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2009/11/10

自分自身のケア−自分の感情と向き合う

 『日によって、信じられないほどのストレスに苦しむときもあれば、妻と過ごしてきたこれまでの年月を振り返り、感謝の気持ちでいっぱいになるときもあります。でもその翌日には、あまりにたくさんのことをしなければならないことに怒りを感じ、そしてその後には怒りを感じたことに罪悪感を覚えるのです。その日ごとに気分の変動が大きく、自分にも予測がつきません。』--介護経験者のJim

 患者を介護することで、さまざまな感情を持ってきたことでしょう。こういった感情は浮き沈みが激しいものです。希望を持ち続け、次々とわきあがる感情の波に向き合うには、莫大なエネルギーが必要です。がんが進行している今は、こういった感情が一層激しくなっているかもしれません。介護者が抱くことが多い感情には、以下のようなものがあります。

罪悪感

 介護する人は自責の念に駆られることがよくあります。自分が十分に介護していないのではないかとか、仕事があったり、大切な人である患者と離れて暮らしているためになかなか世話ができないことなどを気に病むかもしれませんし、場合によっては、自分が健康であることにすら罪悪感を感じるかもしれません。陽気に明るく振る舞うことができずに気がとがめる場合もあるでしょう。でもそれでいいのです。あなたは動揺して当然の状況にあるのですし、その気持ちを隠してしまったら、他の人には伝わらないことになります。

希望と絶望

 『無力感を覚えたり、ときには、どうやって手を差し伸べたらいいのか分からないときがあるでしょう。痛みをとってあげることもできないし、イライラをなくしてあげることもできない。自分にできることは、ただ寄り添っているだけで、他に何もできないという無力感にさいなまれたりします。』--介護経験者のCecile

 大切な人ががんの治療を受けていると、程度はさまざまでも、希望を持つこともあれば、絶望感におそわることもあるでしょう。そして時が経つにつれて、その希望や理想は変わっていきます。でも、たとえ治ることが望めなくなったとしても、それ以外の望みは持てるのです。安らぎや、平穏、受け入れること、そして喜びなどといったものを望む場合もあります。介護者にとって、このような希望はあと5分、あと5日を耐え抜く力となるでしょう。

悲しみ、不安

 大切な人ががんと闘っているのを見るのは、悲しく、不安を感じることです。大切な人がどんな思いで副作用や恐怖と向き合っているか、とても心配なことでしょう。また、医療費や家族のこと、あるいは一人取り残されることを考えると、不安にもなるでしょう。

 自分一人のときや信頼できる友人といるときは、泣いたり、感情をあらわにしてもいいのです。いつもずっと明るく陽気に振る舞う必要はありません。いろいろな変化に対処するための時間があなたには必要です。

不安感、抑うつ

 不安感とは過度に心配したり、緊張してリラックスできなかったり、どうしようもない不安感に襲われたりする状態のことをいいます。支払いをどうしようとか、どんなことで家族が影響を受けるだろうかとか、そしてもちろん、大切な人がどのような思いで闘病しているかといったようなことを気に病む人が多く存在します。抑うつでは1〜2週間以上も悲しい気持ちが続きます。もしこういった症状のために通常の生活を送りづらくなってきたならば病院で相談してください。誰にも頼らずに耐えている必要はありません。あなたの症状を和らげてもらうことができるのです。抑うつの徴候については、「抑うつや不安感に関して助けが必要ですか」の章を参照してください。

悲嘆

 『主人とお別れをするための覚悟はほとんどできています。ときどき、主人のことを思って悲しくてたまらなくなります。まだそばにいるのに。』--介護経験者のAnn

 悲嘆とは、喪失を受け入れ生きていくことを学ぶプロセスを指します。悲嘆のプロセスでは、深い悲しみなどさまざまな感情が生じます。大切な人を失ったことや、かつての生活を思うと、心が痛むことでしょう。

 しかし、悲嘆の仕方に決まりはありません。人それぞれ違いますから、自分なりの悲嘆の方法で、自分に必要なだけの時間をかけましょう。例えば、悲しみの感情を表にださない人は、自分の悲しみを誰かに打ち明けるよりも、忙しさで気を紛らわそうとします。この悲しみの在り方が正しくないというようなことはありませんし、むろん変える必要もありません。

 大切な人がまだ亡くなっているわけでもないのに、すでに失ってしまったかのように感じることがあります。これは予期悲嘆といいます。身の回りのさまざまな変化や、これから失うことになると思うだけで悲しくなるのは無理もないことです。あなたが思い描いていた大切な人との生活は、今の生活とはずいぶん違うものでしょう。予想していたことについて、またこれから起こることについて悲しむこともあるでしょう。将来大切な人を失うことや、そのことによって起こる変化のすべてを嘆き悲しむのは無理もないことです。

 このような感情が自然なものであることを理解してください。また、思いもしないときに悲嘆にさいなまれることもあります。悲嘆の深さは時によってさまざまですが、何カ月も続くことがあります。ホスピスの職員やメンタルヘルスの専門家、あるいはサポートグループに助けを求めることが大切です。

心の痛み

 あなたは今、以前よりいろいろなことを感じやすく、反応しやすくなっているかもしれません。疲れてストレスがたまっていると、いつも以上に神経が張りつめてしまい、気持ちがさらに傷つきやすくなりがちです。これは周りから十分に援助してもらえていないとか、こんなに苦労しているのを誰も理解してくれないと感じているためかもしれません。しかし、介護者の心を傷つける主な原因のひとつは、介護している相手が自分に怒りをぶつけてくることなのです。ストレスがたまって八つ当たりしてくることもありますし、薬のせいで怒りの感情がいつもより増すこともあります。ですから、このような患者の態度を真に受けないようにしてください。怒りが薬の副作用なのか、医師に尋ねてみましょう。また患者自身は、自分がぶつけた怒りが相手に及ぼす影響を分かっていないことがありますから、思い切って本人にあなたの気持ちを話すのもいい方法かもしれません。ただ、よい感情にせよ、悪い感情にせよ、一番大切な人だからこそ丸ごと見せられるのだということだけは、忘れないでいてください。

怒り

 『何も予想がつかないし、精神的に疲れ果ててしまいます。一時的にましになったかと思えば、2時間したら何かが起こったりして、その対処法も分かりません。』--介護経験者のDavid

 今、たくさんのことが起こり過ぎて、怒りを感じずにはいられないでしょう。自分自身や家族、神、介護している相手にさえ怒りを感じているかもしれません。最初のうちは、怒りは行動の原動力にもなります。もっと違う治療手段について調べてみようと思うかもしれませんし、他の医師の意見を聞こうとするかもしれません。しかし、あまりに長い間怒りを感じ続け、他の人にぶつけるようになったら、もう怒りは何の役にも立ちません。

 あなたが何に怒っているのかを考えてみるのはいいことかもしれませんが、そんなに簡単ではないこともあります。しばしば怒りは恐れや、パニック、心配といった表現しにくい感情から生まれることもあるからです。もしこういった感情がずっと続くときは、カウンセラーやメンタルヘルスの専門家に相談しましょう。

孤独

 周りにたくさんの人たちがいたとしても、介護をしていると孤独を感じることがあります。誰もあなたの苦労を分かってくれないと感じるかもしれません。また、自由な時間が減ったために、人と会えなくなったり、以前していたことができなくなったりして、孤独を感じることもあるかもしれません。でも、どんな状況であるにせよ、あなたは一人ぼっちではないのです。どう感じているのか他の介護者なら分かってくれますし、同じような気持ちを抱えています。

病気を認めなくない気持ち
 友人や家族の病気が回復しないかもしれないという事実を受け入れるのは、容易ではないでしょう。治療を続けていれば最後には効果が表れるのではないか、あるいは新たな治療法が発見されるかもしれないなどと考えることもあるでしょう。それも間違いではありませんが、患者や医師の意見に真剣に耳を傾けてみてください。患者本人にとってみれば、あなたの考え方は現実を理解していないと感じられるものかもしれません。あなた自身のペースで物事に向き合うのは構わないのですが、その事が他の人に及ぼす影響には配慮しましょう。

(監修:聖隷三方原病院緩和支持治療科 森田 達也)

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