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2009/1/6

先輩患者からのアドバイス 必要なときに必要な治療を受けて

 
 日本肝臓病患者団体協議会 西村愼太郎さん  
 
 B型肝炎のため12年間に8回のインターフェロン療法を経験した。ただし、副作用のため、仕事を継続できず、主夫になった。仕事と治療の両立の難しさは経験から知っているが、専門医とよく相談し、必要なときに必要な治療を受けることを勧めたい。患者が心おきなく治療に専念できる環境を整えるためにも、肝炎対策基本法の制定を求める活動を開始したところだ。

 B型肝炎ウイルスに感染しているのを知ったのは、25歳の時でした。献血した後にウイルスに感染しているという通知を受けました。年に2回は血液と画像検査を受けるように言われましたが、ウイルスが陽性というだけで、他に異常はなかったため、その後、ウイルス感染に関しては、ほとんど忘れていました。

 ところが37歳のときに、体が辛くて仕事ができなくなってしまったのです。病院で検査を受けたところ、GPT(ALT)が400ぐらいまで上がっていました。即、検査入院となり、肝臓の生検、腹腔鏡の検査を受け、「立派な慢性肝炎」との診断を受けました。医師曰く、「今に始まった肝炎ではない」ということでした。自分でも気付かないうちに、進んでいたのです。

 その後、肝炎の治療ということで、12年間に合計8回のインターフェロン療法を受けました。単剤での投与も受けましたし、ステロイドとの併用も受けました。

 インターフェロンの副作用としては、発熱、悪寒戦慄、脱毛、食欲不振などがありましたが、46歳ぐらいまでは、なんとか仕事を続けながら投与を受けることができました。ただし、49歳のときに受けたインターフェロンの治療で、車の運転がうまくできないという症状が出てしまったのです。赤信号を見ても、素早く反応できないのです。いままで反射的に出来ていたことができなくなってしまいました。入院中も外出許可をもらい病院から職場に通っていたこともあり、これには困りました。交通事故を起こしてしまった患者さんも知っていますので、自分だけの副作用ではないようですね。

 そのときの主治医に、仕事をかえることを考えていると相談したところ、「今は辛いかもしれないけれど、50歳を過ぎると、自分自身の免疫力も落ちてきて、ウイルスが感染している細胞を攻撃する力も弱まってくる。そうすると、肝機能は落ち着いてくるから、もう少し頑張って、仕事は辞めないように」と説得されました。

 ただ、自分の人生ですし、この状態では仕事はできないと考え、当時としてはかなり珍しいパターンかもしれませんが、妻が稼いで、自分が子どもや親の面倒など家のことをすることに決めました。

 うちの子どもは、生まれてすぐに大きな手術を受けていて、リハビリに子どもを連れて行く必要もありました。これを私が担当することにしたのです。

 実は、子どもは、手術の際に輸血もたくさん受けていて、C型肝炎ウイルス陽性です。そのため、小学校6年生のときにインターフェロンの治療を受けています。大きい病院で投与を受けるとなると、学校を長期に休まなければなりません。そのため、患者会活動で得た情報を駆使して、最初の2週間だけ入院とし、その後の6カ月間は通院で投与してもらうことにしました。通院で投与をしてくれる開業医を探しまわり、最初の3カ所の先生に断られ、4カ所目の先生に、「今までやったことがないので、勉強のつもりでやらせてもらいます。それでもいいですか?」と言われ、お願いしました。

 子どもは、クラブ活動をしながら、月・水・金曜日の夜に病院に行き、インターフェロンを打ってもらっていました。また、泊まり込みの校外学習の際には、投与する曜日をずらしてもらい、なんとか出席させました。子どもは強いです。スポーツのクラブ活動を続けながら、インターフェロン治療を受けている子もいますからね。うちの子どもは、今、25歳で、ウイルスは消えてはいませんが、肝機能は正常で元気にしています。

 さて、私はというと、50歳を過ぎてからは、GOT(AST)、GPT(ALT)ともにそれほど上がらなくなりました。ただ一度、200近くまで上がったことがあり、そのときは医師に抗ウイルス剤のラミブジンを勧められました。そのときは、これまでの自分の肝機能のデータを考えて、「3回の血液検査で上昇傾向が続いたら飲みます」と答えました。

 自分の肝機能のノートを付けていて、私の場合、10カ月くらいの周期で上がったり下がったりしていることを知っていたためです。実際、次の血液検査では数値が下がり、薬も不要となりました。数値の変動のパターンまで見る医者は少ないかもしれませんので、自分の肝機能の変動パターンは知っておくといいと思います。

 今現在は、3カ月ごとの血液検査、年1回の超音波検査、年1回のCT検査という定期的な経過観察のみです。若い頃に頑張って治療した甲斐があったと思っています。

必要なときに必要な治療を受けて
 自分の経験からお勧めしたいことは、『必要なときに必要な治療を受けて欲しい』ということです。現在、B型肝炎の場合、35歳未満ではインターフェロン療法が勧められ、35歳以上では抗ウイルス剤が第一選択です。若いうちに発見されたのであれば、まずB型慢性肝炎の治療経験に富んだ「専門医」によく相談して欲しいと思います。ただ、仕事も忙しい年代では専門医をさがし受診する時間を確保するだけでも難しいかもしれません。

 また、若いときのインターフェロン治療では副作用の問題があります。集中力や体力を必要とする仕事の場合、インターフェロンの治療を受けつつ仕事を継続することは難儀かもしれません。そのため、治療中に仕事の内容をかえてもらうことができないか考えて欲しいと思います。1〜2年間を、治療優先にすることは、非常に大きなたいへんな選択です。しかし、その後の人生を左右する大切な選択でもあるのです。

 難しい問題としては治療費の工面もあります。政府はインターフェロン療法の医療費補助を開始しています。この補助は、収入の少ない方々には活用されており、それ自体はよいことなのですが、インターフェロン療法のみが対象となっているのは不十分ではないでしょうか。

 B型肝炎の場合、肝炎ウイルスの量を下げ、肝機能を正常に近づけることが肝がんや肝硬変への移行予防に役立ちます。そのため、抗ウイルス剤の長期投与が非常に多く行われています。ただし、抗ウイルス剤は医療費補助の対象とはなっていないのです。肝炎治療として幅広い治療法が助成対象となることを望んでいます。

 加えて、まだまだ自分自身が感染していることを知らない方もいます。肝炎ウイルス検査を受けやすい環境が整って来ていますので、ぜひ、検査を受けてください。そして、感染が分かったら、早めに治療を受けて欲しいです。

肝炎対策基本法の制定を求め全国キャンペーンを開始
 我々、日本肝臓病患者団体協議会は、今年(2009年)から、肝炎対策基本法の制定を求めて、全国キャンペーンを開始します。全国的な肝炎治療体制の整備や、医療費助成、治療中の生活支援などを補償した法律を求めたいと思っています。

 肝炎対策基本法が制定されることで、治療を安心して受けられるようになればと願っているのです。

(まとめ 小板橋 律子)

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