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2009/3/10

子宮体がん 標準治療アップデート 原因と検査 急増中の子宮体がん 初期症状の不正出血に注意を

 
 子宮体がん監修:京都大学婦人科学産科学講座教授 小西 郁生  
 
 子宮体がんは、妊娠した際に胎児を育む子宮体部に発生するがんです。子宮体部の内側をおおっている粘膜は「子宮内膜」と呼ばれますが、この子宮内膜は、卵巣から分泌される女性ホルモンに反応して毎周期増殖して妊娠の準備をしていますが、子宮体がんはこの子宮内膜から発生してくるため「子宮内膜がん」とも呼ばれます。

 子宮体がんは国内で急速に増加しています。子宮体がんは、調査により動物性脂肪の多い食生活をする地域に多いことが知られており、日本でも肉類を主とする欧米型の食事に変わってきたことが原因の一つと考えられています。肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病も体がんのリスク因子です。また大腸がんの家族歴との関連性も指摘されています。子宮体がんは、女性ホルモンであるエストロゲンが関与し更年期女性に多く発生するタイプI体がんと、エストロゲンに関係なく高齢女性に多く発生するタイプII体がんの二つに分けられますが、タイプIが約70%を占めています。

 卵巣から分泌される女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、卵胞から分泌されるエストロゲンは子宮内膜に働いてその増殖を促し、排卵が起こると黄体からプロゲステロンが分泌され内膜は妊娠の準備をします。妊娠が成立しないと内膜は子宮から剥れて月経となります。ところが、更年期で排卵が起こりにくくなるとプロゲステロンが出なくなり、ホルモンバランスがくずれ、エストロゲンだけが内膜に作用する状態となります。その結果、子宮内膜の増殖性変化が起こり、がんが発生しやすくなるのです。未経妊や多嚢胞性卵巣症候群などのエストロゲン優位環境も体がんのリスクを高めます。また、乳がんの術後にホルモン療法としてタモキシフェン(商品名「ノルバデックス」「タスオミン」など)を服用されている患者さんも体がんが発生しやすいので検診が必要です。

 子宮体がんの初期症状は不正出血です。とくに閉経後に出血がみられた場合は、まず体がんを考える必要があります。また閉経前であっても、月経と無関係の出血が続けば注意が必要で“更年期の出血”も体がんの可能性があります。子宮体がんは早期でみつかることが多く、きちんと治療すれば治癒する可能性も高いがんですので、不正出血などの症状が見られた場合に放置しないことが大切です。

子宮体がんのスクリーニング
 子宮体がんを発見するには、「内膜細胞診」と「経腟超音波検査」の2つが用いられます。市町村の「体がん検診」では内膜細胞診が行われますが、すべての女性に適用されるわけではなく、不正出血があった方に行われます。この内膜細胞診は子宮頸がん検診で行う細胞診ではなく、子宮の内腔に細い器具を挿入して子宮内膜の細胞を採取し顕微鏡で調べる検査で、多少の痛みを伴うことがあります。

 子宮体がんのスクリーニングに経腟超音波検査も有用です。超音波で子宮内膜の厚さを計測しますが、閉経後で厚さが4 mm以上あれば内膜になんらかの病変が存在していると考えられますので、次の内膜組織診を行う必要があります。

子宮体がんの確定診断−内膜組織診
 細胞診や超音波検査でがんが疑われた場合は「内膜組織診」を行います。組織診は、キューレットと呼ばれる細い金属棒の先が匙のような形をした器具を用いて子宮内膜組織を採取し、顕微鏡で病理診断する方法です。軽い痛みがあり、少量の出血が数日続きます。

 また、この組織診は「子宮鏡検査」の下で行うこともあります。子宮鏡と呼ばれる内視鏡ファイバーを使って、直接目でよく観察し、がんが疑われる部位を見逃すことなく組織を採取する検査です。この子宮鏡検査は麻酔をかけて行います。

 いずれにしても、内膜組織診を行うことで、はっきりと子宮体がんとの確定診断が得られます。

がんの組織タイプの診断
 子宮体がんであることが確定すれば、この段階で患者さんに「体がん」であることをご説明します。ただし、体がんは早期に発見されることが多く、比較的治りやすいがんであることも同時にお話します。そして、次のステップとして、治療方針を決めるために、がんの性質や広がりを正確に評価する必要があります。

 まず、がん細胞の性質を評価することが大事です。これは、病理診断によって決定される「がんの組織型と分化度(グレード)」で表されます。これは最初の組織診で既にわかっていますが、正確に評価するために、この段階で子宮鏡検査を行い多くの組織を採取することもあります。組織型としては、まず、予後のよいタイプI体がんか、それとも比較的予後不良のタイプII体がんかを判別します。そして、同じ組織型であっても、予後のよい高分化型(グレード1)か、それとも予後不良とされる低分化型(グレード3)か、その中間の中分化型(グレード2)か、ということを評価します。

がんの拡がりの診断
 子宮体がんが、局所でどれくらい拡がっているか、離れた場所の転移がないかどうかを正確に評価することが、治療法を決める上でとても大切です。これには、MRIやCTなどの画像診断を行うことが非常に大切です。

 MRI検査は、磁場を使って体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査で、骨盤内の子宮や卵巣の病巣評価に優れた検査です。MRIを行うことで、子宮体がんが子宮筋層にどれくらい深く浸潤しているか、子宮の頸部にまで浸潤していないか、近くの卵管や卵巣に進展していないか、膀胱や直腸はだいじょうぶか、などを評価します。

 CT検査(CTスキャン)は、放射線を用いていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピューターを使って鮮明な画像を得る検査で、転移診断に優れています。CTを使って、リンパ節転移がないかどうか、腹腔内にがんが散らばっていないか、肝臓・膵臓・脾臓などは大丈夫かなどをよく検討します。なお、必要に応じてPET検査を行うこともあります。

 肺に転移がないかどうかは、胸部X線でスクリーニングを行い、疑わしい所見があれば胸部CT検査を行います。

 血液検査で腫瘍マーカーも調べます。CA125が最も重要であり、非常に高い場合はがんが子宮外にも進展している可能性を考えます。

子宮体がんの進行期(ステージ)
 がんの拡がりを示す進行期(病期)は、子宮体がんの場合、最終的には手術療法後の病理診断に基づいて決められます。しかし、これまで述べましたように、画像診断によってできるだけ正確に情報を集め、術前にどの進行期と考えられるかを評価しておきます。

 I期は、がんが子宮体部のみに存在する場合であり、がんが筋層にどの程度深く浸潤しているかによって、Ia期、Ib期、Ic期に分けられています。Ia期はがんが子宮内膜だけにとどまっている場合、Ib期はがんが子宮筋層に浅く浸潤している場合、Ic期は子宮筋層の半分を超えて深く拡がっている場合を指します。

 II期は、がんが子宮頸部まで拡がっている状態です。IIa期はがんが子宮頸部の表面だけに拡がっている状態、IIb期はがんが子宮頸部に深く拡がっている状態です。

 III期は、がんが子宮を越えて子宮の外に拡がっているが、骨盤内にとどまっている状態です。がんが骨盤内のどこまで達しているかにより、IIIa期、IIIb期、IIIc期に分けられます。IIIa期は、1)がん細胞が腹水中に認められる状態、2)子宮の隣の卵巣や卵管に浸潤した状態、3)他の骨盤内の腹膜まで拡がった状態−−のうちどれかに当てはまる場合です。IIIb期は、がんが腟に転移した状態です。IIIc期は、がんがお腹の中のリンパ節に転移した状態です。

 IV期では、がんは骨盤を越えて拡がっており、IVa期は膀胱または直腸まで拡がっている状態です。IVb期はがんが骨盤を越えて上腹部へ広がった状態、または肺などの遠隔部位に転移している状態です。

(まとめ:坂井 恵)

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