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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2011/6/20

連載第16回

これから期待されているインターフェロンを併用した肝動脈内注入化学療法

 肝動脈内注入化学療法(肝動注療法)は、肝細胞がんを養う動脈に抗がん剤を注入する治療法です。高濃度の抗がん剤を直接投与することができるので効果が大きくなると同時に、同じ薬を静脈注射して全身投与する場合に比べて抗がん剤の総量は少なくて済むため、副作用が少なくなるメリットがあると言われています。

 連載第12回で紹介した肝動脈塞栓療法(TAE)との大きな違いは、血管を塞ぐ処置を行わないことです。肝動注療法は、兵糧攻めになっていない分、肝動脈塞栓療法ほど効果は劇的ではありませんが、血管を塞ぐことによる肝臓へのダメージが少ないことや、何回も抗がん剤を注入できることが特徴です。

図 肝動脈内注入化学療法(画面をクリックする図が拡大されます)

 実際には、肝動脈塞栓療法と同じように、カテーテルという細い管を大腿付け根の動脈から通し、肝動脈まで進めた後、皮膚の下に埋め込んだ小さいタンクのような器具(リザーバー)に接続します(図)。抗がん剤は、週に1回程度の頻度で、このリザーバーに注射針を刺して注入します。この方法では、針を抜いてしまえばリザーバー部分の皮膚が少し盛り上がっている程度の外見で、普段通りの生活をすることが可能です。

 この治療法で使用する薬剤は、比較的古くからある5-FU(ファイブエフユーと読みます)、シスプラチン、エピルビシンといった抗がん剤です。奏功率(腫瘍が小さくなる割合)は、報告によって14〜71%と幅がありますが、腫瘍をある程度縮小させることが期待できます。ただし、延命効果についてランダム化比較試験で充分には証明されていません。現在は、症状が進んでいて、3大治療(外科手術、ラジオ波、肝動脈塞栓療法)ができない患者さんに行われています。

 さらに、最近では、インターフェロンを併用した肝動注療法が注目されています。インターフェロンは肝炎の治療に用いる抗ウイルス薬(皮下注射で投与します)ですが、抗腫瘍効果もあると言われており、5-FUを使った肝動注療法と組み合わせると、進行した肝細胞がんに著効する例があることが分かりました。大阪大学消化器外科の門田守人氏(現・大阪大学理事・副学長)らが開発し、全国のいくつかの施設で行われています。

 残念ながら、この治療法は現時点では保険適用外なので、インターフェロンなどの費用を自己負担する必要があります。現在、保険適用を目指したランダム化比較試験が進行中で、その結果により延命効果が証明されることが期待されています。

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