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今話題の新しいがん免疫療法ってどんなもの?

2016/3/11

第4回

免疫チェックポイント阻害薬の副作用は?

国立がん研究センター東病院呼吸器内科長/サポーティブケアセンター長/LC-SCRUM Japan研究代表者の後藤功一氏に聞く

加藤 勇治

 本連載の第1回、第2回では、新たに登場した免疫チェックポイント阻害薬とその標的である免疫チェックポイント分子を解説した。この免疫チェックポイント阻害薬は、新しい免疫療法と話題になっているが、医薬品としては抗体医薬の一種であり、免疫系を標的とした分子標的薬の一種だ。
 第3回では、免疫チェックポイント阻害薬の、今あるがん治療における位置づけについて、国立がん研究センター東病院呼吸器内科長で、がんの遺伝子変異に基づく最適な治療法の開発などにも尽力する後藤功一氏に聞いた。第4回は免疫チェックポイント阻害薬の副作用について聞く。


──免疫チェックポイント阻害薬の副作用について伺います。今年1月には免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブを投与した患者に、劇症1型糖尿病が発現し、注意喚起がなされました。

後藤 前にも(第3回参照)言いましたが、現時点で、非小細胞肺がんの治療は、遺伝子検査を行い、その結果に応じて最適な治療を提供することが大切です。EGFR遺伝子変異があるならばEGFR阻害薬が推奨されますし、ALK融合遺伝子変異があるならばALK阻害薬が推奨されます。

 特にEGFR阻害薬については、我々専門医は経験を積んできて、できるだけ安全に使用できるようになりました。間質性肺炎など、様々な経験を経て、今は多くの専門医は安全に、十分な効果が得られるように、薬剤を使いこなしています。

 一方、免疫チェックポイント阻害薬については、これまでの抗がん剤にはないタイプの副作用が出ています。1型糖尿病や甲状腺機能障害などで、これまでにあまり経験がないだけに注意深く対応していく必要があると思っています。

 ただし、我々専門医は肺がんとともに全身状態にも気を配ることの大切さを、これまでの分子標的薬で改めて経験してきました。その経験から、重篤な副作用の予兆をできるだけ早くキャッチし、早め早めに対処しようという視点で患者さんと接しています。副作用については残念ながら避けられないこともありますが、重篤化しないよう、他の診療科の先生とも協力しながら日々努力していることは是非知っていただきたいと思います。また、こうした全身状態をきちんと評価できる専門医のもとで治療を受けてほしいと思っています。高い効果が期待できる薬剤ほど、全身状態に気を配り、安全に使用できる専門医のもとで受けていただきたいですね。

 免疫チェックポイント阻害薬に対する期待は、我々専門医の間にもありますし、患者さんの期待が高いのも感じています。ただし、今まで開発されてきた治療についても忘れないでいただきたいですね。新しい治療が出てきたからといって、今までの治療が不要になるわけではありません。

──これまでの肺がん治療の標準であったプラチナ併用療法は副作用が強く、一方、EGFR阻害薬は相対的に副作用が軽微と言われていますが、先生はどうお考えですか。

後藤 確かに免疫チェックポイント阻害薬は、時に重篤なものが出ていますが、総じて副作用は軽微だと言えるでしょう。また、分子標的薬の副作用も比較的軽微です。それに比べれば、プラチナ併用療法は患者さんが感じる副作用が強いのは確かでしょう。

 しかし、この点も強調したいのですが、プラチナ併用療法は、今はかなり楽に治療を受けられるようになってきているということです。シスプラチンと比べて副作用が相対的に少ないカルボプラチンが使われるようになってきていますし、さらに制吐剤に有効なものが登場し、嘔気・嘔吐もかなりコントロールできるようになりました。副作用を懸念するあまりにチャンスを逃すことはもったいないと思うのです。

 大切なのは、免疫チェックポイント阻害薬の登場は、有効な選択肢が1つ増えたととらえることです。そして、できるだけ多くの治療の恩恵を受けることです。今までの化学療法の有効性についても忘れないでいただきたいですね。

 最後に、私がよく患者さんにお伝えすることなのですが、治療の目標は、「治療を受けること」ではなく、「元気に長生きすること」です。治療そのものが目的となってしまうのは避けてほしいと思います。ご家族と一緒に元気で楽しく長生きすることが唯一の目標です。最新の治療を含め、治療を受けることがこの目標にかなうかどうか、判断していただきたいと思います。免疫チェックポイント阻害薬の登場は、この目的を達成するための有効なツールが1つ増えたということなのです。

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