このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

新着一覧へ

親ががんにかかったら

2011/9/6

【自宅療養編】第8回

水分・塩分コントロールは難しい

はにわきみこ

満足感を得る味付けの工夫とは?

 塩分の取りすぎは体に毒。それはもはや常識です。書籍「今あるがんに勝つ食事」シリーズで食事療法を提唱する、済陽高穂先生も、「塩分を控える」ことを指摘しています。

 しかし、父の嗜好に欠かせないのは、強めの塩分。母は、結婚当初から、父へ出す料理の中で減塩を心掛けてきました。父母の食卓は常に「しょっぱくしたい」「これ以上ダメ」という戦いだったのです。

 がん治療と内臓再建を経て、母の減塩志向はさらに進化しました。スーパーで「減塩塩」を入手し、食卓塩の器にこれを詰め替えたのです。父は味を見る前に塩を振るクセがあります。その塩の内容を変えれば、自動的に塩分をカットできるというわけです。

 さらに、卓上醤油は煮切酒で割っています。父は、味の付いた煮物にも醤油をかけるため、食べる直前に調味料をかけるおひたしに変更。これも、わが家の場合は減塩につながります。

 塩分を控えても美味しくするには、だしのうまみや、酢を活用します。特に、鰹節、昆布、煮干などで取っただしのうまみは、日本が世界に誇る食文化。私は料理記事の仕事で「昆布だしの湯豆腐」レシピを試したことがあります。ふんだんに羅臼昆布を使っただしのうまみは、塩鱈を入れる必要性を全く感じさせませんでした。鰹節と醤油だけで大満足! 家族そろって「美味しくて健康」な食を楽しめるキーワードは「だし」だと私は考えています。

 酢、柑橘果汁も減塩の助けになりますが、父は酢の物が嫌いです。母もこれには、ほとほと困っています。とはいえ、今後、父の人生はどれだけあるのでしょう? 我慢ばかりで、満足のない人生にしてしまっていいのか、という不安もあります。難しいところです。

 ある時、その悩みを一刀両断する事件が起きました。普段、漢方薬を処方してくれる医師がこう言ったのです。

 「好きなように食べさせたらいいでしょう。塩分が悪い悪いって言ったって、それががんになるまでにはあと10年かかりますよ」

 それを聞いた父のうれしそうな顔が忘れられません。逃げ場のない強制が、父を苦しめていたのだと感じました。禁止されれば欲しくなる、でも禁止が解ければ、執拗に欲しがることがなくなるのです。塩分はさほど減っていませんが、父母のストレスは大幅に減りました。

 母が厳しく取り締まる役ならば、私は父をかばう役。すべての関係者が「ダメ」を連発しては、当事者は苦しむだけ。教科書通りに行かなくても、家庭ごとにバランスを取る工夫をしていくことが大切なのだと感じています。

ポイント

・減塩で美味しく作るために、だしのうまみや、酢を活用しよう
・塩分過多は避けたいが、食事の満足感も重要

【参考サイト】
1)塩を減らそうプロジェクト(減塩レシピ集あり)
http://www.shio-herasou.com/

2)うまみインフォメーションセンター(日本が誇るだし文化)
http://www.umamiinfo.jp/

この記事を友達に伝える印刷用ページ