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2010/10/12

性的能力(セクシャリティー)および生殖の問題(2)

がんの患者さんの性機能に影響を及ぼす因子

 身体的因子と心理的因子の両方が性機能障害の発生に関与します。身体的因子には、がん治療の副作用による機能の喪失、疲労、痛みなどがあります。手術や化学療法や放射線療法は、直接的な形で性機能に対して身体的な影響を及ぼしてきます。性機能障害の発生に関与する因子としては、この他にも鎮痛剤、うつ病、がんの発生に関する誤解から生じる罪責感、手術後のボディイメージの変化、対人関係からくるストレスなどがあります。年齢が高くなってくると性欲の減退や性行為の減少がみられることも多くなりますが、とはいえ高齢者にとっても性的側面がQOLを高める上で重要となる場合もあるため、性機能の喪失は悩みの種となります。

■手術に関係する因子

 手術は直接的な形で性機能に影響を及ぼします。術後の患者さんの性機能を予測するのに役立つ因子として、年齢、手術前の性機能と膀胱の機能、腫瘍の位置と大きさ、手術で切除された組織の量などが挙げられます。手術を行うと性機能に悪影響が出てくるがんとしては、乳がん、大腸がん、前立腺がん、その他の骨盤内腫瘍などが挙げられます。

乳がん

 乳がんの手術後の性機能に関しては、数多くの研究が行われてきました。乳房の温存手術や乳房再建術を行う場合は、乳房の全摘手術を行う場合と比べて性機能への影響はかなり少ないようです。乳房の温存手術を受けた女性の方が、それまでと同様に胸への愛撫を受けられたそうですが、性交の回数、オルガズムの達成、総合な性的満足感には全く差はみられません。しかしながら、乳房切除術を受けることには性的興味の喪失とのつながりが指摘されています。化学療法については、性機能の問題とのつながりが指摘されています。

大腸がん

 性機能障害や膀胱機能の障害は直腸がんの手術でよくみられる合併症です。勃起、射精、オルガズムに問題が生じますが、その主な原因は骨盤腔内部の神経の損傷です。血液の供給が絶たれた場合や、神経が切断された場合には、神経の障害が生じてきます。

前立腺がん

 前立腺がんの治療において勃起機能の温存を目指す場合は、新しい神経温存法を用いた根治的前立腺摘除術が、放射線療法よりも確実な方法であるとして現在議論されています。手術の影響と放射線療法の影響を比較するには長期間の経過観察が必要です。普通、勃起機能は根治的前立腺全摘除術を行ってから1年以内には回復します。勃起機能に対する放射線療法の影響は現れるのが非常に遅く、治療後の2〜3年間のうちに徐々に現れてきます。手術と放射線療法では、勃起機能の喪失の原因は異なります。根治的前立腺摘除術では、陰茎への血流量を増やすために血管を大きく開かせる指令を伝える神経が損傷を受けます。そのため最終的には組織に十分な酸素が送られなくなり、細胞が死に、勃起機能を妨げる瘢痕(はんこん)組織が形成されてしまいます。放射線療法では、陰茎に血液を送る動脈が損傷を受けると考えられています。

 前立腺がんの治療では、近接照射療法(放射線を放出するインプラントを用いた内照射療法)がしばしば用いられます。近接照射療法が単独で行われる場合は、さらに外照射療法やホルモン療法が追加される場合と比べて、射精と勃起の機能がより良好に温存されます。しかし、近接照射療法でも放射線による神経や血管への損傷は起こってきますし、放射線の照射量が多くなればその損傷もひどくなっていきます。

その他の骨盤内腫瘍

 膀胱や結腸、直腸を切除する場合でも、その手術法が神経を温存するものであれば、勃起機能の回復が期待できます。骨盤内腫瘍に対する放射線療法の性的副作用は、前立腺がんの治療の後に起こる副作用と類似しています。

 子宮や卵巣、膀胱、その他の腹部臓器または骨盤内臓器を摘出する手術を受けた女性では、切除された組織や臓器の量に応じて痛みと性機能の喪失が生じてきます。こうした患者さんに対しては、カウンセリングやその他の内科的治療法を行うことによって、膣や外性器に正常な感覚を取り戻したり、痛みのない性交やオルガズムの達成を再び可能にすることができます。

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