A 疫学・診断
1.病因
2.疫学
3.症状
4.診断
B 治療
1.手術
2.化学療法、ホルモン療法
3.ビスホスフォネート
4.デノスマブ
5.放射線療法
6.アイソトープ治療:ストロンチウム-89
文献

1.病因

骨転移は固形がんの遠隔転移のなかでも頻度が高い。

骨破壊のメカニズムは主に2つあり、がん細胞により分泌される様々な物質により破骨細胞が活性化するものと、がん細胞による直接の破壊が考えられている。がん細胞の分泌する物質のひとつにreceptor activator of nuclear factor-kappa B ligand(RANKL)があり、破骨細胞の分化に重要な因子である。

また、破骨細胞と骨芽(造骨)細胞の活性化のバランスによっては骨転移が溶骨性変化ではなく、造骨性変化をきたすこともある。

2.疫学

骨転移しやすい腫瘍として乳がん、肺がん、前立腺がんがよく知られている(表1)。他にも腎がん、甲状腺がんがある。血液悪性腫瘍である多発性骨髄腫、特に腫瘤を形成する形質細胞腫(plasmacytoma)も同様に骨病変をきたす。

メラノーマも骨転移しやすいが、国内ではメラノーマ患者はまれである。骨転移以外に病変を認めない原発不明がんもまれに認め、骨生検での診断が重要となる。骨転移がまれなものには頭頸部がん、卵巣がん、Ewing肉腫を除く軟部肉腫がある。

3.症状

骨転移に多い症状は、徐々に増悪する疼痛である。鈍痛が多いが、ズキズキする痛み、突き刺すような痛みなど訴えは様々である。骨転移の痛みは安静時にも認め、夜間に増強することが多い。仙骨転移は殿部痛を呈し、陰部や大腿後部への放散痛を認めることがある。

脊椎転移の場合は進行すると神経根症状、さらには緊急対応が必要な脊髄圧迫をきたす。特に頸椎の脊髄圧迫では四肢と横隔膜などの呼吸筋麻痺をきたす可能性が高く、QOLおよび予後を著しく悪化させるため注意が必要である。詳細は第VI章「2. 脊髄圧迫」を参照していただきたい。

また脊椎、上腕骨や大腿骨、臼蓋などは病的骨折が起こりうる。大腿骨骨折の結果、寝たきりになるとその後の抗がん剤治療継続が困難になり、また家族の介護負担も増すため非常に大きな問題となる。病的骨折の前兆として荷重による疼痛増強を認め、この段階で歩行器具などの使用により免荷を行い、手術や放射線治療などの骨転移に対する局所治療が必要となる。しかし、前兆なく病的骨折は起こりうる。高齢者において脊椎の病的骨折はしばしば通常の圧迫骨折との鑑別が重要になる。

前立腺がんなどによる造骨性骨転移やびまん性の骨髄浸潤(骨髄癌腫症)により汎血球減少や播種性血管内凝固(DIC)を合併することもある。造骨性骨転移では病的骨折はまれである。骨転移は高カルシウム血症の原因となるが、PTH-rP産生腫瘍よりも高カルシウム血症の原因となる頻度は低い。

4.診断

1)血液検査

(1)ALP

ALPは骨転移患者で上昇することがある。これは破骨細胞による反応をみており、骨融解に破骨細胞が関与しない形質細胞腫など一部の腫瘍ではALPは正常である。ALP上昇を認めた場合、ALPの分画が鑑別に有用である。ALP3が骨性ALPである。ALP1とALP2が肝性ALPであり、同時にγ-GTPも上昇することが多い。すなわち、がん患者でγ-GTP正常でALP異常高値をみたら骨転移が疑われる。

ただしALPは骨転移に対して感度、特異度ともに高くはない。リンパ節転移陽性乳がんの患者1601人で定期的なALPの測定を行った試験では、骨転移を認めた患者の半数のみにALP上昇を認めた。一方で骨転移のない患者の28%でALPが異常値を示した[6]。このような結果などから、ALPの値だけでは骨転移の有無の判断はできないこともあり、国内外問わずガイドラインでは、乳がん術後患者フォローでは定期的なALP測定は推奨されていない。

また骨性ALPは骨転移以外でも上昇し、副甲状腺機能亢進症や甲状腺中毒、先端巨大症、腎障害、Paget病、骨軟化症、骨折の治癒過程などでみられる。また小児や妊婦でも上昇を認める。

(2)I型コラーゲンC末端テロペプチド(ICTP)

ICTPは破骨細胞による骨吸収の際に、血中へ放出されるペプチドである。骨転移患者において高値をきたしやすい。乳がん患者で術前にICTPのβ異性体が高値であった場合、より早期に骨限局転移再発したという報告がある[7]。しかし、ICTP測定によりQOLや生存期間を改善させるエビデンスはないため、ルーチンでの測定はすすめられない。

(3)I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)

NTxもICTP同様に骨吸収の亢進により高値となる。尿または血清で測定する。多発性骨髄腫患者に対するパミドロン酸(pamidronate)による症状緩和を血清中NTxで予測できたという報告[8]はあるが、ICTP同様にエビデンスは乏しい。

2)画像検査

(1)単純X線撮影

骨転移に対するX線撮影の感度は40‐50%と低い。骨転移が骨皮質の厚さで30‐50%を侵すと骨溶解像が明瞭となる。圧痛を認める部位で陽性率が高い。骨皮質が薄くなっている場合は骨折のリスクがある。また脊椎転移で骨破壊が進むと椎弓根や棘突起の欠損や椎体の陥没を認める。

(2)CT

X線撮影で異常を認めない場合でもCTで骨転移が判明することがある。感度は71‐100%と高く、また他の臓器転移も一緒に検査できる。椎体や四肢は矢状断や冠状断に画像を再構成するとより有用である。情報量が多いため背部痛や腰痛などの臨床情報がないと小さな骨転移は見逃す可能性がある。骨周囲の軟部組織への腫瘍増大の程度は、造影しないと境界が不明瞭で評価が難しい。

(3)MRI

MRIは腫瘍が骨皮質から骨外へと浸潤する様子を最も明瞭に評価できる。骨転移の感度82‐100%、特異度73‐100%であり、骨髄内病変や脊椎転移の評価に優れる[9]。

脊椎転移の多くは椎体周囲の軟部組織まで腫瘍が広がっていることが多く、しばしば神経根症状や脊髄圧迫をきたす。脊髄圧迫が疑われる患者では圧迫の程度や緊急性の評価のため、可能な限りすぐに造影MRIを行う。MRI検査により除圧目的の椎弓切除術や放射線照射を行うかどうかの判断が可能になる場合が多い。また脊椎転移は多くの場合は多発しており、放射線治療の照射野を決めるためにも有用な情報となる。

(4)骨シンチグラフィ

99mTc(ヒドロキシメチレンジホスホン酸テクネシウム)を用いたシンチグラフィ検査である。骨芽細胞の活動を反映しており、形質細胞腫などでは偽陰性となる。担がん患者における骨転移診断では、感度62‐100%、特異度78‐100%と報告によってばらつきがある[9]。骨痛がない場合は10‐15%まで感度は落ちる。もし脊椎や上腕骨や大腿骨、臼蓋に新たに異常を認めた場合はその部位のX線撮影を行う。また、乳がんや前立腺がんの骨転移患者で、ホルモン療法が奏効しているときに新たな異常所見が出現することがある。この場合、骨の修復と骨芽細胞の活性を反映しており、病勢の増悪ではないことに注意が必要である。

良性疾患でも陽性になり、しばしば鑑別が必要となる。骨折後の治癒過程、放射性骨髄炎、関節炎、脊椎炎、骨粗鬆症などで陽性になる。まれな疾患ではPaget病、前頭骨内板造骨症(hyperostosis frontalis interna)、大理石病、骨形成不全症がある[10]。

(5)FDG-PET

フルオロデオキシグルコース(FDG)はブドウ糖類似の物質であり、核種のF18からγ線が発生する。このγ線を画像化したものがFDG-PETとなる。FDGはブドウ糖と一緒に取り込まれるので、増殖速度が速い悪性腫瘍に集積する。炎症などでも異常を示し、増殖速度の遅い腫瘍や形質細胞腫などでは偽陰性となる。擬陽性の頻度は高いので診断確定にはならず、単発の転移では組織診断を必要とするが、骨転移では擬陽性の頻度は低いため有用な検査である。

骨転移に対するFDG-PETの感度は62-100%、特異度は96-100%[9]、ただし造骨性病変では偽陰性となりやすい[11]。FDG-PETは高価ではあるが、骨シンチグラフィと比較して骨転移に対する感度、特異度ともに高く、骨以外の臓器転移の評価を行える利点がある。FDG-PETを施行した患者の多くで骨シンチグラフィを省略できると考えられる[12]。

3)骨生検

骨転移単独で他に転移がない場合は、良性病変との鑑別診断のため部位的に可能なら生検をすべきである。

ただし原発巣が切除不能、または肺や肝臓に遠隔転移を認める症例では骨転移の組織診断をつけるメリットは少ないので、一般的には骨転移の組織診断は不要と考えられる。

骨髄癌腫症が疑われる患者や、CTやFDG-PETで後腸骨棘に異常を認める患者では、通常の骨髄穿刺・生検でがん浸潤や転移の診断が可能である。骨髄穿刺のみでは診断が困難な症例が多いため、生検まで行う。また胸骨や前腸骨棘に異常を認める患者では、同部位は骨髄生検が困難なので骨髄穿刺のみ行う。吸引した骨髄液で骨髄クロットを作成し、汎サイトケラチン抗体であるAE1/AE3などの免疫染色を行うことで、上皮性悪性腫瘍の骨髄浸潤の診断率が高まる。

治療の目的は主に2つである。疼痛の軽減と歩行などの機能の維持である。

病的骨折により著しくQOLが低下する部位として、頸椎や大腿骨頸部があげられる。これらの部位に溶骨性の骨転移を認め、骨折のリスクがある場合は、骨を安定化させるための手術適応がないか整形外科または脊椎外科と相談する必要がある。頸椎転移の場合はネックカラーが必要かどうか、大腿骨転移ならば松葉杖や車椅子などで体重がかからないよう免荷を行う必要がないか相談する。全身状態や予後などを考慮して手術の適応がなければ、次に放射線治療を検討する。

治療効果判定はしばしば骨病変のみでは困難であり、RECISTでも造骨性骨病変は測定不能となっている。実際には治療が奏効しているときでも、溶骨性変化が大きくなったり、新たに溶骨性病変が出現したようにみえる時がある。疼痛などの患者の自覚症状や他の臓器の病変がどうなっているか、腫瘍マーカーの推移などを参考にする必要がある。X線撮影、CT、骨シンチグラフィ、MRIを組み合わせた評価方法なども検討されている[13]。

1.手術

上腕骨や大腿骨などの長骨が骨折した場合、患者が元の生活に復帰できるよう、また骨折の疼痛が緩和されるよう、すぐに整形外科に相談を行い外科的手術について検討する。病的骨折の場合、ギプス固定などでは修復されないことが多く、患者の全身状態がよければできるだけ手術を行うようにする。

脊髄圧迫をきたしている、またはそのリスクが非常に高い患者などの例外を除いて、脊椎転移の手術は侵襲が高いため行わない。肋骨転移も一般的には手術を行わない。

また原発巣が手術可能で、遠隔転移が骨転移1か所のみの場合は骨病変の切除も検討する。特に腎細胞がんや肉腫患者では単発骨転移の切除により治癒する可能性がある。

局所コントロールのため術後放射線治療は一般的だが、創部の合併症を減らすため術後3‐6週間後に放射線治療を開始することが多い。

1)大腿骨

特に大腿骨頸部や骨幹の骨転移は荷重がかかり病的骨折を起こしやすく、また骨折により歩行困難となるため、骨折のリスクがあれば予防的に手術で補強を行う。溶骨性変化が2.5 cm以上または皮質の半分以上で50%以上の骨折リスクがある。骨プレートなどで骨の外から固定するよりも、人工骨頭置換や髄内釘は骨折が少なく固定がよいのでより早く荷重をかけることが可能となる。放射線治療後でも疼痛の改善が不十分な場合、サルベージ治療で手術を行うこともある。

2)脊椎

他の骨転移部位よりも侵襲が大きく、手術は慎重に検討する。目的は主に、他に生検など診断可能な病変がない患者の診断と、脊椎転移による疼痛や椎体の変形が強い場合である。特に脊髄圧迫や神経根症状を認めた時の治療となる。特に腎細胞がんなどの放射線治療が期待できない場合、放射線治療後の増悪は手術を検討する。

脊髄圧迫は緊急手術の適応のひとつで、治療の遅れが麻痺の進行につながりその後のQOLを大きく左右しかねない。椎弓切除が減圧の有効な手段ではあるが、脊髄圧迫はたいてい椎体転移の増悪で脊髄が前方から圧迫されるので不十分な可能性がある。また椎体の安定性維持のためロッドなどで固定を必要とすることがある。その点では開胸による前方からのアプローチで脊椎転移を切除する方法が理にはかなっているが侵襲は大きい。骨髄腫などでは骨セメント注入による椎体形成も治療手段となる。

2.化学療法、ホルモン療法

局所治療と並行して、全身療法である化学療法またはホルモン療法を考慮する。乳がん、前立腺がんなどの骨転移はホルモン療法でよくコントロールされる。

骨髄浸潤や脊椎、腸骨などへの放射線治療後の患者は造血能が低下し、抗がん剤による骨髄抑制が強く出やすい。また骨転移によりperformance statusが悪化していることもしばしばあり、抗がん剤を標準量で行えるかどうか患者一人ひとり検討する。ただし、明確な減量基準はない。

3.ビスホスフォネート✚✚✚

ビスホスフォネートの骨吸収抑制作用の主な機序は、骨に吸着した薬が破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞のアポトーシスおよび機能喪失をもたらすことで骨吸収を抑制すると考えられる。ビスホスフォネートの内服薬は腸管から吸収される量が少ないため、十分な血中濃度が得られない。よって骨転移や高カルシウム血症に用いる場合は点滴静注する。

zolendronic acid

zolendronic acid 4 mg 15分以上かけて点滴静注 day1 21‐28日毎

腎機能に合わせて投与量の調節が必要[14, 15, 16]

pamidronate

pamidronate 90 mg 4時間以上かけて点滴静注 day1 21‐28日毎[17]

ゾレドロン酸(zolendronic acid)、パミドロン酸(pamidronate)ともに溶骨性骨転移の乳がん、骨髄腫患者での骨折などの骨イベントの減少が証明されている。他のがんでは溶骨性、造骨性を問わずゾレドロン酸のみ骨イベント減少を認めている[16]。また、即効性はないが数週間で骨痛の緩和も得られる。骨髄腫患者において生存期間延長を認めたという報告[15]もあるが、限られたエビデンスでありビスホスフォネートの生存期間延長効果の有無は定まっていない。

ビスホスフォネートの、まれだが重要な副作用として腎障害と顎骨壊死がある。Grade 3以上の腎障害の頻度は2.2%[18]、顎骨壊死の頻度は1.3%[19]前後である。

腎障害は用量依存性で薬剤により障害部位が異なる傾向がある。ゾレドロン酸は主に尿細管障害を起こす。パミドロン酸は主に糸球体障害から蛋白尿となる。まれだがネフローゼ症候群まで悪化した報告もある。腎機能障害を減らすため、腎障害をきたす可能性のあるNSAIDsなどの薬剤は併用を避け、必要時は、ビスホスフォネートの前にハイドレーションを行う。腎機能の低下した患者では減量を行う(表2)。

顎骨壊死は、ビスホスフォネート使用中に抜歯などの歯科治療を行うと発症リスクが6.6‐9.1%程度まで高くなるため[20]、ビスホスフォネート使用前に歯科で診察を行い、必要な歯科治療はすませておく必要がある。口腔内の不衛生、アルコール多飲や喫煙などもリスクと考えられる。顎骨壊死を発症した場合、しばしば難治性となる。

他にも副作用として発熱やぶどう膜炎、低カルシウム血症、低リン血症などがある。

4.デノスマブ✚✚✚

denosumab 120 mg 皮下注 day1 28日毎[21]

デノスマブ(denosumab)は破骨細胞の分化に重要なreceptor activator of nuclear factor-kappa B ligand(RANKL)を標的とした抗体薬である。いくつかの試験でビスホスフォネートと同等かそれ以上の骨イベント減少が示されている。非小細胞肺がん患者が多く含まれた試験では、最初の骨関連イベントまでの中央期間がデノスマブ20.6か月 vs. ゾレドロン酸16.3か月(HR=0.84; 95CI 0.71-0.98、p=.0007)と非劣性であった[21]。ただし、サブグループ解析において多発性骨髄腫患者で有意に死亡率増加を認め、多発性骨髄腫に対する使用に関してはさらなるエビデンスの蓄積が必要である。

デノスマブはビスホスフォネートと比較して高価だが、皮下注射ですむこと、腎機能障害との関連が明らかではないため腎機能低下で用量の調節が不要などの利点がある。顎骨壊死の頻度は1.8%でゾレドロン酸と有意差はない[19]、低カルシウム血症を高頻度に認める点は注意が必要である。低カルシウム血症の予防にカルシウム(>500 mg/日)、非活性型ビタミンD(>400 IU/日)のサプリメントによる補充が有効である[22]。国内で処方可能なビタミンDはいずれも活性型であり、高カルシウム血症の危険があるため注意が必要である。特に活性型ビタミンDとカルシウムの併用は避ける。ちなみに非活性型ビタミンDはサプリメントとして市販されており、カルシウムとの合剤なども販売されている。

5.放射線療法✚✚✚

有痛性の骨転移へ放射線照射を行うことで、50%の症例で疼痛の完全消失がみられる。さらに30%の症例で疼痛の軽減を認め、合わせて80%以上の症例で症状緩和が得られ、有効な手段のひとつである[23]。放射線治療を開始して2週間くらいから疼痛が軽減し始める。終末期患者でも疼痛コントロールのため、しばしば放射線治療を行う。

また患者の全身状態や予後を加味して、手術適応のない患者の病的骨折の予防手段として治療を行うことがある。頸椎転移による脊髄圧迫は、しばしば四肢麻痺や呼吸筋麻痺から著しいQOL低下をきたす可能性がある。そのため頸椎転移患者では疼痛などの症状がなくても画像的に脊髄圧迫のリスクが高ければ、予防的に放射線照射を考慮する。

骨転移病変の手術後に放射線治療を追加するのは、局所コントロールを高めるためで標準的に行われている。人工物を挿入した場合、がん細胞が付着して播種する可能性を考え、人工物も照射野に含める必要がある。

骨転移への緩和的照射

放射線療法 8 Gy単回照射[23]

照射のスケジュールは国、施設毎に様々であり、8 Gyの単回照射から20 Gy 5分割、30 Gy 10分割など幅が広い。American Society of Radiation Oncology(ASTRO)のガイドラインではシステマティックレビューに基づいて8 Gy単回照射が推奨されている[23]。8 Gy単回照射は分割照射と比較して、通院や費用の負担が少なく、治療効果および有害事象はほぼ同等と考えられるためである。ただし照射部位に再度放射線治療が必要になる頻度が分割照射の約10%と比べて、単回照射では約20%と高くなり、予後が比較的長いと予想される患者では分割照射を検討する。また脊髄に対する放射線の毒性を軽減するため、脊髄圧迫の場合も分割照射で行う。

6.アイソトープ治療:ストロンチウム-89✚✚

ストロンチウム-89 [24, 25]

ストロンチウム-89は有症状の骨転移に対するアイソトープによる治療である。骨選択性があり、β線で限局的に治療する。日本ではストロンチウム-89が一部の施設で利用可能である。多発骨転移がある症例で有効である。治療から1‐3週間で疼痛の軽減が得られ、75%の患者で効果は3‐6か月続く。血液毒性が回復すれば、3か月毎に治療を繰り返すこともできる。ただし血液毒性により、その後の抗がん剤治療が困難になる可能性があるため注意が必要である。通常は生存期間の延長は得られない。また腫瘍の縮小効果はないため、脊髄圧迫などの治療にも用いることはできない。転移性前立腺がん患者におけるランダム化第III相試験で3か月間、疼痛緩和が継続しているのはストロンチウム群65.9% vs. 局所照射群61%と有意差はなかったという報告がある[24]。一方で、全生存期間がストロンチウム群7.2か月 vs. 局所照射群11.0か月と有意に劣った報告もあり[25]、一部の症例を除き有用性は限られている。

ストロンチウムの主な副作用に骨髄抑制があり、治療後4か月間は2週間毎に血球減少がないか検査を行う。血小板減少期(nadir)は12‐16週で、その後ある程度回復する。

1. Oka H, et al. Incidence and prognostic factors of Japanese breast cancer patients with bone metastasis. J Orthop Sci 2006; 11(1): 13-9. [PubMed]

2. Koizumi M, et al. An open cohort study of bone metastasis incidence following surgery in breast cancer patients. BMC Cancer 2010; 10: 381. [PubMed]

3. Colleoni M, et al. Identifying breast cancer patients at high risk for bone metastases. J Clin Oncol 2000; 18(23): 3925-35. [PubMed]

4. Tsuya A, et al. Skeletal metastases in non-small cell lung cancer: a retrospective study. Lung Cancer 2007; 57(2): 229-32. [PubMed]

5. Tannock IF, et al. Docetaxel plus prednisone or mitoxantrone plus prednisone for advanced prostate cancer. N Engl J Med 2004; 351(15):1502-12. [PubMed]

6. Pedrazzini A, et al. First repeated bone scan in the observation of patients with operable breast cancer. J Clin Oncol 1986; 4(3): 389-94. [PubMed]

7. Lipton A, et al. Elevated bone turnover predicts for bone metastasis in postmenopausal breast cancer: results of NCIC CTG MA.14. J Clin Oncol 2011; 29(27): 3605-10. [PubMed]

8. Vinholes JJ, et al. Relationships between biochemical and symptomatic response in a double-blind randomised trial of pamidronate for metastatic bone disease. Ann Oncol 1997; 8(12): 1243-50. [PubMed]

9. Hamaoka T, et al. Bone imaging in metastatic breast cancer. J Clin Oncol 2004; 22(14): 2942-53. [PubMed]

10. Howard A, et al. Bone and joint complications. In: Dennis A, et al eds. Manual of Clinical Oncology. 6th ed. Philadelphia. Lippincott Williams & Wilkins. 2009 p.645.

11. Du Y, et al. Fusion of metabolic function and morphology: sequential [18F]fluorodeoxyglucose positron-emission tomography/computed tomography studies yield new insights into the natural history of bone metastases in breast cancer. J Clin Oncol 2007; 25(23): 3440-7. [PubMed]

12. Morris PG, et al. Integrated positron emission tomography/computed tomography may render bone scintigraphy unnecessary to investigate suspected metastatic breast cancer. J Clin Oncol 2010; 28(19): 3154-9. [PubMed]

13. Hamaoka T, et al. Tumour response interpretation with new tumour response criteria vs the World Health Organisation criteria in patients with bone-only metastatic breast cancer. Br J Cancer 2010; 102(4): 651-7. [PubMed]

14. Kohno N, et al. Zoledronic acid significantly reduces skeletal complications compared with placebo in Japanese women with bone metastases from breast cancer: a randomized, placebo-controlled trial. J Clin Oncol 2005; 23(15): 3314-21. [PubMed]

15. Morgan GJ, et al. First-line treatment with zoledronic acid as compared with clodronic acid in multiple myeloma (MRC Myeloma IX): a randomised controlled trial. Lancet 2010; 376(9757): 1989-99. [PubMed]

16. Rosen LS, et al. Zoledronic acid versus placebo in the treatment of skeletal metastases in patients with lung cancer and other solid tumors: a phase III, double-blind, randomized trial--the Zoledronic Acid Lung Cancer and Other Solid Tumors Study Group. J Clin Oncol 2003; 21(16): 3150-7. [PubMed]

17. Theriault RL, et al. Pamidronate reduces skeletal morbidity in women with advanced breast cancer and lytic bone lesions: a randomized, placebo-controlled trial. Protocol 18 Aredia Breast Cancer Study Group. J Clin Oncol 1999; 17(3): 846-54. [PubMed]

18. Stopeck AT, et al. Denosumab compared with zoledronic acid for the treatment of bone metastases in patients with advanced breast cancer: a randomized, double-blind study. J Clin Oncol 2010; 28(35): 5132-9. [PubMed]

19. Saad F, et al. Incidence, risk factors, and outcomes of osteonecrosis of the jaw: integrated analysis from three blinded active-controlled phase III trials in cancer patients with bone metastases. Ann Oncol 2012; 23(5): 1341-7. [PubMed]

20. Mavrokokki T, et al. Nature and frequency of bisphosphonate-associated osteonecrosis of the jaws in Australia. J Oral Maxillofac Surg 2007; 65(3): 415-23. [PubMed]

21. Henry DH, et al. Randomized, double-blind study of denosumab versus zoledronic acid in the treatment of bone metastases in patients with advanced cancer (excluding breast and prostate cancer) or multiple myeloma. J Clin Oncol 2011; 29(9): 1125-32. [PubMed]

22. Fizazi K, et al. Denosumab versus zoledronic acid for treatment of bone metastases in men with castration-resistant prostate cancer: a randomised, double-blind study. Lancet 2011; 377(9768): 813-22. [PubMed]

23. Lutz S, et al. Palliative radiotherapy for bone metastases: an ASTRO evidence-based guideline. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2011; 79(4): 965-76. [PubMed]

24. Quilty PM, et al. A comparison of the palliative effects of strontium-89 and external beam radiotherapy in metastatic prostate cancer. Radiother Oncol 1994; 31(1): 33-40. [PubMed]

25. Oosterhof GO, et al. Strontium(89) chloride versus palliative local field radiotherapy in patients with hormonal escaped prostate cancer: a phase III study of the European Organisation for Research and Treatment of Cancer, Genitourinary Group. Eur Urol 2003; 44(5): 519-26. [PubMed]