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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2011/4/25

連載第13回

ラジオ波熱凝固療法は体にやさしい治療法だが合併症に注意

図 ラジオ波熱凝固療法(RFA)
超音波装置で肝細胞がんの位置を確認しながら、電極針の先からラジオ波を流して熱により凝固する。

ラジオ波熱凝固療法の特徴は大きな治療範囲
 そして、1993年にイタリアの内科医Rossiによって始められたのが、マイクロ波よりも周波数が低いラジオ波(周波数300〜3000KHZに相当)を用いたラジオ波熱凝固療法です(図)。細い針の先でラジオ波を発生させるとマイクロ波と同じように熱凝固を起こすことができます。

 この治療法の特徴はその大きな治療範囲にあります。針の先端周囲に直径3cmの球状の熱凝固が形成されるため、エタノール注入療法やマイクロ波熱凝固療法に比べて広い範囲を1回の治療で確実に治療することができます。

 日本に導入されたのは1999年で、2004年に保険適応となってから一気に全国に普及しました。連載第11回で紹介したように、現在わが国の肝細胞がんの患者さんの約3分の1がこのラジオ波熱凝固療法で治療されています。最近の全国調査によると、この治療法を受けた9600人余りの患者さんの5年生存率は56.3%で、体への負担が少ない治療であるにもかかわらず、がんの治療成績としてはかなり良い数字が出ています。

腫瘍の場所によってはラジオ波熱凝固療法が適さない場合も
 しかし、ラジオ波熱凝固療法の長所である広い熱凝固範囲は、合併症を考えるときに、逆に短所になることがあります。例えば、熱凝固される領域の中に肝臓内の重要な血管や胆管が入っていると、それも同じように凝固されます。そして、凝固により血管(動脈や門脈)が詰まると、その血管が養う範囲はすべて壊死します。その範囲が大きければ肝機能へのダメージは大きくなります。胆管の場合も塞がったり狭くなったりすると黄疸などの症状が出ます。

 また、肝臓の周囲には重要な臓器があります。すぐ上(頭側)には心臓が、下には胃や大腸(結腸)があり、肝臓の表面の腫瘍をラジオ波治療すると、場合によってはそのような臓器を損傷して出血や腸穿孔による腹膜炎を起こすことがあるので注意が必要です。

 ラジオ波熱凝固療法が従来のエタノール注入療法に比べて優れていることは、多くの研究で明らかになっています。そのため、病巣が3cm以下で、なおかつ様々な理由で手術ができない患者さんの肝細胞がんに対するベストの治療はラジオ波熱凝固療法であると言えます。しかし、腫瘍の場所によっては、合併症を起こす危険性があるため、ラジオ波熱凝固療法が適さない場合もあることを認識する必要があります。

 それでは手術ができる患者さんに対しては、肝切除術とラジオ波熱凝固療法のどちらが優れているのでしょうか。この点については次回SURF trialについての章で詳しく紹介したいと思います。

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