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親ががんにかかったら

2011/8/9

【自宅療養編】第5回

病人気分が抜けない父、リハビリ失敗

はにわきみこ

 退院してからは、日常生活の中でリハビリテーションを進めます。72歳の父は、手術の後、体重が10kg減りました。筋肉が落ち、体力も低下しているため、何かしら手を打たなければ、寝たきりになる恐れもあります。それを防ぐために必要なのはリハビリ。まずはリハビリに取り組む「気力」を持つことが重要です。

「俺はなあ、がんなんだよ、がん!」

 父は無事に退院し、リフォームが完了した実家で、療養生活が始まりました。通院や買い物に必要だろうと契約した軽自動車が間もなく納車される、というときに事件は起こりました。

 残価設定型ローンのため、父はメーカー指定のクレジットカードを契約することになりました。その確認電話が、なぜか私に掛かってきたのです。先方は「お父様はご病気だそうで、お嬢様に代理でお答えいただきたいのです」と言います。

 話がよく飲み込めず、母に聞いたところ、「実は、クレジットカード会社の人が最初にうちに電話を掛けてきたとき、お父さん機嫌が悪くて。『俺はなあ、がんなんだよ、がん! 契約のことは娘に聞いてくれ!』って言って、ガチャン!って切っちゃったのよね」とのこと。

 それを聞いて私は驚くよりも先に、なんだか笑ってしまいました。「お父さん、治療したんだから、もう、がんじゃないのに」と。

 そう、既にがんの病巣は取り除かれているのです。父は「がん経験者」ではありますが、もう「がん患者」ではないのです。

 そこで私は、父に説明しました。

 「お父さんはがんが見つかったけれど、治療が成功したでしょう。もうがんの部位は取り除かれたから、今はがんじゃないんだよ。がん経験者、がんサバイバー(生還者)なんだよ」

 「確かに再発の心配はあるけれど、これからは、今までの生活に戻れるよう、食事や生活習慣に気を付けて暮らしていけばいいんだよ」と。

 父は自分のことをほとんど語りません。治療中もどんな気持ちでいたのか、一切口にすることはありませんでした。それでも、内心は「がんになってしまった」「あとどれぐらい生きられるのだろう」という不安と戦っていたのかもしれません。

 そのプレッシャーが、後になってこのような形で爆発したのだ、と思うのです。治ったと思ったのに、体は言うことを聞かない。これでは、がん治療中の不自由さと何も変わっていないじゃないか!という焦りが、「おれはがん」という言葉として出てきたのだ、と推測されます(カード会社の人のどんな言葉が、その引き金になったのかは分かりませんが…)。

 これからは、気力を取り戻して、少しずつ体力を付けていくことが父にとっての「仕事」であり「課題」です。それを楽しく行えるようサポートするのが、家族の役割と言えるでしょう。

・今は「がん患者」ではなく「がん経験者」。気力を取り戻す工夫を
・人生を楽しく過ごすために、リハビリは必須

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