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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2011/2/28

連載第8回

治療計画に影響与える肝機能分類

 肝臓は余力(予備力)の大きい臓器で、肝機能が正常の人は最大能力の30〜40%を使って生活をしています。実際、生体肝移植のドナーは肝臓の70%程度を切除しても肝不全(注1)に陥らず安全とされています。そのため肝機能は、肝予備能とも呼ばれます。

 肝硬変や慢性肝炎では、この肝機能が低下しています。例えば肝硬変で予備能が正常能力の50%程度に低下している患者さんは、最大でもあと20%分しか切除できないことになります。がん病巣を切除するために、これ以上の肝臓を切除したり熱凝固したりすると、肝不全になってしまいます。

 さらに、肝機能が低下して正常能力の30%未満になると、残された肝細胞では本来の肝臓の機能が果たせない状態(非代償性肝硬変)になります。この状態の肝がん患者さんは、危険が大き過ぎるため肝臓の切除は事実上できず、肝移植が必要になります。

 なお、ここでは、説明を分かりやすくするために「正常肝機能の何%」という表現を使いましたが、患者さんごとに肝機能の値を正確に算出するのは容易ではありません。そこで、実際の治療においては、肝機能をA、B、Cの3段階に分類しています。この分類は、考案者である米国の外科医Childと英国の外科医Pughの名前を取ってChild-Pugh(チャイルド・ピュー)分類と呼ばれています(表1)。

表1 チャイルド・ピュー分類 

1点2点3点
肝性脳症なし軽度時に昏睡
腹水なし少量中等量
血清総ビリルビン値(mg/dL)<2.02.0〜3.03.0<
血清アルブミン(g/dL)3.5<2.8〜3.5<2.8
プロトロンビン時間(%)70<40〜70<40

 肝性脳症、腹水、血清総ビリルビン値、血清アルブミン、プロトロンビン時間の5項目から肝臓の障害度を評価する。各項目の点数を合計し、 5〜6点はA、7〜9点はB、10〜15点はCと分類する。


 簡単に言えば、肝機能が最も高く、安全に肝切除が行えるのがA。肝切除に注意を要する、つまり、少ししか切除できないのがB。最後のCは非代償性肝硬変の状態で、切除はできず肝移植を考えなければならないということになります。

 わが国ではこのチャイルド・ピュー分類に加えて、ICGという緑の色素を使って肝臓の機能を調べる検査法(ICG検査)を加えた「肝障害度分類」もよく使われています。次回は、ICG検査を紹介します。

注1:肝不全とは、生命と保つために必要な肝機能が不足している状態で、回復しなければ死に至る危険な状態のことを言います。

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