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親ががんにかかったら

2011/3/29

【発覚&手術編】第1回

がん発覚!ショックは乗り越えられるもの

はにわきみこ

 実は、父のがんが発覚したとき、母の悲願だった「スイスの高山植物を見る2週間の旅行」の出発が2週間後に迫っていました。航空券や宿泊先などの手配をすべて終え、あとは出発を待つばかりでしたが、この状況では出掛けることはできません。

 両親と電話で話していたとき、私の頭をめぐっていたのは、現実的なもろもろの手配のこと。旅行会社に航空券のキャンセル電話をする、スイスの貸別荘をキャンセルする手続きについてメールを書く、妹にメールで知らせてどうサポートするか相談する、食道がんという病気の治療法を調べる、病院の選び方について調べる、情報を持っていそうな知り合いに問い合わせをする、仕事のスケジュール調整をする、などなど。

 もちろん、精神面でも激しくショックを受けました。でも、悲壮感に浸って無気力になることはありませんでした。「ここは私がしっかりしなくては!」という使命感が湧いてきて、即、行動に移っていました。

 何か行動している時は、落ち込まなくて済む――。経験からそれを知っていたのです。

患者は父?母?大きく違う、心理的な壁
 がんという病気が本人に告知されるようになったのは、「早期発見で治療が可能」「治る病気」だからではないか、と私は考えています。

 振り返ってみれば、私の身の回りにも、がん体験者はたくさんいます。母は4年前に乳がんで手術、放射線、抗がん剤の治療を受けましたし、祖母(母の母)は大腸がんで患部を切除、人工肛門を作る手術を受けました。実家のご近所では、同級生のお母さんは胃がん、お父さんは大腸がんを経験。それでもみんな今は元気に過ごしています。

 「見付かったのが初期ならば、手の打ちようがある」。それが私たち家族の希望となりました。

 とはいえ、心配事が1つ。それは、患者が父であることです。出産や子育て、閉経などを通して体の変化と付き合ってきた母と、体の丈夫さが自慢で健康について無頓着だった父。治療への心構えは大きく違います。

 心配なのは、父の「生きがい」が失われること。サラリーマン定年後に始めた庭師の仕事は、治療が始まれば休まざるを得ないでしょう。そして治療の弊害になるタバコとウイスキーをやめる必要があるはず。やりたいことができない状態で「がんに立ち向かって健康を取り戻そう」という意欲を持てるのか、私はそれが1番心配でした。

 さらに「私は父と意思の疎通ができるかしら」という不安が頭をもたげます。女同士ではおしゃべりができますが、父との会話はどうにも弾まないのが現実です。

 昭和11年生まれの父は、このとき72歳。男は、つらいことには黙って耐える。黙して語らずの世代。自分の病気についてどう感じているの?とは、とてもじゃないけれど聞き出すことはできません。

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