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今話題の新しいがん免疫療法ってどんなもの?

2015/11/5

第1回

免疫チェックポイント分子って何?

京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教授・静岡県公立大学法人理事長の本庶佑氏に聞く

加藤 勇治

 新しい免疫療法ががん治療の分野で注目されている。この「新しい免疫療法」とは、具体的にどんなものなのだろうか――。実は、この新しい免疫療法とは、これまで知られている免疫療法とは異なり、特定の分子を狙った分子標的薬(抗体医薬)のことなのだ。2012年に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で臨床試験の結果が発表されて以降、注目を集めるとともに、現在、世界中の製薬企業が開発を進めている。この新しい免疫療法としての分子標的薬の標的の1つを発見したのが、京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教授で、静岡県公立大学法人理事長も務める本庶佑氏のグループだ。連載第1回では、本庶氏に発見や開発の経緯を聞いた。


京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学教授・静岡県公立大学法人理事長の本庶佑氏。

 「2012年のASCOで発表された臨床試験の結果は世界中で注目されたと思いますが、さらに今年発表されたデータは、がん治療が大きく変わっていくことを予感させる結果でした」──本庶氏はこう口火を切る。

 2012年のASCOで発表された結果とは、本庶氏の研究室で発見されたPD-1という分子に対する抗体医薬(ニボルマブ、国内では2014年7月に悪性黒色腫の適応で承認取得)が、悪性黒色腫(メラノーマ)、腎細胞がん、そして非小細胞肺がんの患者合計296人を対象とした有効性と安全性を評価する臨床試験で、高い効果が期待できる結果が得られたというものだ。

 この296人の患者のほとんどは既に数多くの抗がん剤治療を受けたものの残念ながら進行してしまった患者で占められていた。さらに肺がんはこれまで多くの様々な免疫療法に関する試験が取り組まれてきたものの、免疫療法は全て効かないのではないかというくらい効果が示されてこなかったがんだ。こうした患者を対象としているにもかかわらず、悪性黒色腫患者群では奏効率が28%、腎細胞がん患者群では27%、非小細胞肺がん患者群では18%という、最新の治療薬に同等以上の成績を示した。さらに腫瘍の縮小が得られた患者の中には、その縮小した状態が1年以上継続している患者も存在していた。

 2015年に発表されたデータとは、未治療の悪性黒色腫患者418人(BRAFという特定の遺伝子に変異が認められない患者)を対象にPD-1に対する抗体医薬を投与した群と、これまでの標準治療であったダカルバジンという抗がん剤を投与した群に分けて比較した臨床試験の結果だ。1年生存率はダカルバジン群が42.1%立ったのに対し、PD-1に対する抗体医薬(ニボルマブ)を投与した群は72.9%、無増悪生存期間(PFS)中央値はダカルバジン群2.2カ月だったのに対し、ニボルマブ投与群は5.1カ月と2倍以上延長したという良好な結果だった。

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