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がん治療の素朴な疑問

2012/2/21

Part.2

外科治療のレベルはどの程度異なるものなのか?

はにわきみこ

家族「手術するなら高名な外科医に頼みたい、と考えてしまいます」
医師「がんの治療はチーム医療。病院全体の能力で判断するべきでしょう」

【POINT】
・手術と術後はチームで担当。執刀医の力だけではありません。
・納得がいかなければセカンドオピニオンを利用しましょう。
・患者本人が納得できる選択をすることが大切です。



栃木県立がんセンター 研究所長 兼 大腸外科部長の固武健二郎氏

はにわ:患者が特定の外科医に期待をかける場合がありますよね。自宅からどれだけ遠くてもその名医の手術を受けたい、というような。その名医の手術を受けたとして、手術後の治療を別の病院でフォローしていただくことはできるんでしょうか。医療側としては「手術だけ(抗がん剤だけ)を担当してくれ」という要望についてどう対処しますか?

固武Dr:お引き受けします。でも、それがベストだとは思いません。がんの治療は手術も抗がん剤の治療も術後の経過観察も全体をとらえて計画的に行うべきだからです。例えば、ここ宇都宮に住んでいる患者さんで、わざわざ東京の病院に手術を受けに行った人が、帰ってきて抗がん剤だけ頼む、と希望された場合、もちろん引き受けます。しかし、正直なところ、「なぜここで治療を受けるという選択をしなかったのだろう」とは思いますね。

はにわ:外科手術の技量に差があるのでは、と考えるからですよね。実際のところ、外科手術の技量の差ってどれぐらいあるものなのでしょうか。

固武Dr:世の中には手術がうまいことで高名なドクターが何人もいます。一方で、「有名ではないが腕のいい医師」だって多くいるのに、その情報は知られていないのです。それに、高名で腕がいい外科医でも、1年間に執刀できる数は限られています。大腸がんだったら年にせいぜい150〜200例程度でしょう。ですから、高名な医師の施設に行ったからといって、必ずその医師に執刀してもらえるとは限りません。マスメディアで知られているからという理由で「その医師でなければ」と思いこむのは早計ではないかと思います。

医師個人の名声よりも大事なのは「病院としての実力」だと思います。例えば、ある病院が5人の医師によるチームで執刀していたら、例え1人が何らかの事情で抜けても新しい1人を加えて手術レベル(治療成績)を安定させることができます。また、病院は医師だけでなく、看護師や薬剤師など多くの職種の協力も得ながら、施設として治療成績を維持、向上させる努力を常に行っているわけです。その病院がどれだけ成果を出していて、手術に伴う合併症の発症率や死亡率をどれだけ抑えているのか。そういうことにも目を向けて欲しいと思います。

はにわ:技術は、ある一定水準を超えてしまえば差はあまりなくなる、という話を聞いたことがあります。各診療科のドクターの方々は、学会などで切磋琢磨して、高い水準の医療を提供できるよう努力されている。無理をして高名な医師のもとを訪ねる必要はないのかも…。

固武Dr:患者さんの気持ちは分かります。手術がうまい人は確かにうまい。ただし、治療は外科医一人だけで行うわけではありません。たとえば、麻酔科の医師が「この患者さんは合併症などのため、麻酔をして手術をするにはリスクがあります」といえば、手術ができないケースだってあります。手術後の容態を見てくれているのは看護師です。手術後の治療にはもっと多くの方々が関わります(詳しくは第3回)。1人の外科医師でなく、「病院」という単位で評価して欲しいですね。

マスコミで出されているデータ本がありますが、実際は数字だけでは測れません。手術の死亡率が高いからといって、技術的な問題があるわけではなく、他院では引き受けられないような、病状が難しい患者さんを多く引き受けている病院なのかもしれません。

むしろ、数が多い、少ないではなく、その病院の「特徴」や施設としての本当の実力を評価することの方が大切ではないでしょうか。これからの病院はそのような情報を積極的に公開するように努力すべきでしょう。

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