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國土典宏教授の肝がん治療の誤解を解く

2010/12/21

連載第4回

病巣の構造上の違いにより最適な治療法は異なる

 肝がんを切除する場合、通常はがん病巣だけをくりぬくよりは、がん病巣を取り囲むがんではない肝臓組織(非がん部肝実質)を少し付けて取ります。その方が、がん細胞を取り残したり、がん細胞が周囲にこぼれる心配が少なく、局所再発の可能性が低くなると考えられるからです。しかし、腫瘍が大きかったり、重要な血管に接している場合は、非がん部肝実質部分を確保することができず、がん病巣だけを取ることを余儀なくされることがあります。

 その際、オレンジ(肝細胞がん)の場合は、皮(線維性被膜)の部分にはがんがないことから、がん病巣と非がん部肝実質の境界近くで切除してもがん病巣を取り残す心配はほとんどありません。一方、皮のないジャガイモ(転移性がん)の場合は、がん細胞がむき出しになりやすく、再発の危険が高いと言えます。外科医はこの構造上の違いを意識して切除の仕方を工夫しているのです。

 次に、ラジオ波熱凝固療法(RFA)を行う場合は、2つのがんの構造上の違いはどのように影響するのでしょうか。

 ラジオ波熱凝固療法は、体表から体内に電極を刺して、がん病巣とその周囲を熱で凝固壊死させる治療法です。効果があるのは、電極の先端の直径2〜3cmの紡錘形の範囲ですので、この紡錘形を何個か組み合わせて肝がんとその周辺の非がん部肝実質を熱凝固させます。

図 肝がんの形状によるラジオ波の効果の違い
ゴツゴツした不規則な形の転移性肝がんでは、矢印の部分のような焼き残しができやすい

 しかし、この治療法は、ジャガイモ(転移性がん)ではうまくいきません。なぜならば、ゴツゴツした不規則な形のジャガイモでは紡錘形の組み合わせで治療しても焼き残しができやすく、そこからの再発が多いことが報告されているからです(図)。

 また、ラジオ波熱凝固療法は、3cm以上の大きいオレンジ(肝細胞がん)にも不向きです。焼き残しを防ぐためにすべての方向に1cmの「焼きしろ」を付けようとすると、直径3cmを超える腫瘍では直径5cm以上の球に近い空間を焼く必要があります。しかし、これを直径2〜3cmの紡錘形の組み合わせで賄うためには何回も治療する必要があり、効果が不確実になってしまいます。

 この他にも、例えば、がん病巣の中の血管の多さなどによっても、適切な治療法に違いが出てきます。血管の多い肝細胞がんでは、がん病巣に栄養を送る血管を塞いでがん病巣を死滅させる肝動脈塞栓術(TACE)が有効ですが、血管の少ない転移性がんにはほとんど効きません。

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