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今話題の新しいがん免疫療法ってどんなもの?

2016/1/12

第2回

免疫チェックポイント阻害薬って何?

京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教授・静岡県公立大学法人理事長の本庶佑氏に聞く

加藤 勇治

次々と開発が進められる免疫チェックポイント阻害薬
 先に述べたように、免疫系細胞を抑制する働きに関与するPD-1やPD-L1などの分子を総称して、免疫チェックポイント分子と呼ぶ。「免疫を活性化するか抑制するかを決める『チェックポイント』(検問所)に関わる分子という意味で名付けられた」と本庶氏は語る。抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体のように免疫チェックポイント分子を標的としてその機能を阻害する薬剤が免疫チェックポイント阻害薬というわけだ。

 実は免疫チェックポイント分子は、PD-1やPD-L1だけではない。免疫系は高等生物にとって重要な役割を果たしているからこそいくつもの仕組みで制御されているからだ。

 PD-1やPD-L1のほかによく知られているのがCTLA-4という分子だ。やはりこのCTLA-4という分子は免疫系細胞に存在しており、CTLA-4のスイッチがオンになると免疫系は抑制されてしまう。そのため、CTLA-4を阻害すれば抗腫瘍効果が得られるだろうというコンセプトの元に開発が進められたのがイピリムマブという抗体だ。イピリムマブも臨床試験で有効性を示し、現在、国内では、「根治切除不能な悪性黒色腫」の適応で利用可能となっている。

 ニボルマブとイピリムマブは、国内で使用可能になった免疫チェックポイント阻害薬だが、現在、海外ではニボルマブと同じPD-1を標的とした抗体医薬(ペムブロリズマブ)が承認されており、日本でも開発が進められている。特に、ペムブロリズマブは日本においては胃がんを対象とした開発が、厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の指定を受けている。

 厚生労働省の「先駆け審査制度」は、「対象疾患の重篤性など、一定の要件を満たす画期的な新薬などについて、開発の早期段階から対象品目に指定し、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすることで、承認審査の期間を短縮することを目的とした制度」。切除不能な進行胃がんにおいてもこの免疫チェックポイント阻害薬が利用できる日が早く来ると期待されている。

 このほかにも世界中で免疫チェックポイント阻害薬にカテゴリーされる、多くの薬剤の開発が進められており、対象となるがんも、悪性黒色腫や肺がん、胃がんだけでなく、未だ治療選択肢の少ない頭頸部がんや膀胱がんなど様々ながんを対象に開発が進んでいる。

 本庶氏は、「こうした非常に期待されている薬剤の創製に関わることが出来たのは研究者冥利に尽きる。早く多くのがんへの適応拡大が進んでいくことを期待している」と語っている。

 次回はこの新しい抗がん剤である免疫チェックポイント阻害薬の、がん治療における位置づけについて紹介します。

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