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2008/6/17

医師に聞くべき質問 応用編 抗がん剤の腹腔内投与とは

 
 卵巣がん監修:京都大学婦人科学産科学講座教授 小西 郁生  
 
◆こんな質問をしてみましょう
 抗がん剤を直接腹腔内に投与する方法があると聞きました。そのメリットとデメリットを教えてください。

 卵巣がんは抗がん剤による化学療法が非常によく効くがんです。現在、全国のほとんどの施設で行われている抗がん剤の投与法は、他の化学療法と同じように、静脈内に点滴投与(IV)する方法です。「卵巣がん治療ガイドライン」でも、現時点においては、この方法が世界的な標準的治療法であると述べられています。今後も新しい抗がん剤が開発されていくと予想されますが、やはり基本はこのIV法です。

 しかしながら、日本国内でもいくつかの施設において、抗がん剤の腹腔内投与(IP)という方法が積極的に行われています。これはカテーテル(細いチューブ)を使って腹腔に直接抗がん剤を注入する方法です。手術の時に、IP投与のためのカテーテルを腹腔内から皮下に留置しておき、これを使って術後に抗がん剤の腹腔内投与を繰り返し行います。また、再発して腹水がたまってきたような場合に、腹水を抜いたチューブをそのまま使用して抗がん剤を腹腔内に投与することもあります。ただし、IP法で腹腔内に投与できる抗がん剤は種類が限られていて、IPと同時にIVで他の薬を投与する場合も多くあります。

 卵巣がん細胞は腹腔内に種をばらまくように「腹膜播種」という形で転移していきますので、がん細胞は腹膜表面に存在しています。腹腔に直接抗がん剤を入れるIP法では、がん細胞は高濃度の抗がん剤に直接さらされるため、より効果が高い可能性があります。また、IP法はIV法に比べて、抗がん剤をより大量に投与できること、吐き気などの副作用が少ないなどのメリットもあります。

 米国などで行われた3つのランダム化比較試験では、進行卵巣がんに対してまず手術を行い、腫瘍をほとんど取り除くことができた場合(オプティマル手術)には、術後にIP化学療法を行うと生存期間が延長したという結果もみられています。

 一方、IP法のデメリットは、薬を腹腔内に入れることによる副作用がありうることです。腹膜刺激による腹痛、局所の炎症、腹膜の癒着などがおこることがあります。薬の排泄がIV法よりも遅いので腎機能障害にも注意が必要です。また、半永久的に留置したカテーテルのトラブル、たとえば、カテーテルの閉塞や感染、カテーテルの腸管穿孔などの合併症などが報告されています。もしも担当医からIP化学療法を奨められた場合やあなた自身がIP療法を受けてみたいと思った場合は、以上のような点についてよく説明を聞き、メリットとデメリットをよく考えて選択して下さい。

(まとめ:福島 安紀)

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