このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

2010/5/25

がん医療における霊性(1)

概要

 がんの患者さんでは、自身の病気に対処していく際に霊的または宗教的な信条や実践を拠り所とする人が多いようです。このような対処法は霊的対処と呼ばれます。また患者さんやその家族の介護者のなかには、医師に霊性面の関心事への対応を願う人もいるようですが、どのようにしてそういったことを話題にすればいいのかで迷いを感じる場合も多いようです。霊性面のニーズについての表現の仕方は患者さんによって様々で、その人のもつ文化的および宗教的な伝統が関わってきます。がんの専門家は、生活の質(QOL)全体の一部分としてのこうした宗教面、霊性面の関心事に対して、新たな対応方法を模索しています。そのため医療スタッフは患者さんに対して、終末期だけでなく、がん治療を実施していく間にその人にとって重要となる霊性面の問題を明確にしておくように伝える場合があります。

霊性と宗教の定義

 多くの人にとって、霊性と宗教は異なる意味合いをもっています。

 霊性と宗教という言葉はしばしば同じように使われます。が、人によってそれぞれ異なった意味をもちます。宗教は信仰と実践からなる固有のセットとして定義され、通常、組織化された集団と結び付きます。霊性は、個人の安らぎ、個人の目的意識、他者とのつながりの感覚、人生の意味に関する信条などとして定義されています。霊性は、組織化された宗教やその他の方法を通して見いだされ、またそれらによって表現されるものです。自身のことを霊的でかつ宗教的な存在であると考える患者さんは多くいます。一方で、自身のことを霊的ではあるが宗教的ではないと考える患者さんもいます。さらに、自身のことを宗教的ではあるが霊的ではないと考える患者さんもいます。

 霊的苦痛とは、宗教または霊性に関する未解決の葛藤や疑念のことをいいます。

 がんのような深刻な病気が発生すると、それが患者さんの信条や宗教的価値観と衝突することで、高度の霊的苦痛が生じることがあります。がんの患者さんのなかには、がんを天罰と考える人や診断を契機に信仰心を失ってしまう人もいます。

 一方で、がんという問題に対処していくなかで軽度の霊的苦痛だけを経験する患者さんもいます。それは例えば、祈りを対処法として用いている患者さんが祈りの方法を気にしたり、自分の祈りが報われているのかを疑問に感じたりする場合が当てはまります。

生活の質と霊性の関係

 霊的および宗教的に良好な状態にあることは、QOLの向上と関連することがあります。

 霊性が健康とどのような関係にあるのかははっきりとは分かっていません。しかし一部の研究からは、霊的または宗教的な信条や実践によって、気分を改善するような前向きな心構えが促進されるということが示されています。霊的および宗教的に良好な状態にあることは、以下のようにして生活の質の向上と関係してきます。

◎不安、抑うつ、不快感が軽減される。
◎孤独感が軽減される。
◎がんとその治療による影響への適応が改善される。
◎がん治療を受けている間も人生を楽しもうとする能力が向上する。
◎がんとの共生によって個人的に成長したという感覚が芽生えてくる。
◎健康状態を改善する。

 霊的苦痛は健康状態が悪化する原因となることがあります。

 高度の霊的苦痛がある場合、患者さんのがんとその治療に対する対処能力が損なわれてしまうことがあります。さらにこの苦痛によって、健康状態が悪化したり人生に対する満足度が低下してしまう場合もあります。こうした患者さんに対して医療提供者は、しかるべき霊的指導者や宗教指導者に相談して葛藤の解消の手助けとすることを勧めることがあり、これによって患者さんの健康状態やQOL、対処能力などが改善されることもあります。

書籍の購入はこちら

がん情報サイト

この記事を友達に伝える印刷用ページ