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がん治療の素朴な疑問

2012/3/27

Part.6

高齢者のがん治療と物忘れの不安

家族「入院や抗がん剤の影響で、物忘れが起こるのでは?」
医師「手術や入院のストレスが原因に。新しい考え方・対策が導入されはじめています」

【POINT】
・手術や入院は大きなストレス。認知症の引き金になることもある。
・対策として、入院期間の短縮、術後回復プログラム(ERAS)がある。
・早く日常生活に戻ることが予防になります。



栃木県立がんセンター 研究所長 兼 大腸外科部長の固武健二郎氏

はにわ:父は72歳の時に手術を受けましたが、入院期間が長かったり、運動していない時間が長かったりしたせいで、物忘れが進行してきた、と感じています。抗がん剤の影響でしょうか?

固武Dr:抗がん剤は正常な細胞、組織にも少なからず影響があるのは確かですので、抗がん剤の影響がまったくないとは言い切れません。しかし、それ以上に、手術のストレスが関係していると思います。手術の後、一時的に強い認知症状態になってしまう、というケースはしばしば見受けられます。これは70歳以降の男性が多い。女性よりも男性の方に強く認知症の傾向が出ます。同じ程度のストレスであっても、男性の方がそのダメージを受けやすいようです。ただし、多くの場合は時間の経過とともに症状は回復します。このような原因となる手術後のストレスを最小として、いかに手術後のリカバリーを早くするかが重要なテーマとなっています。

はにわ:手術や入院が強いストレスにあって、認知症の引き金になる可能性があると。対策は、早く日常に戻ること…。

固武Dr:いま「イーラス(ERAS=Enhanced recovery after surgery 術後回復能力強化プログラム)」という管理方法が広まりつつあります。術後の回復をいかに早めるか、というプログラムで、その内容は、今までの術後管理の常識が非常識、非常識が常識になってきているものもあります。また、先ほどの「がんの手術後1年半の時点で腸閉塞になった」ケースも「患者が歩かないのが悪い」とは考えず「患者を動くようにしなかった管理法が悪い」と考えるようになってきています。

 また、例えば、これまで大腸がんの手術では、術後1週間目から食事を開始していましたが、新しい管理法では1日目か2日目から食事が出ますし、手術の前も、前夜9時以降は水を飲んではいけない、とされていたことが、今は直前まで水を飲んでもかまわない。

 今まで言われていたことが覆されてきている。術後の管理を変えることでリカバリーが早くなると分かってきたんです。

はにわ:私も手術経験がありますが、直前の、のどの渇きがつらかったのを思い出します。患者にとって楽で、早く良くなる方式に変わってきたんですね。

固武Dr:患者さんのストレスが少なくなる分、認知症の問題も、回避しやすくなります。イーラスは欧州で提唱されたものなんですが、こうした最新の管理法を勉強して実践して成果を上げているのは、からなずしも名前の通った大きい病院とは限りません。

 いまはもう、高名な先生を追いかける時代じゃないと思います。がんの治療は多くの関係者がタッグを組んで行われるもので、どこのチームも常によりよい治療を提供できるよう切磋琢磨している、ということを是非知ってください。

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