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2008/8/5

標準治療アップデート 診断 治療法決定のため転移の有無の正確な診断が重要

 
 大腸がん監修:京都大学消化管外科教授 坂井 義治  
 
 大腸がんとは、水分の吸収をつかさどる大腸にできるがんのことです。大腸は、消化管の中で肛門に一番近い臓器で、お腹を“の”の字に取り囲むような筒状の形をしています。大腸がんは、その罹患率も死亡率も増加傾向にあります。これらの割合を年齢別にみると、男女ともに50歳代から増加し始め、年齢が高くなるにつれて右肩上がりに増加しています。患者数の増加には、高齢化の進展と食生活の欧米化が関与しているのではないかと考えられており、今後、患者数は、ますます増えると予想されています。大腸がんは非常に身近な病気なのです。

 大腸がんは、大腸の内側の最も表面にある粘膜の細胞から発生し、徐々に大腸壁の内部へと深くなり(「浸潤」といいます)、リンパ節や他の臓器に広がっていきます(「転移」といいます)。ほうっておくと徐々にがんが全身に広がってしまうため、早期発見・早期治療が大切です。ただし、他の臓器にできるがんと比べ、比較的進行がゆっくりで、早期にがんを発見できれば、完治する可能性も高いのが大腸がんの特徴です。

【診 断】
 大腸がんの治療では、原発巣を取り除くことが重要ですが、転移があればそれも取り除くことが大切です。そのため、転移があるかどうかをチェックすることが、治療法を決める際に非常に重要です。

 治療を始める前に、がんがどれだけ広がっているか、あるいは他の臓器に転移していないかどうかを、できるだけ正確に確認する必要があります。がんの広がり具合によって、行う治療が異なってくるためです。多くの検査がありますが、いずれも治療方針を決めるために重要な検査です。

胸部X線検査
 胸部X線検査は、一般に「レントゲン検査」と言われているもので、会社や市町村の健康診断などでも行われるので、受けたことのある人がほとんどでしょう。全身麻酔での手術を受ける際には、肺の機能(呼吸機能)の状態を知っておく必要があります。安全に手術を行うためにも、胸部X線検査は必要不可欠な検査です。

 また、胸部X線検査では、ある程度、肺への転移の有無を調べることもできます。ただし、転移が強く疑われる場合は、X線検査に比べてCT検査の方が精度が高いため、CT検査が優先されます。肺は、肝臓に次いで、大腸がんの転移が起こりやすい臓器です。

腹部超音波検査
 腹部超音波検査(または「エコー検査」)は、超音波を発するプローブと呼ばれるへら状のものをお腹に当て、身体の表面から体内を観察する検査です。プローブを当てるだけなので、痛みや副作用がなく、放射線も使わないので、体に優しい検査といえるでしょう。

 腹部超音波検査により、大腸がんが肝臓に転移しているかいないかを調べます。肝臓は、大腸がんの転移が最も起こりやすい臓器です。超音波検査で肝転移が疑われたら、さらに詳しい診断を行うため、次に述べるCTやMRIを行います。

CT検査
 CTとは、「コンピューター断層撮影(Computed Tomography)」の略です。CTは、全身にさまざまな角度からX線(レントゲン、放射線)を当てて、体を輪切りにしたような形で得られた画像をコンピューター上に再現します。

 大腸がんと周囲の臓器との位置関係を調べたり、周りの臓器への浸潤や、肝臓や肺などの遠くの臓器への転移やリンパ節への転移の有無・程度を調べるために行います。大腸がんがどれだけ進行しているかを調べ、手術の方針を決定するのに大変重要な検査です。大腸がんのために手術を受ける場合は、手術の前にCTを行うのが一般的です。通常は、造影剤という薬剤を注射しながら撮影をします。ベッドに横たわって器械の中を行き来するだけなので、つらさはありません。検査にかかる時間は5〜10分程度です。

MRI
 MRIとは、「核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)」の略です。MRIは、磁気を利用して水素原子の特性を調べ、体内の各組織を性質の違いとして捉えます。放射線は使いません。がんの位置や形に加えて、がんの周辺にある神経や血管の位置関係などを正確に把握することに優れているのが特徴です。リンパ節転移や肝転移の診断能力が高く、直腸がんの周囲臓器への広がりや肝転移の詳しい診断のために行われます。出来上がりの画像はCTと似ていますが、それぞれ目的に応じて使い分けられます。

 検査時間は30分ほどで、その間はなるべく検査をする体の部分を動かさないようにしなくてはいけません。また、検査中の部屋はうす暗く、器械の大きな音がします。暗いところや狭いところが苦手な方、長時間じっとしていられない方などは、無理をせず、事前に担当医師や検査担当技師に相談してください。

腫瘍マーカー
 腫瘍マーカーとは、血液中にあるがんに特有の生体物質(がんに特有のタンパク質や、タンパク質を修飾する糖鎖と呼ばれる物質)のことで、がんの進み具合の目安となります。血液を採取して、血液中のこれらの物質の量を測ります。

 ひとくちに腫瘍マーカーといってもたくさんの種類があり、がんの種類(発生した臓器)によって、関係する腫瘍マーカーは異なります。大腸がんに関係する腫瘍マーカーとしては、「CEA(癌胎児性抗原、carcinoembryonic antigen)」と「CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)」という2つのマーカーが一般的です。

 大腸がんのほかにCEAやCA19-9が高値を示すがんとしては、以下のようなものがあります(注:ときに、がんではない病気や、健常者(病気のない人)でも、高い値を示すことがあります)。

CEA:胃がん、乳がん、肺がん、前立腺がん など
CA19-9:胃がん、膵臓がん、胆のうがん、胆管がん、肝臓がん など

 現時点では、腫瘍マーカーは大腸がんを早期に発見するためのものではありません。既に発見された大腸がんが、患者さんの体内でどれくらい進行しているかの目安にしたり、治療の効果を判定する一つの目安にするために使われます。

 しかし、転移や再発が起こった場合でも、必ずしも高値になるとは限らず、逆に高値だからといって必ず転移や再発があるとも限りません。腫瘍マーカーは、あくまでも一つの目安であり、継続的に検査を行い、再発や転移を早期に発見するためのチェック項目の一つであると言えるでしょう。

(まとめ:小又 理恵子、小板橋 律子)

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