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2009/1/6

先輩患者からのアドバイス 病気を引きずって生きなければならないけれど 支え合える仲間がいる

 
 東京肝臓友の会 杉田 清子さん  
 
 42歳のときに受けた輸血・止血剤で感染し、C型肝炎を発症した。65歳で肝機能が悪化し、インターフェロン治療も受けた。難病というものは治らない。患者本人が、そのことを受け止め、開き直らないといけないと思う。これは、決してたやすいことではないけれど、理解しあい、支え合える仲間と一緒なら力が出るはず。

 私の病歴は長いです。42歳のとき(1978年)、不正出血で受けた輸血・止血剤などで感染し、3カ月後にC型肝炎を発症しました。当時は非A・非B型肝炎、肝障害という診断でした。約6カ月間の長期入院を経て、自宅療養でようやく肝機能が安定しました。その後、20年以上も肝機能は正常値を保っていましたが、65歳のときに肝機能が悪化し、AST(GOT)、ALT(GPT)が480に上昇したため、強力ミノファーゲンCの投与(100cc点滴)を2カ月間毎日受けました。しかし、改善がみられず、インターフェロン治療に切り替えました。

 インターフェロン療法は、単剤(インターフェロンβ「フエロン」)の治療を週3回、半年続けました。インターフェロンの治療中は、ウイルスも陰性まで行ったのですが、治療終了後はまた陽性になってしまいました。また、治療終了後、リバウンドといいましょうか、また、AST、ALTは400ぐらいまで上がってしまったのです。

 主治医の先生からは、再度、強力ミノファーゲン投与という話も出たのですが、そのときはいろいろ考えた末、お断りしました。「何かあったら、私が責任を持つからと」。

 とはいえ、心配でしたね。なんとなくだるいような感覚もありましたし。ただ、うれしいことに10カ月後に、AST、ALTが下がり始めて2ケタになり、その後、徐々にほぼ正常値まで下がりました。このときは、主治医の先生も大変喜んでくれて、二人でバンザイをしたことを覚えています。

 とはいえ、ウイルスはたくさん残っています。今は、ウイルスと共存している状態です。そのため、主治医からは、再度のインターフェロン治療を勧められてます。

 ただ、副作用により生活の質(QOL)が下がることを考えると、お断りしているのが現状です。以前、インターフェロンの副作用で意識不明となり、中央線を止めてしまったことがあるんです。後で聞いた話では、3分ぐらいは止めてしまったみたいです。若い方にとっては、1〜2年はQOLよりも治療を優先させても、命を取った方がよいでしょう。しかし、私の年齢では、治療の副作用で具合が悪くなったら、そのまま治らなくなってしまいそうなので、インターフェロン治療は、肝機能が悪くなったら考えようと思っています。

 肝臓は安定しているのですが、実は、C型肝炎とは関係のないところでがんになってしまいました。数カ月前に虫垂がんの診断を受け、手術を受けました。自覚症状があったのですが、仕事が忙しくてついつい病院に行くのが遅くなってしまい6.7cmと腫瘍を大きくしてしまいました。ただ、転移はなかったため、手術のみで経過観察中です。大腸は切れればなんとかなりますから、肝臓とはだいぶ違うなと思いました。

患者仲間の心配ごと、医師との関係
 肝臓の場合、医師との付き合いはとても長いものになります。そのためでしょうかね、患者は、とても医師に気を遣っているんです。

 一番、皆さんが気にするのは、医師へのお礼です。この話題は、ある意味、“秘め事”なので、10人患者が集まったら出ませんが、4、5人の少人数で集まった際には必ず話題になりますね。お礼をする・しない。するとしたら、いつ、いくらぐらいがいいのかなど。

 私自身に相談があった場合には、「治療代はちゃんと払っているのだし、先生方はお金を貰ったうんぬんで態度を変えたりしませんから、先生方を信頼してください」とアドバイスしています。そんなアドバイスをしていることもあり、自分の虫垂がんの手術の際も、謝礼としてお金をお渡ししませんでした。「ラブレターです」と言って、退院のときにお礼のお手紙をお渡ししただけです。このとき実感したのは、お礼をしない勇気を持つというのはたいへんなことだというものでした。

 また、患者さんは、医師の言動にとても敏感です。「先生はパソコンばかり見ていて、患者を見ない」なんて方もいます。ただ、私は患者も努力しないといけないと思うんです。

 「いかがですか?」と聞かれて、「まあまあです」と答えたら、自分の体の情報を提供していないことになりますよね。信頼関係を築くためにも、ちゃんと自分の状況を報告しないと。肝機能検査表を貰っている訳ですから、その表の変動について、「ここはあのときあーだったからこうなったのでしょうか」などと質問してみるといいと思います。また、悩んでいることがあれば、気取らず、1つだけ聞いてみたらいかがでしょう。いくつも質問しても分からなくなってしまいますが、毎回、1つずつ質問していけば自分の理解も進みやすいのではないでしょうか。もし質問したいことがなければ、無駄話もいいと思いますよ。私は、「先生の好きな食べ物は何ですか?」なんてことを質問したこともありました。

治らないのが難病だけど
 私は、50歳のときに、仲間と一緒に、小金井地区肝友会を結成しました。来年で24年目になります。我々の会では、肝炎の告知を受けた直後のグループ、インターフェロンなどの治療を受けている慢性肝炎のグループ、肝がんのグループとグループを分けて、何でも話せる時間を設けています。仲間と個人としての経験を共有することはとても有意義です。

 肝がんは、早期発見・早期治療することで一時、治ります。しかし、C型肝炎がベースにある肝がんは再発がどうしても多いという問題があります。患者もそのことは、よく自覚していますから、いつ再発するか分からない不安といつも隣り合わせで生きている訳です。

 肝臓の病気の特徴は、痛まない、何を食べてもよい、寝ていなくても大丈夫というものです。これはよい面でもあり、悪い面でもあります。見た目に病人と分からないから、無理をして病気を重くしてしまうこともありますし、周囲にも辛さを分かってもらいにくいのです。

 だからこそ、本音でしゃべれる仲間は必要だと思うのです。講演会を聞きにいくことは勉強になりますが、「では、私の場合は?」ということになってしまうことがあります。

 難病というものは、治らず引きずって生きていかないといけないものです。そんな難病と付き合うコツは、一度、底の底まで落ちこむことかもしれません。そして、開き直って、底から這い上がることを自分で決めなくてはいけません。這い上がるのは自分以外の誰でもないからです。でも、這い上がろうと思えさえすれば、手をさしのべる仲間がいます。長いこと病気を引きずって生きるのも、一人ではなく、みんなで引きずって共に生きていけばいいと思います。

 仲間はみんなそれぞれ長い経験を持ってます。自分もあんな時期があったな、なんて思いながら、一緒に泣いて、寄り添えますからね。

(まとめ 小板橋 律子)

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