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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2011/4/8

連載第11回

転移を抑えるために肝臓を門脈に沿って切除

 肝細胞がんは、がん病巣の近くにある門脈の枝(担がん門脈枝)に入り込んで転移しやすいことが知られています(図2)。そのため、がん病巣を切除するだけでなく、がん病巣の周辺にある担がん門脈枝を切除することによって根治性が高まります(図3左)。これは筆者の恩師である幕内雅敏先生(現日本赤十字社医療センター院長)が80年代に世界で初めて開発した「系統的肝亜区域切除」という術式で、現在も広く行われています。

図2 肝細胞がんは肝臓内で門脈に沿って広がる
肝臓の断面の模式図。青は門脈の枝を、濃いピンクは肝細胞がんの病巣を示す。矢印はがん細胞の流れる方向を示す(a)。流れ着いたがん細胞が目に見える結節を作ったものを肝内転移巣と呼ぶ(b)。また肝細胞がんは、門脈の中に伸び出して発育することがあり、これを腫瘍栓と呼ぶ(c)。

図3 肝細胞がんに対する系統的切除とラジオ波治療の概念図
系統的切除は、門脈に沿って肝臓を扇形に切除することで、がんが広がっている可能性がある領域を“系統的に”切除することができる。一方、ラジオ波熱凝固の治療範囲は円形であり、門脈の扇形の領域のすべてを治療するわけではない。

 筆者が所属する東京大学のデータによると、肝細胞がんの病巣1カ所で肝臓の機能が比較的良好な患者に「系統的肝亜区域切除」を行った場合の5年生存率は68%で、これは非常に良い成績といえます。

 この術式では、門脈に沿って肝臓を扇形に切除することで、がんが広がっている可能性がある領域を“系統的に”切除します。一方、ラジオ波熱凝固の治療範囲はラジオ波の熱が伝わる円形状であり、門脈が位置する扇形の領域のすべてを治療するわけではありません(図3右)。

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