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親ががんにかかったら

2011/7/12

【自宅療養編】第1回

術後の体の変化〜癒着への不安と「すぐ出る」悩み

はにわきみこ

この連載では、父にがんが見つかってから手術、退院までの出来事を、「発覚&手術編」として10回にわたってお伝えしてきました。今回からは、「自宅療養編」として、退院後、自宅療養で気を付けるべきことや、わが家が、がん再発防止と健康維持のために行っている工夫などをお伝えします。


 父が罹患したのは、食道がんと胃がん。食道の一部と胃の全部を摘出し、腸で再建するという手術を受けました。無事に手術は成功しましたが、リハビリは、退院してからが本番。まずぶつかったのは「腸」の問題でした。

癒着を防げ! 大手術の翌日すぐに歩行訓練

 人間の体というのは良くできているもので、切り傷はいつの間にかふさがるし、擦り傷を作っても、かさぶたの下には新たな皮膚が作られます。それは外科手術でも同じこと。切って縫った部位は、元の状態に戻ろうと、たくさんの細胞が復旧にむけて精を出します。でもその時に、「癒着」という問題が起きやすいのです。

 通常、人間の内臓は外気に触れない状態で機能しています。腹部を切って手術をすれば、内臓は初めて外気に触れます。このとき「傷を治そうとする力が過剰に働いて、本来必要のない部分までくっつけ合ってしまう」のが癒着である、と私は理解しています。

 開腹手術経験者の9割に癒着が起こるという説もあるそうで、父にとって癒着の問題は他人事ではありません。

 恐ろしいのは、一度癒着してしまったら、剥がすには外科手術しか方法がない、という事実です。そして、一度癒着が起きると、腸閉塞につながる恐れもあります。

 実は、私自身にも術後の癒着の経験があります。子宮内膜症で28歳の時と39歳の時に開腹手術を受けているのですが、2度目の手術のときに、開腹してみると、かなりの癒着が見付かりました。癒着部分を剥がしながら患部を切除するという高度な技術が必要で、手術は長時間に及びました。執刀医に聞いた話では、本来は離れているべき2つの卵巣が、子宮の裏側で絡み合っていたそうです。それを聞いて、手術前、強烈な腹痛が起こった理由が納得できました。

 こうしたやっかいな癒着を防ぐためには、歩くことが一番です。実際、6時間に及ぶ大手術の翌日、集中治療室にいるにもかかわらず、父は歩くように指導を受けました。面会に行った母と妹が、左右から支えて、ベッドから立ち上がり、一歩ずつ、集中治療室の端から端まで歩く訓練をしたのです。

 体につながれたチューブや酸素ボンベを外す準備に約30分、十数メートル歩くだけで10分、と非常に時間がかかりました。顔色は青く、一歩ごとに肩で息をしている父の姿は、まるで、いじめられている様に感じられます。癒着を防ぐために必要な行程だと知らなければ、関係者に抗議したことでしょう。患者本人も家族も、大手術の後は安静にするものだと思い込んでいましたから。

 もちろん、退院してからも、適度な運動は一番の課題でした。術後に積極的に歩くことの重要性を、家族一同で認識し、サポートしていく必要があるのです。

ポイント

・開腹手術の後は内臓の癒着が起こりやすい
・癒着を防ぐには術後すぐから歩くこと。退院後も散歩を

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