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2009/2/10

標準治療アップデート 診断と予後 早期胃がんは高い治癒率 転移の有無確認には術前CT検査が重要

 
 胃がん監修:京都大学消化管外科教授 坂井 義治  
 
 胃がんは日本人に多いがんですが、消化器のがんの中で、大腸がんと並んで、治りやすいがんとして知られています。特に早期胃がんの予後は非常に良く、完全にがんを切除できた場合の治癒率は9割を超えています。

 胃がんは、胃の粘膜から発生します。胃炎などの炎症が生じた後の胃粘膜はがん化しやすいと言われています。そのため、慢性胃炎を起こすすべての要因は胃がんの危険因子といえます。食物については、特に、塩漬けの魚や肉、漬け物など塩蔵品を大量に食べると胃がんになりやすくなると言われています。また、魚や肉の焼けこげにも多くの発がん物質が含まれています。逆に、フルーツや非でんぷん野菜は胃がんになる危険を減らすといわれています。

 食べ物以外では、喫煙が胃がんを増加させると言われています。胃粘膜にすみつくヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌が胃がんの原因の一つであることも明らかになってきました。ただし、ピロリ菌に感染したらすぐにがんになるわけではなく、長期にわたる感染が原因で生じる慢性胃炎の継続などを経てがんが発症するといわれています。

 胃がんの患者さんの中には、痛みや胃部不快感などの症状が現れる場合があります。血を吐くことや便に血が混じることもあります。このような症状があっても胃炎や良性の胃潰瘍の場合もありますが、胃がんの早期発見のためには症状があるときはまず医療機関を受診することが大切です。

 40歳以上の人を対象に、X線検査を主体とする胃がん検診が行われています。検診は、症状の出ない早期のうちにがんを発見できるというメリットがあります。胃がんは日本人に多いがんですので、年に一度、市町村や職場の検診を受けるようにしましょう。

【検 査】
 胃がんが疑われると、まず胃のX線検査(胃X線検査)と内視鏡検査を行います。胃の内視鏡検査は、一般に胃カメラとも呼ばれる検査で、内視鏡(ビデオスコープ)で胃の内部を直接見る検査です。病変の広がりや深さを調べます。

 胃X線検査は、バリウムを飲んで、X線で胃の凹凸や粘膜の状態を診る検査です。途中で発泡剤を飲んで胃を膨らませます。これによって、胃壁の動きや伸展性の異常、がんの有無、がんの拡がり、胃壁への深達度などもわかり、胃の切除範囲を決めるのにも役立ちます。

 内視鏡を使って、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる「生検」を行うこともあります。生検は、がん細胞の有無やがん細胞が見つかった場合にどのような種類のがん細胞かなどを調べる検査です。生検が行われて初めて、がんの確定診断がつきます。

 通常の内視鏡検査で不十分な場合は、追加で超音波内視鏡検査を行うこともあります。これは、内視鏡の先端に超音波を発生する装置が付いた機器を用いてがんが疑われる部分の粘膜下の状態や、胃壁、胃壁の外の構造などを観察するものです。胃がんが胃壁のどのくらいの深さまで進展しているか、胃の外側にあるリンパ節に転移していないかなどがわかります。

 その他に胃がんの広がりを調べる検査としては、CT検査、注腸検査、胸部X線、腹部超音波などがあります。CT検査は、X線を使って体の輪切りの像を描き出し、腹部や胸部の異常を調べる検査です。がんが周辺の臓器に広がっていないか、肝臓などほかの臓器やリンパ節に転移していないかなどを調べることができます。がんの治療法を決める際には、転移の状態が重要な判断の根拠となるため、CT検査は術前の検査として重要です。胃がんでは、より病変部を見やすくするために、造影剤を注射して検査するのが一般的です。

 注腸検査は、大腸や腹膜にがんが広がっていないかを調べるために行います。これは、お尻からバリウムと空気を注入し、大腸の形をX線写真で確認する検査です。

【病 期】
 胃がんは、胃の壁の内側から外側に向かって進んでいき、それに伴って転移することが多くなります。病期(ステージ)は、がんの進行の程度を示すもので、がんが胃の壁の中にどのくらい深くもぐっているか(深達度:T)、リンパ節や他の臓器への転移があるか(N、M)によって、I期(IA、IB)、II期、III期(IIIA、IIIB)、IV期に分類されています。

 胃の壁は、内側から粘膜(M)、粘膜下層(SM)、筋層(MP)、漿膜下層(SS)、漿膜(S)で構成されています。がん細胞が達する深さ(進達度)が、粘膜、粘膜下層までならT1、筋層か漿膜下層まではT2、胃の外側表面まで顔を出した状態をT3、さらに周囲の臓器まで入り込んだ状態をT4に分類しています。進達度が粘膜下層までのものを「早期胃がん」、粘膜下層を越えてより深くに及ぶものを「進行胃がん」という分類の仕方をすることもあります。

 転移には、大きく分けて1)がんがリンパ管に入りリンパ節に転移するリンパ節転移、2)がんが血管に入り肝臓や肺に転移する血行性転移、3)がんが胃の壁を突き抜けて腹膜の中に種をまいたように広がる腹膜播種性転移――の 3つに分けられます。

 リンパ節転移は、転移のないN0、胃に接したリンパ節に転移したN1、胃を栄養する血管に沿ったリンパ節に転移したN2、胃から遠いリンパ節にまで転移したN3の 4段階に分けられています。通常は、これらの深達度やリンパ節転移の程度、さらに肝臓や腹膜などの臓器への遠隔転移の有無によって、病期が分かれています。

 病期は治療前の検査によって決めますが、手術のときに転移などが見つかれば、変更されることもあります。

【予 後】
 消化器のがんの中で、胃がんは大腸がんと並んで、治りやすいがんとして知られています。最初に治療を受けたときのがんの深達度によって予後に大きな差がありますが、特に早期胃がんの予後は非常に良く、完全にがんを切除できた場合は治癒率が9割を超えています。どんながんでも同じですが、進行するほど予後が悪くなりますので、できるだけ早くがんを発見し治療することが重要です。

(まとめ:坂井 恵)

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