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2010/8/3

喪失、悲嘆、死別(1)

はじめに

 喪失、悲嘆、死別に関する患者さん向けのこの章は、がんの専門家が医療従事者向けに作成した要約を編集したものです。本稿を含め、がんの治療、スクリーニング、予防、支持療法、および現在米国で行われている臨床試験についての信頼できる情報が米国国立がん研究所(NCI)より提供されています。愛する人ががんの終末期から死へと向かっていく過程は、人それぞれで異なる体験となります。この短い要約では、喪失、悲嘆、死別;悲嘆の各段階;悲嘆への対処方法について記載されています。またこの要約には、子供と悲嘆に関するセクションも設けられています。

概要

 愛する人を失うという状況への対処方法には様々なものがあります。人によっては、たとえそれがつらく困難な経験であっても、人格的な成長へとつながっていく場合もあります。死への対処には正しい方法など存在しません。また、悲嘆の表現方法は当人の人格や故人との関係に左右されます。当人がその悲嘆にどう対処していくかについては、がんの体験、病気の進行経過、文化的・宗教的背景、対処技術、精神疾患の病歴、支援システム、当人の社会的・経済的地位などが影響してきます。

 悲嘆、死別、喪という3つの用語は、しばしば同じように用いられますが、これらはそれぞれで異なる意味をもった言葉です。

 悲嘆とは、喪失に対して起こる正常な反応の過程です。悲嘆反応は、物理的喪失(例えば、死)に伴って生じることもあれば、象徴的または社会的喪失(例えば、離婚、失業)に伴って生じてくることもあります。喪失とは、それがどの種類のものであれ、人が何かを失ったことを意味します。がんの患者さんの家族は、がんという病気を経験していく中で多くの喪失を体験し、その喪失の1つひとつが家族の悲嘆反応の誘因となっていきます。悲嘆の現れ方としては、精神的反応、身体的反応、社会的反応、情緒的反応などの形があります。精神的反応には、怒り、罪悪感、不安、悲しみ、絶望などがあります。身体的反応には、睡眠の問題、食欲の変化、身体的問題、病気などがあります。社会的反応では、家族内の誰かを介護することへの考え方、家族や友人との付き合い方、職場へ復帰することへの考え方などに影響が生じてきます。悲嘆の過程も、死別と同様に、故人との関係やその死を取り巻く状況、故人への愛着の強さなどに応じて様々に変化します。悲嘆は、身体的問題の発生、故人を想ってやまないこと、罪悪感や敵意を抱くこと、普段の活動を行う際の行動の変化などによって表現されます。

 死別とは、喪失が始まって悲嘆を体験し喪の過程が進行している時期のことをいいます。この死別の期間の長さは、故人への愛着の強さや、喪失を予期する時間がどれくらいあったかによって変わってきます。

 喪とは、喪失に適応するための過程のことをいいます。喪もまた、喪失に対処するための文化的慣習や儀式、社会規範などの影響を受けます。

 喪の段階にある人が日常の生活を取り戻すために通らなければならない過程を、悲嘆の作業と呼びます。この過程には、故人との離別、故人のいない世界への適応、新たな人間関係を築くことなどが含まれます。故人と離別するには、愛する人に向けていた感情のエネルギーを別の方向に向けなおす必要があります。これは故人を愛していなかったとか忘れるべきだということではなく、別の方向に向けることで感情の充足を図る必要があるということです。故人のいない世界での生活に適応するためには、自身のもつ役割やアイデンティティ、各種の技術に変化を加えなければならない場合があります。かつて故人に向けていた感情のエネルギーは、ほかの人物や何らかの活動へと向けなおされなければなりません。

 悲嘆の過程には身体的にも感情的にもエネルギーを必要とするため、悲嘆を体験している人では極度の疲労を感じることがよくあります。人が感じる悲嘆は、その故人に関するものだけにとどまらず、故人との関係において達成されなかった希望や計画に関するものまでもが含まれます。死は往々にして過去の喪失や別離を追想させます。喪には以下の3つの段階があるといわれています。

◎故人を取り戻したいという強い衝動
◎混乱と悲しみ
◎立ち直り

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