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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2011/4/25

連載第13回

ラジオ波熱凝固療法は体にやさしい治療法だが合併症に注意

 肝細胞がんを治す治療として肝切除しかなく、しかもその手術の危険が大きかった時代、もう少し患者さんの負担が少ない方法で治療ができないものかと考えた内科医らがいました。

 1980年代初頭、千葉大学第一内科の杉浦信之氏らは、腫瘍にエタノールを注入して腫瘍を死滅させる治療法を世界に先駆けて開発しました。これは局所麻酔下に体表から超音波装置で腫瘍を見ながら、普通の注射針と同じくらいの太さの長い針を刺して直接腫瘍にアルコールを数mL程度入れるだけの治療法で、経皮的エタノール注入療法と呼ばれています。

 エタノールには強力な脱水固定作用があるため、腫瘍に限らず人の組織(細胞)を殺す作用があります。しかし、注射によってエタノールが染み渡る範囲は限られていますから、この治療法の適用は小さい(3cm以下)腫瘍に限られます。また、染み渡る範囲を正確に予測することは難しいため、エタノールの効果が腫瘍全体に行き渡っているかの判断が難しく、手術に比べると効果は確実ではありません。それでも、肝機能が低下していたり、高齢や心臓病などの合併疾患のある患者さんで、手術のできないような場合に有効な治療法として全国的に普及しました。

 その後、経皮的エタノール注入療法のこうした欠点を解決するために、電磁波を用いることが考えられました。まず登場したのがマイクロ波熱凝固療法です。この治療法では鉛筆の芯よりやや太いくらいの針を腫瘍に刺し、針先にマイクロ波(周波数1000〜3万MHZに相当)という電磁波を流して腫瘍を熱凝固する方法です。1994年、関西医科大学第三内科の関寿人氏らによって開発されました。

 エタノールの効果範囲に比べるとマイクロ波によって熱凝固される範囲は確実に予想できるのですが、その範囲が針を中心に半径1cm程度の紡錘形の狭い範囲に限られているため、何回かに分けて治療したとしても3cm近い腫瘍を確実に熱凝固することは難しいと考えられていました。次に紹介するラジオ波熱凝固療法(Radiofrequency Ablation:RFA)が登場するまで、経皮的エタノール注入療法とマイクロ波熱凝固療法は、それぞれの特徴を生かして、主治医や施設の判断でどちらかが選ばれる、という時期が続きました。

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