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2010/9/28

病気になったら仕事を辞めなければならないの?

がんの診断を受けたんだけど、現在勤めている会社を辞めなければならないの?

 病気になったからといって、すぐに会社を辞めなければならないわけではありません。

 「仕事をどうしよう」「会社を辞めなければならないのか」と心配になるのは当然のこと。でも、これから詳しい検査を行って、治療方針を決めていく段階で、「仕事を続けるのか、あるいは辞めるのか」という重要な問題を早急に決断することは避けたほうがいいですね。

 まず、この問題を考えるうえで、労働者として自分が持っている権利について知ることが大切です。だれかに雇われて働くときは、企業など雇い主との間で「労働契約」を結びます。ですから、労働契約でどのような労働条件が定められているかを確認することが、「労働者の権利」を知る第一歩になります。

労働条件って、どのように確認したらいいの?

 労働条件は、労働契約書や就業規則などで確認できます。

 労働契約書は、採用が決まったら雇い主と結ぶ契約書のこと。労働契約書の代わりに「雇入やといいれ通知書」とか「労働条件通知書」という書類をもらった人がいるかもしれません。

 就業規則は、労働時間や休日、休暇などの労働条件や働くときのルール、就労義務を文書化したものです。常時10人以上の従業員(*)を雇用している企業は就業規則を作成して、労働基準監督署に提出することになっています。

 従業員が10人未満であっても就業規則を作成している企業もあります。就業規則を正社員だけに適用し、正社員以外の従業員向けには別規程を作成している場合もあります。

 企業は、就業規則を全従業員に周知させなければならないことになっています。もしあなたが、就業規則を見たことがないという場合は、会社に「見せてください」と申し出てみましょう。

 また、職場に労働組合があって、あなたが労働組合員の場合は、「労働協約」で定められた労働条件が、あなたの労働条件となります。

就業規則ってわかりづらいな。確認するポイントってありますか?

 まず、病気のときに利用できる休職制度や休暇制度があるかどうかを確認します。

 がんの診断を受けたあとは、検査や治療のための入院で、また、退院後も通院のために、個人差はあるものの仕事を休まざるを得ない状況になります。病気で休む場合に利用できる休職制度や休暇制度があるかどうか、あるとしたらどのような内容になっているのかを、確認しましょう。

あ、ありました。就業規則に「休職制度」という項目が載っていました。これはどんな制度なんですか?

 私傷病(業務外の傷病)が原因で働くことができない場合に、企業に在籍したまま、一定の期間、仕事を休むことができる制度です。

 私傷病で欠勤が長期間続いた場合、労働契約に定められた就労義務を果たすことができません。そのような状況は、解雇事由に該当する場合があるのですが、休職制度を利用することで休職期間中は、解雇が免除されるという意味合いもあります。

 ただし、残念ながら休職制度は、企業に対して法律で義務づけられているものではないので、就業規則に定めるかどうかは、企業の裁量に任されているのが現状です。

 この制度を導入している会社は、対象者や休職期間、休職中の給与、復職の条件などを就業規則によって規定しています。

私は、休職制度を利用できるかしら?

 制度が適用になる対象者に該当するかどうかを、就業規則で確認しましょう。

 休職制度の対象者を正社員のみとしたり、「勤続年数○年以上」という制限を設けている場合もあります。

休職制度がない場合はどうすればいいの?

 私傷病の場合に利用できる休暇制度があるか確認してみましょう。

 もしも勤務先の会社に休職制度がない場合でも、休職に準じる措置を検討してもらえる可能性はあります。ですから、ただちに仕事を辞めるという結論を出すのではなく、会社の人事担当者や上司に今後の働き方について相談し、働きながら治療をしていく方法について話し合っていきましょう。

*「10人以上の従業員」には、パートタイマーやアルバイトなど正社員以外の従業員も含まれます。

●労働契約……労働者が企業に雇われて働くことを約束し、企業がその対価として賃金を支払うことを約束すること。
●就業規則……労働時間や休日などの労働条件や職場規律、就労義務を明文化したもの。
●労働基準監督署……労働基準法などに定められた労働条件を確保・改善するために指導監督を行う行政機関。
●労働協約……労働組合と使用者(企業など)が労働条件に関して交渉し締結した協定。

使わなきゃ損だよ!休職制度

 そもそも、始まりが間違っていた。当時、広告代理店に勤務していた私は、術後スグに職場復帰。再発予防の補助療法前に、いきなりバリバリ働き始めてしまったのだ。

 ところが、これが甘かった。副作用が辛い、マジで辛い。そこに、健常者さえ倒れるほどのハードワーク。「しまった!有休をとるべきだった」と後悔したが、あとの祭り。なにしろ最初に元気に会社へ戻ってしまったし、色黒の私は見た目健康。とても、「休ませて♪」なんて言い出せる状況じゃなかったのだ。

 そんなわけで、がんなのにがっつり働き、2年近く経ってようやく「休職制度」を知る。それは、医師に診断書を書いてもらって申請すれば、給料の約6割を傷病手当金として受け取りながら休めるというもの。「聞いてないよ、そんなの……」

 自分のバカさ加減にあきれはてたが、精も根も尽きてしまった私は、結局、会社を辞めてしまった。

 普通にサラリーマンをしていると、案外こういうことにうといんですよね。ましてや日々の生活に追われていると、なおさらのこと知る機会はない。でも、こうした制度は、利用しなくちゃもったいない。だって、人生の長さに比べれば、休養期間なんて一瞬のこと。この先、いくらだって挽回できるのだから。

(松井亜矢子)

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