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がん治療の素朴な疑問

2012/3/19

Part.5

治療後の体調不良、どうしたらいいの?

はにわきみこ

家族「退院した後、体調不良があったらどこに相談したらいいでしょう?」
医師「基本的に外科手術の担当医が窓口です」

【POINT】
・外科手術の既往が、体調不良の原因となる場合があります。
・一見関係がないと思えることでも、電話相談が有効。
・ホームドクターがいれば、そこに相談する方法もあります。



栃木県立がんセンター 研究所長 兼 大腸外科部長の固武健二郎氏

はにわ:父は、食道と胃を大腸で再建しましたが、退院の1年半後に、腸閉塞を起こして再入院しました。退院後、寝てばかりいて腸が動かないため起こったケースだそうです。腸閉塞部分も切り取る手術をしたので大腸がかなり短くなりました。大腸が短くなると、下痢が起こりやすいものですか?

固武Dr:大腸は、栄養の吸収には関係せず、水分の再吸収が一番の役割です。小腸を通ってきた便は水っぽいのですが、大腸で水分を吸収して、ある程度の硬さの便になります。その大腸が短くなった分、水分吸収能力が落ちて、便が軟らかくなることが考えられますね。これは大腸がんの手術後も同じです。ただし、一定の時間が経つと、残っている腸の水分調整能力が回復してきます。人間の体の回復力はすごいんですよ。大腸が半分以上残っているのでしたら、いずれ機能は戻ります。
それでも駄目な時には、薬を使った水分調整方法があります。たとえば、大腸をすべて取ってしまう手術の場合は、小腸と肛門をダイレクトにつなぎます。固形の便を作る機能が無くなるため、薬を使って便のコントロールを行うのです。

はにわ:そうなんですね。実家の近所でも大腸がんの手術をした方がいて「すぐ下痢をするから外出は控えている」と。こういう生活上の不便なことは、もう、手術をしてくださった執刀医に相談するレベルではないですよね? 手術が成功、再発も見られない、半年ごとに定期的な検査を続ける、という段階に入ったら、という意味ですが。こういう時期には、どこを相談窓口にするのがふさわしいんでしょうか。
父の場合、がんの手術からは2年半、腸閉塞の手術から1年たちましたが、まだ下痢が続いています。

固武Dr:術後のその時期であれば、ある程度は下痢があっても仕方ないですね。腸の機能が戻るには、少し時間がかかると思ってください。大腸がんの場合は手術後5年までを目安として定期検査をお奨めしています。この期間中は年に2、3回の診察がありますので、そのような機会に相談してみるのもいいでしょう。下痢は手術と大いに関係がある症状ですから、執刀医に相談するのが一番です。

はにわ:腸閉塞を起こしたときは、まず、近所のホームドクターに診てもらったんです。すると切った病院に行くように、と指示されました。

固武Dr:腸閉塞も、消化器の手術既往に大いに関係のある症状ですからね。それに手術を担当した者にしかわからないこともありますから。

はにわ:今回の症状はがんじゃないんだから、がんセンターに行くのは筋違いかと思ってました。手術を担当した外科医は、患者のその後もフォローするんですね。とはいえ、がんの主治医に対して相談すべき事柄は、どんなことでしょうか? 風邪や膝の痛みなら関係ないな、と思えるんですが。

固武Dr:実は、意外な症状が、がん自体やがんの手術と関係があったりするんです。だから自己判断は危険ですね。すこしでも関係があるかも、と感じたら病院の相談窓口に電話して尋ねてみるのがいいのではないでしょうか。

はにわ:我が家の場合は、実家から徒歩1分のクリニックをホームドクターにしています。父の食道がんを発見してくれたところです。そのドクターに相談して、ふさわしい窓口を紹介してもらうようにしています。

固武Dr:そのようなドクターを持つことは理想的ですね。病院と診療所がうまく連携を取りながら効率よく地域医療を支えてゆくことを「病診連携」といって、厚生労働省が推進している施策でもあります。治療は病院が行うけれども、窓口は近くの診療所というように。顔見知りの、相談しやすいホームドクターに聞く、というのは安心感もあるでしょう。
ただ、手術から3年程度の時期であれば、手術を受けた病院に相談してみることも考えてみてください。先ほど言いましたように、患者さんの術後、体がどうなったかをよく知っているのは執刀医なので。

はにわ:父の主治医は外科の先生なのですが、退院後、漢方薬を使いたいと相談してみました。定期検診の時に勇気を出して「漢方を処方する病院に行ってもかまわないか」と。「私は紹介できるような漢方医は知らないけれど、ご本人がいいと思った病院があるのなら、行ってみたらいいと思いますよ」という答えでした。外科医の担当としてできることはやる、それ以外は「私はできないけど反対はしません」という答えにほっとしました。

固武Dr:今は医療の専門化が進んでいるので、自分の専門外であれば、他のドクターに行っていただく、あるいは紹介することは良くあることだと思います。
お話にあった漢方薬も我々の間でもポピュラーになってきています。例えば、大腸がんの術後には、大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬が、エビデンスもあり、よく使われています。ただし、漢方薬にも副作用や禁忌事項がありますから、正しい選択、正しい使い方をしないといけません。担当の医師に相談するのがいいですね。自分の守備範囲でなければ他のドクターに紹介するでしょうし、中には漢方薬に詳しいドクターもいますから。

はにわ:まずは聞いてみることが大事なんですね。

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