再発小細胞肺がん患者を対象に、経口ノギテカンと緩和ケア(best supportive care: BSC)を比較した第III相試験では、経口ノギテカン群で有意に全生存期間が改善した(生存期間中央値25.9週 vs. 13.9週、p=0.01)[18]。

アントラサイクリン系抗がん剤であるアムルビシンの再発小細胞肺がんに対する有効性がわが国から報告されている[19, 20]。しかし、ノギテカンとの比較試験では、奏効割合、無増悪生存期間、QOLは良好であったものの、全生存期間には差を認めなかった。

イリノテカンについては、第II相試験の結果のみではあるが良好な奏効割合が報告されている[21]。

3.高齢者・performance status不良小細胞肺がん

CE療法 ✚✚✚

carboplatin AUC 5 mg/mL/分 静注 day1

etoposide 80 mg/m2 静注 day1,2,3

3週毎 4サイクル

70歳以上あるいはperformance status(PS)3の小細胞肺がん患者を対象に、シスプラチン(3日間分割投与)+エトポシドとカルボプラチン+エトポシド(CE)のランダム化第III相試験(JCOG9702)が行われた[22]。結果は両群で生存、有害事象ともほぼ同等であった。投与法の簡便さからCE療法は標準治療のひとつと考えられている。この結果を受けて、高齢小細胞肺がん患者を対象にアムルビシンとCE療法を比較する第III相試験(製造販売後臨床試験)が行われたが、肺障害を含め、アムルビシン単剤の毒性が強く、試験は中止となった。

4.非小細胞肺がんに対する初回治療

1)手術療法

臨床病期I期またはII期で外科的切除可能な患者には、肺葉切除と肺門および縦隔リンパ節廓清が推奨される。臨床病期I期における縮小手術や胸腔鏡補助下肺葉切除についての明確なエビデンスはない。

2)IA期(術後補助化学療法)

シスプラチンを含む術後補助化学療法の適応はない。腫瘍径が2 cmを超えるT1bについてはテガフール・ウラシルの意義が示唆されている。

3)IB期(術後補助化学療法)

メタアナリシス[23]では、IB期におけるシスプラチンを含む術後補助化学療法の意義は疑問視されており、その適応には議論のあるところである。一方、わが国における、完全切除された病理病期鬼の腺癌患者999人を対象としたテガフール・ウラシルによる術後補助化学療法のサブグループ解析では、術後2年間のテガフール・ウラシル内服により5年生存割合が11%改善した(鬼全体では3%の改善、p=0.047)[24]。これらの結果から、完全切除された病理病期IB期患者に対する2年間のテガフール・ウラシル内服は治療の選択肢となる。なおテガフール・ウラシル内服により、フェニトインの血中濃度上昇、ワルファリンの作用増強が起こるため、併用薬剤には注意が必要である。

tegafur-uracil(UFT) 250 mg/m2/日 分2 内服(食前) 1-2年間
✚✚✚

4)II期、IIIA期(術後補助化学療法)

シスプラチンを含む術後補助化学療法により、全生存期間の有意な改善が報告されている[23]。

cisplatin+docetaxel ✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

docetaxel 60 mg/m2 静注 day1

3週毎 3-4サイクル

cisplatin+vinorelbine ✚✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

vinorelbine 25 mg/m2 静注 day1,8

3週毎 3-4サイクル


IALTでは、シスプラチンと、エトポシド、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンデシンいずれかの組み合わせにより、5年生存割合が4%改善した[25]。NCI-Canadaを中心として行われたJBR.10は、病理病期IB期とII期を対象として行われ、シスプラチン+ビノレルビンにより5年生存割合が15%改善した[26]。ANITAは、病理病期IB-IIIA期を対象として行われ、シスプラチンとビノレルビンにより5年生存割合が8.6%改善した[27]。これらの結果を含む4584例を対象としたメタアナリシスにより、病理病期II期、IIIA期におけるシスプラチンを含む術後補助化学療法の有用性が示されている(HR=0.89、5年生存割合で5.3%の改善、p=0.004)[23]。

5)非切除IIIA期、IIIB期

放射線単独に比較し、化学放射線療法(総線量60-66 Gy 1.8-2.0 Gy/fr)で全生存期間が良好であること、また逐次併用よりも同時併用で全生存期間が良好であることも示されてきた[28, 29]。同時併用化学放射線療法では、食道炎の頻度が増加するものの、有害事象は耐用可である。performance status良好な患者に対してはシスプラチンを含む併用化学療法と同時併用放射線療法が標準治療である。

[放射線療法と同時併用で用いられる化学療法レジメン]

cisplatin+vinorelbine ✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

vinorelbine 20 mg/m2 静注 day1,8

4週毎 2-4サイクル

cisplatin+docetaxel ✚✚

cisplatin 40 mg/m2 静注 day1,8

docetaxel 40 mg/m2 静注 day1,8

4週毎 2サイクル

cisplatin+TS-1(S-1) ✚✚

cisplatin 60 mg/m2 静注 day1

tegafur・gimeracil・oteracil potassium(S-1) 80 mg/m2 静注 day1-14

4週毎 2-4サイクル

carboplatin+paclitaxel ✚✚

carboplatin AUC 2 mg/mL/分 点滴静注 30分/回/週

paclitaxel 40 mg/m2 点滴静注 1時間/回/週

6週間

化学放射線同時併用終了後、

paclitaxel 200 mg/m2 静注 day1

carboplatin AUC 5 静注 day1

3週毎 2サイクル追加

西日本がん研究機構により、シスプラチン+ビンデシン+マイトマイシンC+同時併用放射線療法を対照群として、カルボプラチン+パクリタキセル+放射線療法、カルボプラチン+イリノテカン+放射線療法を比較するランダム化第III相試験が行われた[30]。生存期間中央値はそれぞれ20.5か月、22.0か月、19.8か月とカルボプラチンベースの化学療法は非劣性を証明することはできなかった。しかし、有害事象のプロファイルが比較的良好であったことから、シスプラチン使用困難な患者に対しては一般診療でも適用可能と考えられる。カルボプラチンベースの化学療法は米国では汎用されており、かつ有害事象は耐用可能であったものの第二世代化学療法であるシスプラチン+ビンデシン+マイトマイシンCとの比較で生存の非劣性が示されなかったこと、小規模ながら最近のランダム化第II相試験において放射線併用下でカルボプラチン+パクリタキセルはシスプラチン+エトポシドより劣ることも報告されており、その使用においては注意が必要である。

一方、岡山肺癌治療研究会は、シスプラチン+ドセタキセル+放射線療法とシスプラチン+ビンデシン+マイトマイシンC+放射線療法を比較するランダム化第III相試験を行った。生存期間中央値はそれぞれ26.8か月、23.7か月で、有意差には至らないもののシスプラチン+ドセタキセル+放射線療法で優れる傾向がみられた(p=0.059)[31]。

2011年のAmerican Society of Radiation Oncology(ASTRO)で、放射線療法の線量に関する比較試験の結果が報告された。化学療法ではカルボプラチン+パクリタキセルにセツキシマブの併用有無の比較、放射線療法は74 Gyと60 Gyを比較する2×2デザインであったが、74 Gyの高線量で治療された群において全生存期間が有意に劣っていた。

以上のように、現時点におけるIII期非小細胞肺がんの標準治療はシスプラチンを含む化学療法と同時併用放射線療法(60 Gy)であるものの、依然至適な化学療法は決定していない。シスプラチン+テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(tegafur・gimeracil・oteracil potassium: S-1)、シスプラチン+ビノレルビンが一般診療では頻用されている[32, 33, 34]。

6)performance status良好な(PS 0、1)IV期

シスプラチンを含む併用化学療法により、全生存期間の延長、QOLの改善が得られる。カルボプラチンを含む化学療法はシスプラチンを含む化学療法に比べ、点滴時間の短縮など投与は簡便であるものの、非扁平上皮非小細胞肺がん患者においては全生存期間が劣ることがメタアナリシスで示されている[35]。シスプラチンは腎毒性、長時間の補液が必要、悪心・嘔吐の頻度が高いなどの問題点があったが、シスプラチン前補液にマグネシウム 8mEqを追加し、マンニトールを直前に投与することにより短時間補液においても腎毒性はほとんど問題とならなくなった[36]。また第二世代5HT3受容体拮抗剤であるパロノセトロン、アプレピタントの登場により悪心・嘔吐は有意に改善した[37]。

プラチナ製剤と第三世代抗がん剤と呼ばれるドセタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン、イリノテカン、ビノレルビンのいずれかの2剤併用化学療法が長らくIV期非小細胞肺がんの標準治療であった。米国Southwest Oncology Group(SWOG)ではシスプラチン+ビノレルビンとカルボプラチン+パクリタキセルが比較され、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)ではシスプラチン+ゲムシタビン、シスプラチン+ドセタキセル、カルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+パクリタキセルの4群が比較されたが、いずれの試験でも生存は各レジメンで有意差がみられないことが報告された[38]。ECOGでは耐用性と投与の簡便さからカルボプラチン+パクリタキセルが標準治療として選択された。一方、欧州では上述のメタアナリシスでシスプラチンが優れていたこと、またゲムシタビンを含む治療と含まない治療を比較したメタアナリシスの結果においてゲムシタビンを含む治療で無増悪生存期間が良好であったこともあり、シスプラチン+ゲムシタビンが汎用されるようになった。

わが国においては、進行非小細胞肺がん患者602人を対象にランダム化試験(FACS)が行われ、シスプラチン+イリノテカン併用療法を対照群として、シスプラチン+ゲムシタビン、シスプラチン+ビノレルビン、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の非劣性が検討された[39]。生存期間中央値、1年生存割合はそれぞれシスプラチン+イリノテカン群で13.9か月;59.2%、シスプラチン+ゲムシタビン群で14.0か月;59.6%、シスプラチン+ビノレルビン群で11.4か月;48.3%、カルボプラチン+パクリタキセル群で12.3か月;51.0%であったが、非劣性は証明されなかった。しかし、統計学的な有意差はないものの、シスプラチン+イリノテカンとシスプラチン+ゲムシタビンはほぼ同等、カルボプラチン+パクリタキセルとシスプラチン+ビノレルビンはほぼ同等で、コントロール群に比べるとやや劣ることが示唆された。同じくわが国で行われたシスプラチン+ドセタキセル併用療法とシスプラチン+ビンデシン併用療法を比較した第III相試験(TAX-JP-301)では、シスプラチン+ドセタキセルは有意に全生存期間、QOLが優れていた(生存期間中央値は11.3か月 vs. 9.6か月、p=0.014)[40]。

2012年のASCOでシスプラチン+ドセタキセルを対照レジメンとしたシスプラチン+S-1の第III相試験結果が報告され、シスプラチン+S-1の全生存期間に対する非劣性が示された。毒性、QOL評価も良好であり、シスプラチン+S-1は標準レジメンのひとつとなった[41]。

ECOGはカルボプラチン+パクリタキセルにベバシズマブの上乗せ効果を検証するランダム化第III相試験(ECOG4599)を行った[42]。先行する第II相試験では、ベバシズマブを含む化学療法により重篤な喀血が6例にみられ、うち4例が扁平上皮癌であったことから、ECOG4599では非扁平上皮非小細胞肺がんを対象に試験が行われた。ベバシズマブ併用群で有意な生存の延長がみられ(生存期間中央値12.3か月 vs. 10.3か月、HR=0.79、p=0.003)、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブが新たなECOGの標準治療となった。しかし、ベバシズマブ併用によりECOG4599では有意な治療関連死の増加(3.6% vs. 0.5%)、血栓症や喀血、発熱性好中球減少などの重篤な有害事象の増加が認められた。また、ECOG4599は当初サンプル数を640例としていたが、中間解析の後、データモニタリング委員会(data monitoring committee)の推奨によりサンプル数を842例に増加し、有意差を認めたという試験である。リスク、コストが増加するためベバシズマブの意義については確認試験が必要である。欧州を中心にベバシズマブをシスプラチン+ゲムシタビンに上乗せするAVail試験が行われたが、無増悪生存期間はベバシズマブ併用群で優れていたものの、ECOG4599とは異なり全生存期間には有意差はみられなかった[43]。ベバシズマブは、コスト増加の問題もあり、今後有用な患者群の同定が必要な薬剤である。

Scagliottiらは、シスプラチン+ゲムシタビンを対照としたシスプラチン+ペメトレキセドの第III相試験を行い、シスプラチン+ペメトレキセドのシスプラチン+ゲムシタビンに対する非劣性を示した。サブグループ解析では、扁平上皮癌においてシスプラチン+ゲムシタビンの全生存期間が有意に良好であり、腺癌および大細胞癌患者ではシスプラチン+ペメトレキセドが良好であった(生存期間中央値11.8か月 vs. 10.4か月、HR=0.81、p=0.005)[44]。Grade 3以上の血液毒性はシスプラチン+ペメトレキセド群で有意に少なく(p<0.001)、発熱性好中球減少も少なかった(1.3% vs. 3.7%、p=0.002)が、嘔吐はシスプラチン+ペメトレキセド群で有意に多かった。治療関連死は1.0%と0.7%であった。以上のエビデンスを踏まえて、下記のレジメンが推奨される。

S-1+cisplatin ✚✚✚

tegafur・gimeracil・oteracil potassium(S-1) 80-120 mg/日 分2
内服 day1-21

cisplatin 60 mg/m2 静注 day8

5週毎 4-6サイクル

cisplatin+docetaxel ✚✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

docetaxel 60 mg/m2 静注 day1

3週毎 4サイクル

cisplatin+gemcitabine ✚✚✚

cisplatin 80 mg/m2 静注 day1

gemcitabine 1000 mg/m2 静注 day1,8

3週毎 4サイクル

carboplatin+paclitaxel ✚✚✚

carboplatin AUC 6 静注 day1

paclitaxel 200 mg/m2 静注 day1

3週毎 4サイクル

cisplatin+pemetrexed(扁平上皮癌患者以外)✚✚✚

cisplatin 75 mg/m2 静注 day1

pemetrexed 500 mg/m2 静注 day1

3週毎 4サイクル

7)上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor: EGFR)遺伝子変異

アジア9か国共同で行われたIPASS試験では、非・軽喫煙の腺癌患者を対象に、初回治療としてゲフィチニブとカルボプラチン+パクリタキセルが比較された[45]。無増悪生存期間について、ゲフィチニブ群のカルボプラチン+パクリタキセル群に対する非劣性が証明され、優越性についてもゲフィチニブ群で有意に延長していた(HR=0.74、p<0.001)。しかし、Kaplan-Meier法による無増悪生存期間曲線は途中で交差しており、無増悪生存期間のハザード比は一定でないことが示唆された。EGFR遺伝子変異の有無がこの結果に寄与すると考えられた。EGFR遺伝子変異はおよそ6割の患者にみられ、サブグループ解析ではこれらの患者ではゲフィチニブの無増悪生存期間延長はより大きなものであった(無増悪生存期間中央値9.5か月 vs. 6.3か月、HR=0.48、p<0.001)。一方、EGFR遺伝子変異を有しない患者ではゲフィチニブの奏効はわずか1.1%であり、無増悪生存期間もゲフィチニブ群で大きく劣っていた(HR=2.85、p<0.001)。IPASS試験では、EGFR遺伝子変異検索には高感度なScorpion-ARMS法が使用されており、このような高感度法によりEGFR遺伝子変異陰性と判断された腺癌患者については、ゲフィチニブやエルロチニブの効果は期待できないと考えられる。

EGFR遺伝子変異陽性例に対する初回治療としてのゲフィチニブ、エルロチニブの無増悪生存期間の優越性は以下に記載する4試験でも追認されている。NEJ002試験では200例を対象にゲフィチニブとカルボプラチン+パクリタキセルを比較し、無増悪生存期間中央値10.8か月 vs. 5.4か月(HR=0.41、p<0.001)でゲフィチニブが有意に優れていた[46]。WJTOG3405試験では172例を対象にゲフィチニブとシスプラチン+ドセタキセルが比較された。無増悪生存期間中央値9.2か月 vs. 6.3か月(HR=0.489、p<0.0001)と、ゲフィチニブが有意に優れていた[47]。OPTIMAL試験では165例を対象に、エルロチニブとカルボプラチン+ゲムシタビンが比較された。無増悪生存期間中央値は13.1か月 vs. 4.6か月(HR=0.16、p<0.0001)とエルロチニブが有意に優れていた[48]。EURTAC試験では173例に対して、エルロチニブと、シスプラチンあるいはカルボプラチンとドセタキセルあるいはゲムシタビンの併用療法が比較された。無増悪生存期間中央値9.7か月 vs. 5.2か月(HR=0.37、p<0.0001)と有意にエルロチニブで優れていた[49]。

これら4試験およびIPASS試験について、全生存期間では、ゲフィチニブあるいはエルロチニブと、プラチナを含む化学療法との間に有意な差は報告されていない。QOLについてはゲフィチニブで優れていたことが報告されている。

これらの結果から、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対してはEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が推奨される治療選択肢のひとつとなった。これらの薬剤ではEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんであっても薬剤性肺障害が2-3%程度と報告されており、使用にあたっては注意を要する。performance status不良な場合でも選択肢となるが、間質性肺炎のリスクが増加することが示されており、さらに慎重な投与が必要である。

[EGFR遺伝子変異陽性患者]

gefitinib 250 mg/日 1日1回 連日内服 ✚✚✚

erlotinib 150 mg/日 1日1回 連日内服 ✚✚✚

8)維持療法(maintenance therapy)

維持療法とは、初回化学療法で安定(SD)以上の効果があった患者に標準的な治療期間以降も引き続き化学療法を行うことで、増悪までの期間を延長し、予後の改善を目的とする治療法である。

維持療法は、初回化学療法に用いた薬剤と同じ薬剤を継続するcontinuation maintenanceと、初回化学療法とは別の薬剤に切り替えるswitch maintenanceに分けられる。主なswitch maintenanceとcontinuation maintenanceの臨床試験の結果を表に示す(表2)。

(*クリックすると拡大表示します)

4サイクルのペメトレキセドを含まないプラチナ併用療法(カルボプラチン/シスプラチン+ドセタキセル/パクリタキセル/ゲムシタビン)治療後、進行(PD)以外の患者をペメトレキセド 500 mg/m2+best supportive care(BSC)群とプラセボ+BSC群に割り付け、PDとなるまで治療を続けるランダム化試験が行われた[51]。無増悪生存期間中央値はペメトレキセド群で4.3か月、プラセボ群で2.6か月(HR=0.50、p<0.0001)、全生存期間中央値もペメトレキセド群で13.4か月、プラセボ群で10.6か月(HR=0.79、p=0.002)といずれもペメトレキセド群で有意に良好であった。組織型によるサブグループ解析では、扁平上皮癌ではほとんど差を認めず、非扁平上皮癌においてより高い有用性が認められた。しかし、プラセボ群の増悪後に維持治療薬であるペメトレキセドが18%しか投与されておらず、二次治療としての効果をみている可能性があると指摘され、標準治療とはなっていないのが現状である。また、アジア人、非アジア人別の解析では、非アジア人では有意な差を認めたものの、アジア人ではその差は明らかではなかった[55]。

ペメトレキセドを用いたcontinuation maintenanceの意義を検討した試験(PARAMOUNT)は、非扁平上皮非小細胞肺がん患者1022人を対象に行われた。初回化学療法としてペメトレキセド 500 mg/m2+シスプラチン75 mg/m2を3週間毎に4回投与した。初回導入治療の奏効がPD以外で、かつ全身状態が良好であった患者539人をペメトレキセド 500 mg/m2+BSC群(359人)とプラセボ+BSC群(180人)に2:1に割り付け、PDとなるまで3週毎に1回投与を継続した。ペメトレキセド群の無増悪生存期間中央値は4.1か月、プラセボ群の中央値は2.8か月(HR=0.62; 95%CI 0.49-0.79、p=0.00006)と、ペメトレキセドを継続投与した維持療法に対する無増悪生存期間の延長が示された[53]。副次評価項目では、EQ-5Dを用いて評価したQOL評価に両群間の差はなかった。ランダム化後の全生存期間中央値はペメトレキセド群13.9か月、プラセボ群11.0か月とペメトレキセド群で約3か月延長した[54]。維持療法の意義を直接検証した試験ではないが、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→ベバシズマブ維持療法と、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ→ベバシズマブ+ペメトレキセド維持療法との比較試験(Pointbreak)では全生存期間の優越性はなく、ペメトレキセドによるcontinuation maintenanceの意義は確認できなかった。

現時点では、維持療法は標準治療とはいえず、選択肢のひとつとの位置づけである。

cisplatin+pemetrexed(扁平上皮癌患者以外) ✚✚✚

cisplatin 75 mg/m2 静注 day1

pemetrexed 500 mg/m2 静注 day1

3週毎 4サイクル

以降、維持療法としてpemetrexed 500 mg/m2 静注 3週毎

9)anaplastic lymphoma kinase(ALK)阻害剤

2011年8月、米国Food and Drug Administration(FDA)は、anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対する治療薬としてクリゾチニブ(crizotinib[XALKORI®])を承認した。日本では2012年3月に承認された。

ALKはインスリン受容体スーパーファミリーに属する受容体型チロシンキナーゼである。第2染色体短腕の逆位によって生じるechinoderm microtubule-associated protein-like 4(EML4)遺伝子とALK遺伝子の融合変異体が2007年非小細胞肺がんにおいて発見された[56]。EML4-ALK融合遺伝子の頻度は非小細胞肺がんの約5%(2-7%)で、ほとんどが腺癌であり、EGFRやKRAS遺伝子変異とは排他的であるといわれている。

クリゾチニブは、ALKとc-Met(肝細胞増殖因子受容体)の受容体チロシンキナーゼを阻害するマルチターゲット阻害剤である。ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するクリゾチニブの国際共同第I相試験[57](PROFILE 1011)において、クリゾチニブ250 mgを1日2回投与継続した治療効果は、奏効割合61%(95CI 52-70%)、無増悪生存期間中央値は10.0か月(95CI 8.2-14.7か月)、病勢制御率は8週時点で79%、16週時点で67%であった。Grade 4の有害事象は、ALT上昇と肺臓炎でそれぞれ1人にみられた。20%以上の患者に発現した有害事象は、視覚障害、悪心、下痢、嘔吐、浮腫、便秘であり、特に視覚障害(視力障害、光視症、霧視、飛蚊症、複視)は74人(62%)にみられている。

前化学療法歴があるALK陽性(FISH法による)非小細胞肺がん患者133人を対象としたクリゾチニブの第II相試験(PROFILE 1005)の抗腫瘍効果は、奏効割合51%、病勢制御割合は6週時点で85%、12週時点で73.7%であった。有害事象は、視覚障害(58.8%)が多いものの、すべてGrade 1/2であり、その他悪心、嘔吐、下痢、便秘などが多かった[58]。

ALK陽性肺がん患者に対するクリゾチニブの有効性はEGFR遺伝子変異陽性患者に対するEGFR-TKIとほぼ同様と考えられる。わが国では間質性肺炎の報告もあり、EGFR-TKI同様の注意が必要である。

crizotinib 250 mg/回 1日2回 連日内服 ✚✚✚

10)performance status 2、IV期

performance status(PS)2の患者では、PS 0、1の患者と比べ化学療法による有害事象がより重篤となる可能性があり、また生存期間はより短いことが報告されており、個々の患者における適応を慎重に判断する。海外におけるランダム化第II相試験(ECOG1599)では、カルボプラチンAUC 6+パクリタキセル 200 mg/m2併用療法と、シスプラチン 60 mg/m2+ゲムシタビン 1000 mg/m2併用療法が検討され、耐容可能であったものの、生存期間中央値はそれぞれ6.2か月、6.9か月であった[59]。併用療法が不適切と考えられる患者には、第三世代抗がん剤単剤による治療も検討される(後述の「高齢者」の項を参照)。2012年ASCOではペメトレキセド単剤とカルボプラチン+ペメトレキセドとのランダム化試験結果が報告され、カルボプラチン+ペメトレキセドの優越性が示された。個々の患者におけるPS不良の理由を明らかにして適応を考慮することが必要である。

11)高齢者

70歳以上を対象としたイタリアの第III相試験(ELVIS)で、ビノレルビン単剤によりbest supportive careと比べ有意に生存が改善することが報告された[60]。その後ビノレルビン単剤、ゲムシタビン単剤とビノレルビン+ゲムシタビン併用療法を比較した第III相試験(MILES)では、併用療法の単剤治療に対する生存の改善は示されず、高齢者では単剤治療が標準治療とされた[61]。2006年にわが国より報告されたランダム化第III相試験(WJTOG9904)では、70歳以上の非小細胞肺がん182例(うち2例は不適格)を対象にドセタキセルとビノレルビンが比較され、生存期間には有意差はないもののドセタキセルが良好であった(生存期間中央値14.3か月 vs. 9.9か月、p=0.138)[62]。ビノレルビンまたはゲムシタビン単剤を対照としたカルボプラチン+weekly パクリタキセルとのランダム化試験結果がフランスから報告され、カルボプラチン+weekly パクリタキセル群が有意に予後良好であった。JCOGで行われたドセタキセル単剤とweekly シスプラチン+ドセタキセルとの比較試験では併用群の優越性を示すことはできなかった。わが国ではドセタキセル単剤が標準治療と考えられている。以上のエビデンスより、下記のレジメンが推奨される。

[単剤による化学療法]

docetaxel 60 mg/m2 静注 day1 3週毎 ✚✚✚

vinorelbine 25 mg/m2 静注 day1,8 3週毎 ✚✚✚

[併用化学療法]

paclitaxel+carboplatin ✚✚✚

paclitaxel 70 mg/m2 静注 day1,8,15

carboplatin AUC 6 静注 day1

5.非小細胞肺がんの二次治療

204例の再発非小細胞肺がんを対象としたランダム化第III相試験(TAX317)で、ドセタキセル単剤がbest supportive careに比較し、有意に全生存を改善することが報告された(全生存期間中央値7.0か月 vs. 4.6か月、p=0.047)[63]。また、373例を対象としたドセタキセルとビノレルビンあるいはイホスファミドいずれかを比較した第III相試験(TAX320)では、全生存には有意差はなかったもののドセタキセルで1年生存割合が良好であり、また無増悪生存期間はドセタキセル群で有意に優れていた[64]。これらの結果からドセタキセルは再発非小細胞肺がんにおける標準治療として確立された。欧米ではドセタキセルは75 mg/m2(3週毎に投与)として使用されるが、わが国ではこの用量では承認されておらず、通常60 mg/m2(3週毎に投与)で使用される。また、571例を対象としてペメトレキセドとドセタキセルを比較するランダム化第III相試験が行われ、ペメトレキセドのドセタキセルに対する非劣性は証明されなかったものの、臨床的にほぼ同等の有効性が示された[65]。

上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬であるエルロチニブ、ゲフィチニブはEGFR遺伝子変異陽性患者に適応となる。また、エルロチニブはBR21試験で扁平上皮癌に対する生存期間改善が示されており[66]、EGFR遺伝子変異にかかわりなく扁平上皮癌には選択肢となる。

docetaxel 60 mg/m2 静注 day1 3週毎 ✚✚✚

pemetrexed 500 mg/m2 静注 day1 3週毎 ✚✚✚

(ビタミンB12、葉酸の補充を併用)

gefitinib 250 mg/日 連日内服 ✚✚✚

erlotinib 150 mg/日 連日内服 ✚✚✚

6.早期緩和ケア

Temelらは転移を有する非小細胞肺がん患者を対象に、化学療法を中心とし必要に応じて緩和ケアを行う標準治療群と、早期から緩和ケアと化学療法を統合した早期緩和ケア群とのランダム化試験を行い、早期緩和ケア群でQOLが良好であることを示した[67]。また、早期緩和ケア群ではうつの頻度が少なく、終末期ケアの質も高いこと、また全生存期間も有意に改善していることが示された。早期緩和ケア群では、症状緩和とともに患者の病状理解の促進、意思決定の支援を行っていた。本試験結果から、早期からの症状緩和、病状理解の促進、意思決定支援とともにチーム医療、医療連携の重要性が高いレベルのエビデンスで示された。日常診療においては、病状やその後に起こりうる事象、治療の真の意義に関する患者・家族の理解度を高め、意思決定を支援すること、終末期ケアについてもなるべく早い時期に話し合っておくことが必要である。

1. 国立がん研究センターがん対策情報センター. がん情報サービス:人口動態統計によるがん死亡データ(1958-2011年). http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html#01

3. Oken MM, et al. Screening by chest radiograph and lung cancer mortality: the Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian (PLCO) randomized trial. JAMA 2011; 306(17): 1865-73. [PubMed]

4. National Lung Screening Trial Research Team. Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. N Engl J Med 2011; 365(5): 395-409. [PubMed]

5. Sawabata N, et al. Japanese lung cancer registry study of 11,663 surgical cases in 2004: demographic and prognosis changes over decade. J Thorac Oncol 2011; 6(7): 1229-35. [PubMed]

6. Goldstraw P, et al. The IASLC Lung Cancer Staging Project: proposals for the revision of the TNM stage groupings in the forthcoming (seventh) edition of the TNM Classification of malignant tumours. J Thorac Oncol 2007; 2(8): 706-14. [PubMed]

7. Travis WD, et al (eds). WHO Classification of Tumours: Pathology and Genetics of Tumours of the Lung, Pleura, Thymus and Heart. Lyon: IARC Press, 2004.

8. Travis WD, et al. International Association for the Study of Lung Cancer/American Thoracic Society/European Respiratory Society International Multidisciplinary Classification of Lung Adenocarcinoma. J Thorac Oncol 2011; 6(2): 244-85. [PubMed]

9. Pignon JP, et al. A meta-analysis of thoracic radiotherapy for small-cell lung cancer. N Engl J Med 1992; 327(23): 1618-24. [PubMed]

10. Takada M, et al. Phase III study of concurrent versus sequential thoracic radiotherapy in combination with cisplatin and etoposide for limited-stage small-cell lung cancer: results of the Japan Clinical Oncology Group Study 9104. J Clin Oncol 2002; 20(14): 3054-60. [PubMed]

11. Turrisi AT 3rd, et al. Twice-daily compared with once-daily thoracic radiotherapy in limited small-cell lung cancer treated concurrently with cisplatin and etoposide. N Engl J Med 1999; 340(4): 265-71. [PubMed]

12. Noda K, et al. Irinotecan plus cisplatin compared with etoposide plus cisplatin for extensive small-cell lung cancer. N Engl J Med 2002; 346: 85-91. [PubMed]

13. Hanna N, et al. Randomized phase III trial comparing irinotecan/cisplatin with etoposide/cisplatin in patients with previously untreated extensive-stage disease small-cell lung cancer. J Clin Oncol 2006; 24(13): 2038-43. [PubMed]

14. Lara PN Jr, et al. Phase III trial of irinotecan/cisplatin compared with etoposide/cisplatin in extensive-stage small-cell lung cancer: clinical and pharmacogenomic results from SWOG S0124. J Clin Oncol 2009; 27(15): 2530-5. [PubMed]

15. Kotani Y, et al. A phase III study comparing amrubicin and cisplatin (AP) with irinotecan and cisplatin (IP) for the treatment of extended-stage small cell lung cancer (ED-SCLC): JCOG0509. J Clin Oncol 2012; 30(suppl): abstr 7003.

16. von Pawel J, et al. Topotecan versus cyclophosphamide, doxorubicin, and vincristine for the treatment of recurrent small-cell lung cancer. J Clin Oncol 1999; 17(2): 658-67. [PubMed]

17. Eckardt JR, et al. Phase III study of oral compared with intravenous topotecan as second-line therapy in small-cell lung cancer. J Clin Oncol 2007; 25(15): 2086-92. [PubMed]

18. O’Brien ME, et al. Phase III trial comparing supportive care alone with supportive care with oral topotecan in patients with relapsed small-cell lung cancer. J Clin Oncol 2006; 24(34): 5441-7. [PubMed]

19. Onoda S, et al. Phase II trial of amrubicin for treatment of refractory or relapsed small-cell lung cancer: Thoracic Oncology Research Group Study 0301. J Clin Oncol 2006; 24(34): 5448-53. [PubMed]

20. Inoue A, et al. Randomized phase II trial comparing amrubicin with topotecan in patients with previously treated small-cell lung cancer: North Japan Lung Cancer Study Group Trial 0402. J Clin Oncol 2008; 26(33): 5401-6. [PubMed]

21. Masuda N et al. CPT-11: a new derivative of camptothecin for the treatment of refractory or relapsed small-cell lung cancer. J Clin Oncol 1992; 10(8): 1225-9. [PubMed]

22. Okamoto H, et al. Randomised phase III trial of carboplatin plus etoposide vs split doses of cisplatin plus etoposide in elderly or poor-risk patients with extensive disease small-cell lung cancer: JCOG 9702. Br J Cancer 2007; 97(2): 162-9. [PubMed]

23. Pignon JP, et al. Lung adjuvant cisplatin evaluation : a pooled analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol 2008; 26(21): 3552-9. [PubMed]

24. Kato H, et al. A randomized trial of adjuvant chemotherapy with uracil-tegafur for adenocarcinoma of the lung. N Engl J Med 2004; 350(17): 1713-21. [PubMed]

25. Arriagada R, et al: International Adjuvant Lung Cancer Trial Collaborative Group. Cisplatin-based adjuvant chemotherapy in patients with completely resected non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2004; 350(4): 351-60. [PubMed]

26. Winton T, et al. Vinorelbine plus cisplatin vs. observation in resected non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2005; 352: 2589-97. [PubMed]

27. Douillard JY, et al. Adjuvant vinorelbine plus cisplatin versus observation in patients with completely resected stage IB-IIIA non-small-cell lung cancer (Adjuvant Navelbine International Trialist Association [ANITA]: a randomised controlled trial. Lancet Oncol 2006; 7(9): 719-27. [PubMed]

28. Furuse K, et al. Phase III study of concurrent versus sequential thoracic radiotherapy in combination with mitomycin, vindesine, and cisplatin in unresectable stage III non-small-cell lung cancer. J Clin Oncol 1999; 17(9): 2692-9. [PubMed]

29. Curran WJ Jr, et al. Sequential vs. concurrent chemoradiation for stage III non-small cell lung cancer: randomized phase III trial RTOG 9410. J Natl Cancer Inst 2011; 103(19): 1452-60. [PubMed]

30. Yamamoto N, et al. Phase III study comparing second- and third-generation regimens with concurrent thoracic radiotherapy in patients with unresectable stage III non-small-cell lung cancer: West Japan Thoracic Oncology Group WJTOG0105. J Clin Oncol 2010; 28(23): 3739-45. [PubMed]

31. Segawa Y, et al. Phase III trial comparing docetaxel and cisplatin combination chemotherapy with mitomycin, vindesine, and cisplatin combination chemotherapy with concurrent thoracic radiotherapy in locally advanced non–small-cell lung cancer: OLCSG 0007. J Clin Oncol 2010; 28(20): 3299-306. [PubMed]

32. Ichinose Y, et al. S-1 plus cisplatin with concurrent radiotherapy for locally advanced non-small cell lung cancer: a multi-institutional phase II trial (West Japan Thoracic Oncology Group 3706). J Thorac Oncol 2011; 6(12): 2069-75. [PubMed]

33. Ohyanagi F, et al. Phase II trial of S-1 and cisplatin with concurrent radiotherapy for locally advanced non-small-cell lung cancer. Br J Cancer 2009; 101(2): 225-31. [PubMed]

34. Naito Y, et al. Concurrent chemoradiotherapy with cisplatin and vinorelbine for stage III non-small cell lung cancer. J Thorac Oncol 2008; 3(6): 617-22. [PubMed]

35. Ardizzoni A, et al. Cisplatin- versus carboplatin-based chemotherapy in first-line treatment of advanced non-small-cell lung cancer: an individual patient data meta-analysis. J Natl Cancer Inst 2007; 99(11): 847-57. [PubMed]

36. Horinouchi H, et al. Feasibility study of high dose cisplatin administered with short hydration and magnesium supplementation in patients with lung cancer. 第10回日本臨床腫瘍学会学術集会 2012: abstract O1-03.

37. Saito M, et al. Palonosetron plus dexamethasone versus granisetron plus dexamethasone for prevention of nausea and vomiting during chemotherapy: a double-blind, double-dummy, randomised, comparative phase III trial. Lancet Oncol 2009; 10(2): 115-24. [PubMed]

38. Schiller JH, et al. Comparison of four chemotherapy regimens for advanced non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2002; 346(2): 92-8. [PubMed]

39. Ohe Y, et al. Randomized phase III study of cisplatin plus irinotecan versus carboplatin plus paclitaxel, cisplatin plus gemcitabine, and cisplatin plus vinorelbine for advanced non-small-cell lung cancer: Four-Arm Cooperative Study in Japan. Ann Oncol 2006; 18(2): 317-23. [PubMed]

40. Kubota K, et al. Phase III randomized trial of docetaxel plus cisplatin versus vindesine plus cisplatin in patients with stage IV non-small-cell lung cancer: the Japanese Taxotere Lung Cancer Study Group. J Clin Oncol 2004; 22(2): 254-61. [PubMed]

41. Katakami N, et al. Randomized phase III trial of S-1 plus cisplatin versus docetaxel plus cisplatin for advanced non-small-cell lung cancer(TCOG0701): J Clin Oncol 2012; 30(suppl): abstr 7515.

42. Sandler A, et al. Paclitaxel-carboplatin alone or with bevacizumab for non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2006; 355(24): 2542-50. [PubMed]

43. Manegold C, et al. Randomized, double-blind mutlicentre phase III study of bevacizumab in combination with cisplatin and gemcitabine in chemotherapy-naive patients with advanced or recurrent non-squamous non-small cell lung cancer(NSCLC): BO 17704. J Clin Oncol 2007; 25: 18S.

44. Scagliotti G, et al. Phase III study comparing cisplatin plus gemcitabine with cisplatin plus pemetrexed in chemotherapy-naive patients with advanced-stage non–small-cell lung cancer. J Clin Oncol 2008; 26(21): 3543-51. [PubMed]

45. Mok TS, et al. Gefitinib or carboplatin-paclitaxel in pulmonary adenocarcinoma. N Engl J Med 2009; 361(10): 947-57. [PubMed]

46. Maemondo M, et al. Gefitinib or chemotherapy for non-small-cell lung cancer with mutated EGFR. N Engl J Med 2010; 362(25): 2380-8. [PubMed]

47. Mitsudomi T, et al. Gefitinib versus cisplatin plus docetaxel in patients with non-small-cell lung cancer harbouring mutations of the epidermal growth factor receptor (WJTOG3405): an open label, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol 2010; 11(2): 121-8. [PubMed]

48. Zhou C, et al. Erlotinib versus chemotherapy as first-line treatment for patients with advanced EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer (OPTIMAL, CTONG-0802): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 study. Lancet Oncol 2011; 12(8): 735-42. [PubMed]

49. Rosell R, et al. Erlotinib versus standard chemotherapy as first-line treatment for European patients with advanced EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer (EURTAC): a multicentre, open-label, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol 2012; 13(3): 239-46. [PubMed]

50. Fidias PM, et al. Phase III study of immediate compared with delayed docetaxel after front-line therapy with gemcitabine plus carboplatin in advanced non-small-cell lung cancer. J Clin Oncol 2009; 27(4): 591-8. [PubMed]

51. Ciuleanu T, et al. Maintenance pemetrexed plus best supportive care versus placebo plus best supportive care for non-small-cell lung cancer: a randomised, double-blind, phase 3 study. Lancet 2009; 374(9699): 1432-40. [PubMed]

52. Cappuzzo F, et al; SATURN investigators. Erlotinib as maintenance treatment in advanced nonsmallcell lung cancer: a multicentre, randomised, placebo-controlled phase 3 study. Lancet Oncol 2010; 11(6): 521-9. [PubMed]

53. Paz-Ares L, et al. Maintenance therapy with pemetrexed plus best supportive care versus placebo plus best supportive care after induction therapy with pemetrexed plus cisplatin for advanced non-squamous non-small-cell lung cancer (PARAMOUNT): a double-blind, phase 3, randomised controlled trial. Lancet Oncol 2012; 13(3): 247-55. [PubMed]

54. Paz-Ares L, et al. PARAMOUNT: Final overall survival (OS) results of the phase III study of maintenance pemetrexed (pem) plus best supportive care (BSC) versus placebo (plb) plus BSC immediately following induction treatment with pem plus cisplatin (cis) for advanced nonsquamous (NS) non-small cell lung cancer (NSCLC). J Clin Oncol 2012; 30(suppl): abstr LBA7507.

55. Belani CP, et al. Efficacy and safety of pemetrexed maintenance therapy versus best supportive care in patients from East Asia with advanced, nonsquamous non-small cell lung cancer: an exploratory subgroup analysis of a global, randomized, phase 3 clinical trial. J Thorac Oncol 2012; 7(3): 567-73. [PubMed]

56. Soda M, et al. Identification of the transforming EML4-ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer. Nature 2007; 448(7153): 561-6. [PubMed]

57. Camidge DR, et al. Progression-free survival (PFS) from a phase I study of crizotinib (PF-02341066) in patient with ALK-positive non-small cell lung cancer (NSCLC). J Clin Oncol 2011; 29(suppl): abstr 2501.

58. G. Riely, et al. Phase 2 data for crizotinib (PF-02341066) in ALK-positive advanced non-small cell lung cancer (NSCLC): PROFILE 1005. WCLC 2011. #031.05

59. Langer C, et al. Randomized phase II trial of paclitaxel plus carboplatin or gemcitabine plus cisplatin in Eastern Cooperative Oncology Group performance status 2 non-small-cell lung cancer patients:ECOG 1599. J Clin Oncol 2007; 25(4): 418-23. [PubMed]

60. The Elderly Lung Cancer Vinorelbine Italian Study Group. Effects of vinorelbine on quality of life and survival of elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer. J Natl Cancer Inst 1999; 91(1): 66-72. [PubMed]

61. Gridelli C, et al. Chemotherapy for elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: the Multicenter Italian Lung Cancer in the Elderly Study (MILES) phase III randomized trial. J Natl Cancer Inst 2003; 95(5): 362-72. [PubMed]

62. Kudoh S, et al. Phase III study of docetaxel compared with vinorelbine in elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: results of the West Japan Thoracic Oncology Group Trial(WJTOG 9904). J Clin Oncol 2006; 24(22): 3657-63. [PubMed]

63. Shepherd FA, et al. Prospective randomized trial of docetaxel versus best supportive care in patients with non-small-cell lung cancer previously treated with platinum-based chemotherapy. J Clin Oncol 2000; 18(10): 2095-103. [PubMed]

64. Fossella FV, et al. Randomized phase III trial of docetaxel versus vinorelbine or ifosfamide in patients with advanced non-small-cell lung cancer previously treated with platinum-containing chemotherapy regimens. The TAX 320 Non-Small Cell Lung Cancer Study Group. J Clin Oncol 2000; 18(12): 2354-62. [PubMed]

65. Hanna N, et al. Randomized phase III trial of pemetrexed versus docetaxel in patients with non-small-cell lung cancer previously treated with chemotherapy. J Clin Oncol 2004; 22(9): 1589-97. [PubMed]

66. Shepherd FA, et al. Erlotinib in previously treated non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2005; 353(2): 123-32. [PubMed]

67. Temel JS, et al. Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2010; 363(8): 733-42. [PubMed]