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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2011/2/21

連載第7回

がんの病期分類は3つの因子から成り立っている

 テレビ番組や書籍などで、がんを告知されたときに医師に聞くべきことの1つとして病期(ステージ)が挙げられているようで、私も外来で患者さんから質問を受けることがあります。

 がんで病期(ステージ)分類を行う目的は2つあります。1つは、患者さんの予後(治る可能性やどのくらい生存できるか)を予測する根拠になること。そしてもう1つは、病期(ステージ)ごとに適した治療法を選ぶことです。

 がんの進行度は、病期(ステージ)分類で表されます(表)。世界的にはTNM分類がよく使われており、?T因子(腫瘍を表す英語のtumorの頭文字で、腫瘍の進行度を示す)、?N因子(リンパ節を示す英語lymph nodeのnodeの頭文字で、リンパ節転移の有無を示す)、?M因子(転移を表す英語metastasisの頭文字で、リンパ節転移以外の遠隔転移のこと)――の3つの因子から成り立っています。

表 肝細胞がんの病期(ステージ)分類(原発性肝がん取り扱い規約第5版より)

病期(ステージ)分類T因子N因子M因子
?T1N0M0
?T2、3N0M0
?T1-3N1M0
? AT4N0、1M0
? BT1-4N0、1M1

図 T因子の分類(原発性肝がん取り扱い規約第5版より)

 肝細胞がんでは、T因子(腫瘍の進行度)は、腫瘍の大きさ、数、脈管浸潤の有無によって決まります(図)。脈管侵襲とは、肝がん病巣から血管や胆管に腫瘍が伸び出して浸潤している状態のことで、Vpは門脈、Vvは肝静脈、Bは胆管への浸潤の略号です。

 N因子は、リンパ節への転移がないものがN0、1個でも転移があればN1になります。他の多くのがん種ではリンパ節転移の有無および、リンパ節転移があるとすればどれくらい遠くへ転移しているかで決められるのですが、肝細胞がんでは1個でもリンパ節転移があれば、どこにあるかに関係なく根治的治療が難しいことが分かっているので、あるかないかのいずれかでステージが決まります。

 また、M因子は、肝臓とリンパ節以外への遠隔転移を指し、転移がなければM0、転移があればM1になります。リンパ節転移以外の遠隔転移があれば根治的治療は難しいので、最も進行したステージ? Bに分類されます。

 ただし、病期(ステージ)分類だけでなく、肝機能も予後や治療法の選択に大きな影響を与えます。例えば、肝機能が悪ければ、肝細胞がんの病期(ステージ)はそれほど進んでいなくても切除という根治的な治療ができず、患者さんは長く生きることができません。一方、肝機能が良ければ、肝細胞がんがある程度進行していても切除ができます。肝細胞がんはステージ(病期)だけでは予後や治療法を判断できないということを知っておいていただきたいと思います。

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