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2009/10/27

家族や友人との話し合い−小児および10代の子どもたちとの話し合い

 生後18カ月くらいになると、幼児は徐々に外界を理解し始めます。もし、その子の肉親が進行したがんに罹っているとしたら、その子を取り巻く世界は月ごと、週ごと、もしかしたら日々変わっていくかもしれません。だからこそ、子どもに対しても包み隠さず話し、一つひとつ着実に心構えをさせることが重要なのです。そして、どんなことが起ころうと、絶対に誰かが自分の世話をしてくれるのだと、繰り返し安心させてあげることが必要なのです。

 あなたの日々のストレスや恐れによって、子どもたちとの接し方が変わってしまうことがあります。子どもたちのために時間を使いたいと願いながらも、がんを患う患者もまた自分のことを必要としていると思うと、その狭間に立ち、苦しむでしょう。だからこそ、子どもたちの気持ちを分かろうとするのと同じく、あなたがどういう気持ちでいるのかを子どもたちに伝えるのは好ましいことです。いずれにせよ、子どもたちが考えていることを理解しているつもりでいてはいけません。また同様にそういった話に彼らがどう反応するかも予想することはできません。専門家によると、子どもたちに最悪のことを想像させておくよりも、がんについてきちんと真実を伝えるほうがずっとよいということです。

 家族にとっては非常に苦しい時期ですが、その苦しみの中で、子どもたちは成長し、何かを学んでいきます。心を開いてがんと正面から向き合うことで、先行きが分からない状況にどう対処するかを学ぶことができるのです。どのような状況にあっても今を精一杯、生きることは、とても重要な教えなのです。

 『幼年期は一度しかありません。そして、それは発育に一番大切な時期です。病気であることは必ずしも子どもの発育の障害になるものではありません。むしろ、力強いメッセージを伝えるための礎として、子どもたちがあなた方を理解し、信じ、愛情を強く感じられるようにしてあげられます。事実を愛と希望に満ちて伝えることができれば、子どもたちが勇気を持って現実を受け入れられるように導くことができます』--医師のWendy Harpham

●コミュニーションを維持しましょう。子供の行動と感情を理解してあげましょう

 大切な人ががんになったときの子どもたちの反応の仕方はさまざまです。次のようなものがあるかもしれません。

・混乱したり、怖がったり、怒ったり、孤独になったり、耐えられなくなったりする。

・抗がん剤治療による副作用を見て、おびえたり、どう振る舞えばいいか分からなくなったりする。

・親のそばを離れなくなったり、以前より自分に関心を払ってもらえなくなったことを悲しんだりする。

・責任を感じたり、罪悪感を持ったりする。

・家の手伝いを増やすと怒り出す。

・学校で問題を起こしたり、宿題をしなくなったりする。

・食事、睡眠、勉強や友人関係で問題を起こしたりする。

・今、自分の世話をしてくれているのが親でないことに腹を立てる。

 子供の反応が現在どうであれ、新たな問題が生じる前のほうが子供の感情に対処しやすいものです。もし何か変化に気付いたら、家族のことを知っている小児科医に相談してみてもよいでしょうし、学校のカウンセラーやソーシャルワーカーに意見を聞くこともできます。もしかすると、子供は信頼している教師やクラブのコーチなど、家族以外の人とのほうが話しやすいかもしれません。また、小児科の医師やソーシャルワーカーが、メンタルヘルスの専門家を紹介してくれることもあります。

 幼児的精神状態に退行する子どももいますが、これはごく自然なことです。年齢よりも幼い行動をするようになったり、もうしなくなっていた行動を再び始める子もいますし、最近できるようになったことができなくなる子もいます。これらはストレスの徴候で、子どもがもっと構って欲しいと望んでいるサインであり、自分の気持ちを分かってほしい、支えてほしいと、子どもなりの形で訴えているのです。この時点で精神的サポートの必要性が明らかであることを認識し、子どもが普段のふるまいにもどれるよう、我慢強く寄り添ってあげてください。しかし、何かアドバイスが必要だと感じたら、ためらわずにソーシャルワーカーやその他の専門家に手助けを頼みましょう。

●子供が自由に答えられる質問をしましょう

 深刻な問題は話し合いにくいという家族もあります。しかし、そうであるほど、話し合わずにいると深刻化することにもなりかねません。「はい」、「いいえ」で答える質問ではなく、本人がごく自然に思ったことをそのまま答えられるような質問をしましょう。年齢に関わらず、子供に話しておいたほうがいいと思われることを以下にいくつか挙げます。

・「どんなことがあっても、絶対にあなたを大切にするからね。」

・「あなたのせいでがんになったわけではないの。それに、あなたが何かをしてくれないからということで、がんが治らないわけでもないの。」

・「周りの人が今までと違ったふうに振る舞うのは、あなたのことや、私たちみんなのことを心配しているからなのよ。」

・「いつでも、どんなことでも聞いていいからね。」

・「私とこのことを話し合いたい?それとも、学校でJones先生と話すほうがいい?」

・「混乱してもいいし、怒っても怖がっても、悲しんでもいいのよ。今はいろんな感情がわき出ると思うの。時々は楽しいと感じるときだってあるでしょう。どんな気持ちになっても構わないのよ。」

●感情や疑問に思っていることを話せる環境を作ってあげましょう

 子どもたちに、決して一人ではないこと、そして入り混じった感情を持つのは当然のことだと教えてあげましょう。そして、自分の気持ちを口に出して話せるように導いてあげましょう。幼い子どもは、人形遊びやお絵描きを通して、気持ちを表現できるかもしれません。もう少し大きい子どもは、図画や工作などで心を伝えられるかもしれません。介護をしている間、子どもたちが疑問に思ったことは何でも尋ねられるような環境を作ってあげてください。また、小さい子どもは同じことを繰り返し尋ねるということを覚えておきましょう。これは無理もないことですから、質問にはその都度、穏やかに答えてあげなければなりません。

●触れ合う時間を見つけましょう

 子どもたちと触れ合う、何か新しい方法を考えてください。子どもたちを寝かしつける、一緒に食事をする、電話やメールで会話するといったことを忘れずに続けましょう。洗濯物を畳みながら、あるいは食器を洗いながら、子どもとおしゃべりをしましょう。もしくは、子どもたちが宿題をするときに、時間を合わせて同じ部屋で何かするようにしてみましょう。また、一緒に散歩をしてもよいですし、スーパーに行くだけでも、「一緒に過ごす時間」になるのです。それぞれの子どもと、二人だけの邪魔されない時間をわずか5分でも取れれば天地の差です。

●手伝ってくれる人を探しましょう

 子どものために今までと同じ時間とエネルギーを割くことはおそらく困難でしょう。しかし、今のような状況でも、子どもはできるだけ普段通りの生活を送る必要があります。お風呂に入り、食事をし、遊び、他の人と触れ合うことが必要です。あなたの子どもには、学校の先生やクラブのコーチやその他、家族以外で親しい大人がいますか?もしいるなら、あなたが介護をしている間、その人に子どものことを頼んでみるのはどうでしょうか。

 または、親しい友人を訪ねて、夕食の支度を頼んだり、子どもをピザ屋に連れていってもらうのもいいでしょう。手助けを頼む友人は、子どもがよく知っていて、安心して一緒にいられる人を選んでください。一方、子どもがあまりよく知らない人には、車の相乗りや食事を届けてもらうことなど、ちょっとした用事を頼むとよいでしょう。

●ティーン(10代の青年)との話し合い

 中高生になると、答えにくい質問や、あなた自身、答えを知らないような質問をしてくるでしょう。「もしこうなったらどうなるの」という質問や、がんが今後の生活にどんな影響を及ぼすのかなど尋ねてくるかもしれません。このような場合でも、子どもに対しては常に正直でいるべきです。さらに大切なのは、子どもが言いたいことをすべて聞いてあげることです。大人同士の場合と同様、こちらが何を言うかということよりも、相手の意見を聞くことのほうが大切なときもあります。

 また、特に中高生になると、自分の気持ちを親にあまり話したがらないこともあります。無視するなどして、その話題を避けようとするかもしれません。その場合は、他の誰かに話すように勧めてみましょう。そして、自分の今の気持ちが分からなくても構わないと教えてあげてください。子どもは成長すると、不安や疑問について特に話をしなくても、ただ親と一緒に過ごしているだけで多くの場合安心できます。子どもを抱きしめ、気持ちは分かっていると伝えるだけで、子どもにとっては大きな支えになるでしょう。

 幼い子どもと違い、ティーンの場合、問題はより分かりにくく複雑となります。以下に、留意すべきことをいくつか挙げます。

・この年齢の子どもたちは自立心が芽生え始める時期ですから、家族と少し距離をおくようになるのは自然なことです。がんによってこういったことが妨げられて、中には感情を態度で表したり、反対に引きこもったりする子どももいます。

・「私を放っておいて」というメッセージを発する子もいます。しかし、それでも親の心遣いや手助けを必要としているのです。

・普通の家庭であってもティーンはストレスに満ちています。あなたが感じる彼らの気分の変化は、家族の病気とは関係ない場合もあります。

・この年齢の子どもたちは普段通りでいたいと望みます。子どもたちが通常の活動に参加できる時間を必ずとってあげてください。

・いつでもコミュニケーションがとれるようにしておいてください。何かを決める際には、子どもたちもできるだけ参加させてください。子供の生活に今起こっていることについて話せる相手がいることを確認しておきましょう。子どもたちの行動や気持ちの問題などをすべて把握し、適切に対処することが今のあなたには難しいなら、子どもが心を通わすことのできる、信頼できる大人に頼んでみましょう。

●子どもを面会に連れて行く際の注意

 子どもが、がん患者本人の近くに住んでいない場合は、面会に連れて行く前に少し話をして、心の準備をさせておくとよいでしょう。子どもを病院へ連れていくかどうかは、あなたや患者、あるいは他の家族の判断によりますが、会いに行きたいかどうかは子ども自身に決めさせるべきです。もし、病人が病院や施設にいるならば、そこはどういった場所なのか部屋の様子なども詳しく説明しましょう。どんな人がいて、何をしていて、どんなものがあるのかも伝えておきます。もし、患者の体調や雰囲気が変わってしまっているような場合は、そのことも優しく説明してください。

 幼い子供に対しては、以下のような説明をしてみてはどうでしょう。

・「おばあちゃんは重い病気なの。病院ではベッドで寝ていて、ちょっとだけ前より小柄になっているかもしれないわ。でも、中身は前と同じおばあちゃんなのよ。あと、髪の毛がなくなっちゃったの。ちょっと、パパみたいな感じかしら。」

・「病院では、ママは眠っているかもしれない。もしかしたら、目は覚めていても休んでいる最中だから、おしゃべりはできないかもしれない。でも、君が来たことには気付いてくれるし、絶対喜んでくれるよ。ママは、君のことを心から大好きでたまらないんだよ。」

・「お見舞いにいったとき、Billおじさんがよく分からないことを話しても心配しなくていいからね。お薬のせいで、ときどきそうなっちゃうんだ。もしおじさんの言っていることがさっぱり分からないようなら、お医者さんに話して、心配いらないか確かめてみるよ。」

 子どもが病院に行くのを嫌がったり、別の理由で行けないこともあるでしょう。そのような場合は、他の方法で子どもの気持ちを表すことができます。手紙を書いたり、絵を描いたり、あるいは電話をかけたり、留守番電話にメッセージや歌を残してもいいかもしれません。子どもが患者に対して持っている愛情や励ましたい気持ちを、自由な形で伝えるように勧めてください。

●死について、子どもに話す

 病気の経過が悪い場合でも、子どもに事実を教えるべきです。本当のことを隠しても、子どもが受ける悲しみを長引かせるだけです。打ち明けずにいることや、真実を隠すことで、子どもは将来、人を信じることができなくなってしまうかもしれません。まず話をしなければ、子どもに心構えをさせることも、今の状況を乗り越えられるように手助けしてあげることもできないのです。子どもたちには、やがて迎える家族の死を、受け入れる時間が必要なのです。

 どの年齢の子どもたちでも、死や死後の世界とはどのようなものなのか、そして死んだらどうなるのかと疑問に思っています。どんな質問にも答えてあげなければ、子供は思い付く限りの恐ろしいことを想像してしまいます。患者自身には苦しい思いをさせないために、できる限りのことをしてもらっていると子どもたちに教えてあげてください。何か変化があればすぐ教えると伝えましょう。そして、最期のお別れもさせてあげてください。

 子どもたちのさまざまな疑問に答えられるように、自分なりの考えを持っておかなければなりません。あなたが望むことは何ですか?今後どうなると思いますか?その答え次第では、この先避けることのできない家族の死を受け入れながら、希望も捨てずにいる姿勢を示してあげられるかもしれません。正直で素直な人であれば、死が誰にでも訪れる自然なことであると子どもに諭します。その姿勢から子どもは、死について話すのは悪いことではないと学ぶのです。そして、支えが必要なときは決して一人にさせたりしないことや、いつも見守っているから安心していいことを、忘れないようにもう一度話してあげる時期でもあります。

 カウンセラーやがん専門のソーシャルワーカーはこういった質問に対してどうしたらよいかアドバイスをくれます。子供向けプログラムや、これらの問題についての本やビデオ、ウェブサイトを教えてくれることもあります。

(監修:聖隷三方原病院緩和支持治療科 森田 達也)

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