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今話題の新しいがん免疫療法ってどんなもの?

2015/11/5

第1回

免疫チェックポイント分子って何?

京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教授・静岡県公立大学法人理事長の本庶佑氏に聞く

加藤 勇治

最初は機能が分からなかったPD-1分子
 もともと本庶氏らの研究室の研究テーマの1つは、胸腺という免疫系細胞が作られるところで免疫系細胞の1つであるT細胞のうち、自分の体内にある蛋白質などを誤って認識してしまうT細胞(自己反応性T細胞)が細胞死を起こすことに関わる分子を見つけようという研究だった。

 この研究の結果、見つかってきたのがPD-1という遺伝子だ。PD-1の正式名称はProgrammed cell death-1で、まさにこの研究テーマに基づいている。ただし、「最初はPD-1という分子の生体内での機能は分かりませんでした」と本庶氏は振り返る。

 研究を進めた結果、PD-1が機能しなくなるように改変したマウスでは、自己免疫疾患を発症することが明らかになった。自己免疫疾患とは、T細胞などの免疫系細胞が、本来は攻撃してはいけない自分自身を攻撃してしまって起こる疾患。「このことから、PD-1は、免疫系細胞に対して『抑制しなさい』というシグナルを伝える機能があることが推測された」(本庶氏)。

 免疫系を抑制する機能があるならば、臓器移植やがん治療に使えるだろう、と考えた本庶氏らは、PD-1が機能しなくなるように改変したマウスにがん細胞を移植する実験を行った。

 その結果、実験動物(マウス)にがん細胞を移植する実験を行うと、「普通のマウスの体内では移植したがん細胞はどんどん増殖してしまいますが、PD-1を機能させなくしたマウスにがん細胞を移植しても、この移植したがん細胞の増殖は見事に抑制されたんです」(本庶氏)。PD-1を標的としたがん治療薬を進めるきっかけとなった瞬間だ。

 開発に紆余曲折はあったものの、PD-1に対する抗体を作製し、臨床試験が始まった。そして、冒頭の2012年の臨床試験の結果発表につながる。今では、世界中の製薬企業が、PD-1や類似の機能を持つ分子を対象とした抗がん剤の開発を手掛けており、ニボルマブやペンブロリズマブが悪性黒色腫で利用可能になり(ペンブロリズマブは現時点では海外での承認のみ)、他の多くのがんでも開発が進んでいる。

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