2010/2/16
他の患者さんと同じように、あなたのきょうだいも不安や怖れを抱いたり、混乱したりしていることでしょう。治療で疲れて体調が悪いこともあるかもしれません。治療のために自分の見た目が変わってしまって恥ずかしく思う子どももいます。あなたが感じていることは、あなたのきょうだいも感じていることかもしれません。
●あなたのきょうだいの目線で周りを見てみましょう
きょうだいがどのような気持ちでいるかが分かれば、あなたも手を差し伸べることができますし、少なくともなぜそう感じるのか理解できるでしょう。
がんになった若者が感じることを少し挙げてみましょう:
・怖れ
『自分ががんだと知らされるのは怖かった。治療は痛いの?私に話しかけたり、質問してくるあのお医者さんや看護師さんは一体誰なの?私は、どうなるか分からないなんていやなの。自分がよくなるかどうかも分からないなんて』--Tamara,13歳
あなたのきょうだいの年齢や、つらい状況をどう受け止めるかによって、どの程度怖れを抱くかが変わってくるでしょう。
・悲しみと抑うつ
『いろんなことができなくなって嫌になっちゃうよ。友だちとも遊びに行けないし、今までは自分がこんなことをいうと思わなかったけど、学校へも行けなくて悲しいよ。何もしゃべりたくないときがほとんどだけど、話したいと思ったとしても、いつでも元気で楽しそうにしゃべるなんてことはできない』--Ryan,15歳
がんになったとき以前できたことができなくなる人もいます。遊びに行ったり友だちと会えなくなったりして悲しい気もちになります。悲しみや落ち込んだ気分は、なんとなく気が重いという程度の軽いものから、医師の治療が必要な抑うつまでさまざまです。
・怒り
『その通りよ。私、毎日むしゃくしゃしているの。みんなのことが気に障るし、なんで私がこんな目にあわなきゃならないの?ここ何日かは何もかもにピリピリしているの』--Jeremy,16歳
がんになったことや、治療による副作用があることで、あなたのきょうだいが怒ったり、不機嫌になったりすることがあります。恐怖や強い悲しみ、無力感のように表現しにくい感情が怒りとして表に出ることもあります。きょうだいが怒っているのは病気に対してであって、決してあなたに向けられたものではありません。
・罪悪感
『僕ががんになったせいで、すっかりみんな変わっちゃった。家族みんな今までしていたことができなくなった。妹たちは家の雑用を全部やらされて、嫌になってるだろうし、姉さんは放課後、妹たちの面倒をみなきゃいけないからチアリーダーの活動にも行けなくなった。全部僕のせいなんだ』--Nicole,14歳
がんになったきょうだいは、自分のせいで家族の生活が変わってしまったと罪悪感を持つ場合があります。でも、あなたがこの状況を引き起こしたわけではないのと同様、あなたのきょうだいのせいでもありません。
・希望
『私は信念を持っているの。「どうせ気分がブルーになるなら、明るいブルーにしよう」って。そう大きく書いた紙を私は居間に張ったわ。私は3人の兄弟と一緒に青いマーカーで文字を書いたり、キラキラしたペンで絵を描いたりして飾ったの。絶対私は治る。そういう気持ちでやっているの』--Julie,16歳
あなたのきょうだいが希望を持てる根拠はたくさんあります。ほとんどの子どもはがんが治っていますし、治療法も日々改善されているのですから。希望こそ、あなたのきょうだいが回復するために一番大切なものなのです。
上記のことは、がんになった人にとってはよくみられる感情です。きょうだいと一緒に読んで、どう思うか尋ねてみましょう。
『私のことを分かってくれている日記さんへ。何が起こっているの?何もかもがめまぐるしく変わってゆく。6カ月前、私はやっと高校に入学する末っ子だった。なのに、今は家族で一番の大人みたいになってしまってる。Jillが病気になってから、ママは四六時中泣いたり、いらついたりして取り乱している。ママは私たちが気付いていないと思っているだろうけれど、分かってるわ。Jillの診察に行くのにすべての時間を取られているのよ。パパは一日中昼も夜も働いていて、Jillはと言えば寝転がって音楽を聴いている。がんのせいでJillが大変な思いをしているのは分かるけど、なぜ私が犠牲にならなきゃいけないの?家族が元通りになることなんて、もうないのかな?』--Beth,9月18日、記す
(監修:東京大学大学院家族看護学分野 上別府 圭子)
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